2024年11月19日 (火)

103万円の壁を考える

所得税の103万円の壁をなくすという変な議論がある。

1) 103万円の壁とは

1-1) 基礎控除48万円

所得税には、基礎控除という概念がある。 基礎控除の金額は、48万円であり、経費を差し引いた後の所得金額が年間48万円以下であるならば、申告納税する必要はない。 従い、所得金額が50万円の場合はとなると、(50万円-48万円=)2万円X5%=1千円が所得税の額となる。 復興税を無視しています。

1-2) 103万円とは

他者(他人であれ会社や法人、役所であれ)から給与の支払いを受けて、働いている場合には、給与所得の扱いとなり、給与所得控除が適用される。 給与所得控除は年間給与額が162.5万円以下なら、55万円である。 年間給与額55万円なら給与所得額ゼロとなる。 100万円なら45万円となるが、50万円の基礎控除があるので、所得金額としてはゼロである。 103万円なら給与所得控除55万円を差し引いて48万円となるが、これから基礎控除が差し引かれるとゼロになる。

1-3) 給与所得110万円の場合

55万円と48万円が差し引かれるので、所得金額7万円となる。 これに所得税率5%で計算して3500円が所得税となる。 すなわち、計算は180万円までは、(給与所得総額-103万円)X税率5%であり、壁のように立ちはだかるわけではない。 103万円を超えた分について5%の税率で所得税がかかるのである。

給与所得総額358万円までは税率5%であり、103万円の位置に大きな壁があるわけではなく、給与所得控除も給与が増加するにつれ大きくなり、358万円の場合は給与所得控除額は115.4万円である。 これに、基礎控除48万円が加わると控除額は合計163.4万円となり、給与総額358万円から163.4万円を差し引いた194.6万円に所得税率5%を掛けた94,500円が所得税額である。

2) 過去の基礎控除と給与所得控除

1975年以後の基礎控除と給与所得控除の額の推移を描いてみた。 図1がそれである。

202411

50年前と比べてどうか? 1975年の消費者物価指数は53.1であり2023年は105.6であり、1.99倍になっている。 しかし、10年前、20年前の2013年や2008年と比べると、消費者物価指数はそれぞれ8.3%と10.6%増加している。 しかし、図1を見て私が思うのは、デフレの日本経済という判断である。1995年からの10年間でマイナス0.4%、2005年からの10年間でマイナス0.6%、2013年からの10年間でプラス11.2%である。 しかし、この10年間で11.2%とは、年率にすると1%である。

年率1%の是正のために基礎控除や給与所得控除の見直しが必要とは思えないのである。 そんなことをするなら、通常の所得税を2.1%多く徴収する復興特別所得税を廃止すべきである。 2014年の改正で導入された税制であるが、法人については2年間で終了した。 個人については2037年までなので、まだ14年間継続する。 金額が細かく源泉徴収事務等をされている方の事務作業も大変である。 税制は合理的であるべき。

3) 103万円に壁がある人

給与収入が103万円を越えると負担が増加する人も存在する。 それは、19歳、20歳、21歳または22歳の子どもを持ち、その子どもを扶養している場合である。 特定扶養親族となり、所得控除としての扶養控除が一人につき63万円受けられ、税率10%なら6.3万円低くなる。 

なお、18才以下の子どもの扶養に関しては、2020年から扶養控除は見直し・廃止された。 理由は、子ども・児童手当毎月一人1万円・・や高校授業料無償化の拡大であり。 所得税や住民税の調整ではなく、必要な人に妥当・合理的な金額を政府・自治体が支給するという方法は間違っていないと考える。

特定扶養親族に対する扶養控除も廃止をし、大学・専門学校・職業学校・各種学校を含め高校卒業後に専門分野・技能・能力開発等を目差す若者を支援する制度をつくるべきと考える。

4) 130万円の壁は3号被保険者制度廃止での対応を求める

3号被保険者であり続けたいと思っておられる女性は、どれほどおられるのだろうか。 働けるなら、働きたいと思っておられる方が大部分であると思うのである。 女性の年金問題としてこのBlogを書いたので、今回は余り触れないが、3号被保険者制度廃止により女性は何も損をしないのである。

制度は複雑になれば、制度の網を破って抜け駆けをしようとする人が出てくる。 というか、複雑な制度になってしまうと、トリックのように抜け穴ができたり、作られたりする。 悪い奴らに騙されてはいけない。

