日本の国債は誰が保有しているのか
6月26日のブログ のブログで日本のGDPは世界第4位であり、それが2029年にはインドと英国が4位、5位となり、日本は第6位となる予想がIMF WEO2026に記載されていること、また6月19日のブログ のブログで一人あたりGDPは2025年において世界第38位であることを書きました。
日本の経済力は何故これほどまでに落ちてきているのか、真摯にその原因を分析し、豊かな社会、豊かな日本をつくり出す努力をすべきと考えます。 次の図(Figure 2.14)はOECDの報告書からであり、左が日本への直接投資、右が日本からの直接投資です。 直接投資とは、証券市場による株式等の投資ではなく、事業目的等で日本株等を取得する投資です。 日本への直接投資が小さいことは、日本に投資する魅力が無いと言えます。
1) 日本国債発行者(政府)のバランスシート
国債は企業の場合では、債券(社債)であり、信用力を測る重要な評価基準の一つは、その企業のバランスシートです。 そこで、日本政府のバランスシートを図示したのが、図1です。
図1の政府バランスシートは、負債が資産の3倍あることを示しています。 日本銀行(日銀)の資金循環統計からの作成です。 なお、資金循環統計は、対象を金融資産と金融負債に限定していること、そして評価は時価評価としていることがあります。 有形固定資産は対象外です。
(参考)時価評価について 国債は、時価も額面額も同一ではないかとの疑問を持たれる方が、おられるかも知れません。 しかし、債券は市場金利により取引額は変動するのです。 例えば利率1%で1年後満期の額面100の債券を保有していれば満期の1年後に101を受けとる。 もし、市場利率が2%であるなら、額面100は1年後に102であり、101が満期払いであれば、約1%Discountされた99でしか取引が成立せず、99が時価となります。 財務省の債務管理レポート2026によれば、2026年3月末の国債残高は普通国債1136.7兆円で財投債93.7兆円なので合計1230.4兆円。 これを日銀資金循環統計による時価評価では933兆円となっています。 金利が上昇した場合には、債券の時価は下落し、満期までの期間が長い国債の場合は時価評価による下落幅は大きくなります。 |
国債及び財投債の債務が933兆円と、借入金と国庫短期証券を足し併せると、その負債合計は1,122兆円となります。2026年度の政府一般会計税収予算が83.7兆円で、歳出予算は122.3兆円、そして国債発行歳入予算が29.6兆円です。 国債の未償還残高は、2026年度末には更に増加するわけで、このような不健全な状況を続けていると、政府の一部機能不全、政策実施の一部不履行にもつながることを危惧します。
なお、政府は対外証券投資として162兆円を保有しています。 この売却可能性を考えるため、この投資対象について調べました。 米財務省のデータでは2026年3月時点で、外国投資家による米国国債の保有高は、日本からが一番多く、1,191billion dollars(1ドル160円換算で190兆円です。 2番目は英国からが148兆円、3番目は中国からの104兆円、4番目ケイマン島から73兆円、5番目ベルギーから72兆円となっています。 銀行や生保等も米国債を保有していると思いますが、日本政府の対外証券投資のうち米国債の割合は相当多いであろうと思います。 国債保有者ごとの数字は対外発表されていない。 しかし、日本政府も米国政府も実際の金額は認識している訳で、簡単に売却することはできないと思います。
2) 国債の保有者
2026年3月末における日本の国債・財投債の保有者について日銀資金循環統計から抜き出したのが、次の表1であり、これを円グラフで表したのが図2です。
2026年3月末においては、国債の48%を日銀が保有しています。 他の国との比較資料として財務省の「債務管理レリポート2026」108ページに図2-42として次の「国債等保有者別内訳」というチャートがありました。
フランスの中央銀行保有分は非公表とのことですが、日本44.2%(表2では47.9%)、米国13.7%、イギリス16.4%、ドイツ24.9%ということで、日本は中央銀行が保有している国債が多いと言える。 日本のように、中央銀行(日銀)が半分も保有しているのは、正常ではないと考えます。
3) 2000年以後の国債発行残高と保有者
2000年以後の国債発行残高とその保有者別を図3としてチャートを作成しました。
国債残高は2000年以後伸びているが、2012年頃からは日銀の保有額の伸びが著しいことが認識できます。 2010年以後について日銀と日銀以外の保有割合のチャートを図4として作成しました。
図4において、2011年頃から2017年頃の期間に日銀が保有する国債が急増しているのは、日銀の通貨政策の結果であると考えます。 2010年当時の総裁は白川正明、2013年からは黒田東彦、2023年からは植田和男です。 この間の総理大臣は、2011年9月まで菅 直人、2012年12月まで野田 佳彦、2012年12月から2020年9月まで安倍晋三、2020年9月から菅義偉、2021年10月から岸田文雄、2024年10月から石破茂、2025年10月から高市早苗です。
同じ2010年からの期間について米ドルの外国為替レートをチャートにしたのが、次の図5です。
中央銀行の国債保有率が多い、言い換えれば、実質的に中央銀行が買い支え、通貨が過剰に流通している国は、外国人にとっては投資魅力が無い国である。 結果、冒頭に掲げた外国からの直接投資が極めて少ない国、日本になっていると考えます。 日本にどのような産業があるかと考えても、魅力があり、将来に夢がある産業は、私にはあまり浮かんできません。 昔のソ連のように思います。 偉大な産業はあるが、世界基準と比べてどうか、また将来の発展性についても疑問に思うことが多かった。 それは、産業についてのみならず、人々の生活水準についても限界があるのではとの疑問です。
日本が一つの国としてだけで存在するのではない。 世界の中で存在するのである。 このことを忘れずに、政策を考えるべきと言うのが私の信念です。
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