5) バカな税である法人事業税の都道府県民税の外形標準課税は早急に廃止を求める

実にバカで不合理な税である法人事業税の外形標準課税である。 日本は、共産主義・全体主義でないはず。 法人には、利益に見合った税を課すべきである。 こんなバカげた税が日本をダメにしている。

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2024年11月 8日 (金)

IMF10月発表の世界経済見通しから見る日本の現状

IMF(International Monetary Fund)が2024年10月号としての世界経済見通し(World Economic Outlook)を発表した。 このページからDownloadすることができます。 私が図表を作成して分析を行った結果を以下に述べます。

1) 日本の2024年GDP世界第4位

日本のGDPは1970年頃に英国と同水準となり、世界第2位となった。 以後約40年間は、米国に次いで世界第2位のGDPであったが、2010年には中国が第2位となった。

Weo202410a

昨年の2024年では、第1位と第2位の米国と中国の順位は変わらないが、第3位がドイツとなり、さらに2026年にはインドが第4位となり、日本は第5位。2026年以後は、インドが第4位になり、日本は第5位となる見通しである。 更に、IMF経済見通しは2028年には米国、中国、インド、ドイツ、日本の順になると予想している。

2) 一人あたりGDPでの日本の順位

重要なのは、一人あたりのGDP、すなわち一人あたりの付加価値額です。 その国で生み出した付加価値の総和を人口で割り算した付加価値額です。 2000年において、日本は39,172ドルであり、第1位のルクセンブルグ48,984に次いで2位であったのです。 2000年の米国の一人あたりGDPは第5位で36,312ドルであったのです。

2023年と2029年の一人あたりGDPの予想額と順位は表1の通りです。

Weo202410b

農業、漁業を含めあらゆる産業で付加価値を増加する取り組みを怠った結果が出ているのではと思います。 働き手が高齢化した農業において、改革はしていない。 外国人労働者を技能実習生と称して受け入れるが、それ以上の改革はしない。 コストカットと言う下請けいじめで生き残りをかける企業が存在する。 貨物トラックドライバーの時間外労働規制の物流2024問題だって、10年以上前から取り組まれているべきであった。 色々な点について、関係者は解決の尽力をしていたと思うが、努力だけで実質的には実を結ばなかった。

上位14国に日本を追加した2000年以後の一人あたりGDPの図を掲げておきます。 日本のみ増加が認められないという様子です。

Weo202410c_20241107235601

比較対象注目国として、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国、台湾、中国とインドとし、これらの国の一人あたりGDPの推移を図3として比べてみました。

Weo202410d

図3を眺めると、日本は2012年以後悲惨な状態に思えます。 詳しい分析が必要ですが、2012年以後は日本経済は暗いトンネルの中状態であったように思います。

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2024年11月 6日 (水)

ボーイングのスト終結

10月25日のブログ で書いたボーイングのストが遂に終結しました。 Bloombergの日本語でのニュースはここにあります。

CNNのニュース(”Boeing workers vote to accept deal, end strike”)はここにあります。 賛成率59%。 9月13日からの2月近く続いたストライキは了した。

1) 勝ち得た昇給額

当初1年目13%、2年目9%、3年目9%、4年目7%、5年目7%なので、私の複利計算では、4年目7%の昇給により今回の昇給前の給与の43.6%増となり、最終の5年目に入ると53.7%増になると考えます。

2) 年金合意

賃金アップに加えてボーイングは従業員に対し一人12,000ドル(180万円)の解決一時金を支払うことに合意した。 この12,000ドルは各従業員に支払われるが401(k)年金基金への拠出であり、 確定給付型年金の適用は消滅することが条件となっている。

以上が、私が把握したボーイング労働争議に関する概要ですが、ストライキにより労働者側が受給できない賃金は6億ドル(一人平均18千ドル:270万円)である。一方、ボーイング側の損失は65億ドル(1兆円)程になるのでしょうか?

このボーイング労働争議が、労働市場、航空産業、米国産業、世界情勢等今後の経済に与える影響はあるものと確信します。 日本の労働市場や企業経営については、どうでしょうか? もし何の影響もないとすれば、世界から取り残された日本であり、その責任は産業側、経営側、労働者側にあるものと考えます。 労働争議がないことは、良いことだなんて思わないことです。

かつて、ソビエト社会主義連邦共和国という国がありました。 その国のある人が述べたことです。 

「我が国には、労働争議と言うものは存在しない。 労働者が作り上げた労働者の国が我が国である。」

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2024年10月25日 (金)

ボーイングのストに思う

昨日24日の日経は「ボーイング労組、35%賃上げ案を否決 スト継続へ」と伝えています。

ボーイング労組、35%賃上げ案を否決 スト継続へ

米国の労働関係に関する知識については、それほど持っていないのですが、思うところを少し書いてみます。

1) 労働組合

報道では「ボーイング労組」との名前になっているが、正式には「International Association of Machinists and Aerospace Workers(IAM))」(ホームページはここ )です。 組合員数は退職者会員を含め60万人。 ボーイング以外にロッキード・マーチンやハーレー・ダビッドソンで働いている会員労働者も存在する。 なお、ボーイングで働く組合員は33,000人。

2) 賃上げ35%拒否の理由

まずは、35%賃上げとは、日経の記事本文にあるが、4年間で35%の賃上です。 組合の要求は40%であるので、差は5%。 年率に換算すると、それぞれ7.8%と8.8%です。

現在の米国消費者物価指数の1年前から上昇率は2.3%であり、3年前からの上昇率では年率4.4%、5年前からだと年率4.1%となります。

35%賃上げでも良いではないかと思えるのですが、話は簡単ではないはず。 ボーイングの業績は2019年以後5年間連続の赤字続きであり、2023年は22.2億ドルの純損失でした。 世界的な航空機メーカーであり国防・宇宙関係も手がけているボーイングであり、存続することに疑問の余地はない。 しかし、不採算部門の売却・切り離し、あるいは米国だったら実施可能である人員整理は十分に考えられると思う。 なお、ボーイング・ワシントン州工場での雇用人数は2020年以降減少していない。 しかし、労使双方の予想・見解・もくろみからすれば、大変なしのぎあいがあると思う。

3) 確定拠出年金401K

これは、ボーイングの401(k)に関するチラシであり、ボーイングは確定拠出年金に年間4160ドル(60万円強)を拠出するとしている。 組合の主張は、401(k)から約10年前まで存続していた年金制度も選択適用可能にすることも含まれているようです。 401(k)は万能ではなく、労働者に不利になる場合も、当然存在すると考えます。

4) 雑感

日本では、ストライキという言葉をTV、新聞、その他マスコミで最近はほとんどお目にかかっていない。 ボーイング・ワシントン州工場を一つの企業だとするなら労働者33,000人の企業ですから、大企業のストライキ。 赤字続きで様々な問題あり。 労働者が賃上げを求め、権利を守ろうとストを実行し、既に1月と10日余り経過している。 

日本でも、このようなストライキがあっても良いと思う。 ストライキ(同盟罷業)を遠慮してしまう日本の風土を感じてしまうのである。 力と力がぶつかって、しのぎあって、発展していく。 それが正常であり、発展の原動力であると、その重要性を感じる。

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2024年9月 3日 (火)

現役世代の保険料負担軽減をめざすとの興味ある発言

日経で次の記事があったのです。

日経 9月2日 河野太郎氏、現役世代の保険料負担軽減めざす Xで提唱

誰も言わない。 言えないことだなと思ったからです。 社会保険料とは、年金保険料と医療・健康保険料を意味する。 現状、年金保険料は厚生年金保険料が18.3%で、協会けんぽの場合の健康保険料は都道府県で差があるが約10%であり、雇用主と労働者が50:50の負担なので、個人だと約14%である。 企業からすると、実質賃金は名目賃金の1.14倍となる。

所得税や住民税の場合は、名目上の金額から給与所得控除や基礎控除等があり、更には所得税の場合は累進税率なので、所得がそれほど多くない場合の社会保険料の負担は大きい。 現役世代の社会保険料負担の軽減は、働く世代にとっては、大歓迎と思う。

但し、逆に負担が増加する人達が出現しないと辻褄が合わないはず。 さあ、どうするかと考える。 いや、トレンドを考えれば、第2次団塊世代までが高齢化し、年金は受給者増と納付者減が予想され、医療費も増加が見込まれる。 日本の将来は暗い。 せめて、現役世代の保険料負担軽減で明るい日本を目差さねばと思う。

一番先に頭に浮かぶのは、3号被保険者の廃止である。 3号被保険者とは、2号被保険者に扶養されている配偶者であり、フリーランスを含め自営業者の配偶者は2号被保険者に該当しないので、自ら国民年金保険料を納付する必要がある。 特権階級の特典を廃止してでも実現すべきことはあるはず。

次は、税金による補填であり、高額所得者に対する増税が考えられると思う。 他には、支出の削減であり、健康保険が適用となる医療費に関する制限である。 例えば、高額医療費制度も一定額を超過すると全額保険負担の現行制度を一定額超過の場合に3-1割負担から徐々に負担率を下げていくように変更する。 あるいは、入院時の差額ベッド料のように一定の高額医療については高額医療費制度の対象外とし、民間医療保険を拡大する。 高額医薬品は、やはり相当増加すると予想するし、現役世代の負担軽減という観点のみならず医療制度・医療体制の維持という観点からも高額になっていく医療への対応は必至であると考える。

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2024年7月24日 (水)

日本の現状打開策

これで解決するという妙案や特効薬は簡単にはないが、せめて思うことを書きつらねます。

まず、日本の現状認識としては、次に書いた私のブログで取り上げた日本経済の伸び悩みです。

7月19日のブログ 実質賃金が伸びていない

5月14日のブログ IMF統計での一人あたり日本GDP第34位に思うこと

バブル崩壊以後、あるいは21世紀になり2000年頃から、ドル建てのGDPや実質賃金は、年によるバラツキはあるものの、ほとんど伸びていない。

1) 衆議院小選挙区・比例代表選挙が関係しているのではないか

1996年10月20日の衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制選挙が始まった。 日本のGDPや実質賃金の伸び悩みが始まった時期と似かよっており、関係があるのではとの疑問を持つのである。

小選挙区制が導入された最大の理由は、政権交代が起こりやすくすると言う制度整備であったと理解する。 少数党では選挙で不利となることから政党は2大政党化する。 また、政権交代のためには相手政党批判もさることならがら、国民の利益に適合した政策を考え、立案し、政策をアピールすることが選挙で重要となり、政治の健全化が期待されたと思う。 そのような結果として、政治や日本の産業そして国民の生活が良くなると期待されたはずである。

しかし、世界のなかで比較をすると、日本の成長・発展 が取り残されていることは、残念ながら否めないと思う。 議会や議員にその責任の一端があるとしても、制度面について考えることも重要と思うのである。

日経ビジネスに「チガサキから世間を眺めて」という連載を書いておられる松浦晋也氏が、6月28日の選挙をおもちゃにする人々が教えてくれることで、日本には中選挙区制が合っていたのではと疑問を投げかけておられた。  朝日新聞7月11日のインタビュー記事(全文は読めませんが) 小選挙区制が招いた政治の劣化 田中秀征さん語る「中選挙区連記制」において、同氏は中選挙区制を提唱しておられた。

私が思う小選挙区制の欠点は、小選挙区制では、個人の力だけでは当選可能な得票数の獲得はハードルが高すぎ、政党からの支持・応援を必要とすることである。 中選挙区制でも、政党なり支持団体なり相当程度の人々の支援を受けていなければ当選はできないのであるが、小選挙区制の場合は、選挙民・国民と対話をするよりは、政党からの公認取り付けに時間と労力を割く必要が生じる。

議員活動は、企業勤務とは異なる。 企業勤務なら、その企業の為に働くが、議員は所属政党のためではなく、第一の目的は国民のためであり、政党は手段である。 小選挙区制では、大政党の力は大きい。 その結果、ボス・実力者の力が大きくなりすぎ、歪みが生じることがあると思う。 例えば、政党の党首・総裁がワンマン主義であった場合、党内対立派には選挙で公認を与えず、刺客候補を立てるなんて変なことも生じる。

2) 政党交付金も廃止して議員個人宛に支給

政党交付金の交付は1995年に始まった。 令和4年分政治資金報告の概要がこの総務省のWebにあるが、政党交付金の総額は、315億3千7百万円です。 交付金受領額が一番多いのは自民党で160億円、第2位は立憲民主党67.9億円、第3位は維新の会31.7億円となる。 特記すべきは、政治家女子48党というNHK党が名称を変更した党(今は更に別の名称)で、1億98百万円の政党助成金が交付されている。 都議選で24人の候補者を擁立し、ポスターで物議を醸し出した政党である。

政党に交付金が交付されると、政党の中で権力を持つ者程、配分の際にその決定に関与できることになるはず。 本来、団体や政党は意思も感情も持たない存在であり、意思や感情は人間である個人が持っている。 個人一人では、力の弱い場合もあり、同じような考えの人が集まって行動することは多い。 政党の分散・離合や仲違い、再集合等は政治活動の自由を尊重せねばならず、禁止することは不適切である。 本来の姿は、個人による思想、主義、主張が出発点である。

従い、政党交付金は、政治活動支援金として議員個人に交付することにすれば良いと考える。 議員一人あたり年間3千万円以上となる。 基本的には、政策研究に使われるべきと思うが、政党本部への寄附に使っても良いし、政策研究のために研究秘書を雇用したり、コンサルタントやシンクタンク等外部へ政策研究を委託しても良い。 研究結果の報告書を発表し、自分が実現したい政策を研究結果を発展、展開して行ってもらえばと思う。

なお、議員個人に対する政治活動支援金は、税の対象とすれば良い。 そして、委託費を含め研究活動やその他議員活動の為として認められる支出は経費として認めれば良いのである。 課題解決や問題点の鋭い指摘を行った報告書を公表した議員は高い評価を受け、その結果、次の選挙では高い得票率が得られ当選する可能性が高くなるはずである。 好循環が生み出せるのではと期待する。

3) 選挙における投票は個人の重要な政治参加

NHKが7月14日午後9時からNHKスペシャル「永田町”政治とカネ”の攻防 ~改革のゆくえは~」という番組を放送していた。

この番組の中で、二階俊博氏がインタビューに答えて、次の様に述べていた。

『今度選挙に出るそうだけど、どういう政策に力点を置こうとしてんのか』って、そんなこと聞く人誰もいないんだよ。 みんな『金があるか』

地縁・血縁何でもありが、現実の選挙とすれば、収賄・贈賄は刑事罰になるが、政治活動を支援する純粋の寄附は支援者の夢や希望の実現手段である。 政治資金規正法では、政治活動に関する寄附について、企業や団体からの寄附は、政党等以外には禁止されている。 一方、個人による寄付は禁止されておらず、自由である。 但し、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関する寄附は禁止されている。 公職の候補者とは選挙で候補者として届出があった者である。

日本の政党政治の現状は、現与党の自民・公明と共産以外は離合集散を繰り返している。 言ってみれば、人と政党はなじめないことがしばしばあると言うことだろう。 政治家を志し、自分の夢を人々のために実現したいと思ったなら、その時々協力できる人達と政党や仲間を結成し、目標の実現に向けて努力を続けるという生き方が賛同を得ても良いはず。 選挙では、政党ではなく、この人ならと信じる人に投票する人物主義の選択でも良いと思う。 このような場合、中選挙区制が、なじむと思う。

4) ポピュリズムから脱出

冒頭に書いたバブル崩壊以後、あるいは21世紀になった頃からの日本経済の低迷には、ポピュリズムに陥った日本の政治が関係していると思う。 本当に必要な政策を実施するのではなく、与党は次に控えている選挙で勝つための政策を主導してしまう。 政権交代が生じると与党議員達は、冷や飯を食わざるを得なくなる事態を避けねばと、必至になって政権与党であることを死守する。 その方法は、ポピュリズム・バラマキであり、八方美人政策である。 本質的問題解決からは遠ざかり、解決はおざなりとなる。 やはり、中選挙区制の採用だろうと思うのである。

日本の国の成り立ちを考えると、国の行政機関・執行機関である内閣を頂点とした組織である行政府とその執行についての定めをつくる立法機関である国会が大きな骨格である。 税の支出を定める予算は、国会の議決に基づかねばならない。(憲法83条、85条)

ところで、内閣総理大臣について考えると、その権限も大きいのである。 国会への議案提出権権(憲法72条 )と予算提出権(憲法73条5項)を保有する。 衆議院で多数を占めると、内閣総理大臣の指名(憲法54条)と予算の議決(憲法60条)においては、参議院に優越するので、衆議院で過半数を制すれば、相当なことは実行できると考える。 (注: 議員立法は可能であるが、国会法で賛成者の人数の定めがある。)

衆議院で多数を占めると、相当なことは実行可能である。 政権喪失の懸念、恐れから良い政策を追及することにつながれば良いのだが、現実は政権喪失を恐れて、ポピュリズムに陥っている。 長期的視点からの立て直しや改革は重点施策にはならず、世界の中で発展から取り残されているのが現状ではないかと危惧するのである。

5) オープンガバメント、デジタルガバメント

米国で2009年1月にオバマ大統領が就任し、1月21日にTransparency and Open Governmentと題したMemorandum(ここ にあり、日本語では覚書と呼ばれている)を発表した。 このMemorandumでは、下記のようなことを述べている。

”Government should be transparent. Transparency promotes accountability and provides information for citizens about what their Government is doing. Information maintained by the Federal Government is a national asset. ”(政府は、高い透明性を持つべきである。 透明性は説明責任を促進し、政府が何をしているかについての情報を国民に提供する。 政府が保有する情報は国の資産である。)

”Government should be participatory. Public engagement enhances the Government's effectiveness and improves the quality of its decisions.”(政府は参加型であるべきだ。 国民の関与は政府の効率性を高め、決定の質を改善する。)

”Government should be collaborative. Collaboration actively engages Americans in the work of their Government.(政府は協働型であるべきだ。 政府の業務に国民の積極的な関与を得る。)

オバマさんの提唱したオープンガバメントの3原則に私も賛成する。 開かれた政府、誰もが参加できる政府が未来の目差すべき政府であり、その構築に向けて努力をしたい。

日本でも、インターネットを活用して政府を開かれた国民参加型を目差して改革してきていると考える。 オープンガバメントの動きは世界の多くの国や国際機関でも取り組まれている。 オープンガバメントは、デジタルツールの発展と共に、現在の制度や姿を補完し、よりよい未来社会の発展に向け寄与していくと期待する。

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2024年7月19日 (金)

実質賃金が伸びていない

実質賃金が26か月連続マイナスとの報道がなされている。 長期間の比較や他国との比較も行って考えてみます。

日経 7月14日 実質賃金とは 過去最長の26カ月連続マイナス

1) 長期間の実質賃金の推移

26か月とは2年2か月であり、もっと長期で実質賃金がどうなっているかを考えるべく、1970年以降の毎年の実質賃金の推移を2020年を100とした実質賃金指数と前年比上昇率を表示したチャートを作成すると図1の通りとなった。

データ元は、毎月勤労統計調査の季節調整済実質賃金指数の製造業30人以上であり、その1月~12月の合計を12で割って年ごとの実質賃金指数として年ごとの指数とした。

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結果、2006年が107.2で最も高かった。 1997年頃より、停滞していると言えると考える。 なお、2023年は99.3としたが、この数字は1月~4月の4月単純平均である。

2) 購買力平価 (国際比較)

賃金を国際比較するに際しては、単純に為替レートを使って比較をするより、購買力平価(PPP : Purchasing Power Parity)による換算で比較する方が、適切と言える。 購買力平価(PPP)とは、同一物を日本と外国で購入した際の価格により換算したレートであり、同じビックマックが日本で750円で、米国で5ドル70セントなら、ドル・円のPPPレートは131.6円/ドルというような具合です。

OECDの統計データに年平均賃金(Average annual wages)というデータがあり、このうちの2022年米ドルベース購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)を使いました。

購買力平価(PPP)なので、物価変動や為替変動からの影響が基本的には除外されていると考えられる。そこで、図1の日本の賃金指数を米ドルベース購買力平価(PPP)を同じチャート上で表現したのが次の図2です。 

Japanesewage20247b

日本の賃金を2つの単位を使って、1つのチャート上に記載したのであるが、相当似通っている。 結果、OECD統計の購買力平価(PPP)による米ドル換算を使って各国の賃金国際評価を実施して大きな問題はないと考える。

3) OECD加盟国の中の17国について比較

OECD加盟国の中の17国の1990年以降の賃金について、2022年米ドルベース購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)による1990年から2023年までの推移をチャートにしたのが図3です。 (クリックで拡大します。)

Japanesewage20247c_20240719002301

図3からすると、日本は17国の中でギリシャを別にすれば、唯一賃金上昇がほとんどない国です。 各国の購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)による賃金を大きい方から並び替え、賃金の数字も記載したのが表1です。 1990年、2000年、2010年と2022年のみを記載しています。

Japanesewage20247d

韓国の賃金を見ると、1990年24,740、2000年33,114、2010年40,804、そして2022年48,056と順調に賃金が上昇している。 それぞれ、年率換算すると1990年から2000年は平均3.0%、2000年からは2.1%、2010年からは1.4%です。 1990年から2022年までの賃金上昇率を比較すると韓国の32年間の平均上昇率は年率2.10%で日本は0.13%です。

バブル崩壊後1990年代中頃以降、日本は賃金が上昇しない国になっていると言わざるを得ない感覚になります。 賃金が上昇しない国は、魅力のない国であり、解決策を考えていかねばと思います。

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2024年5月14日 (火)

IMF統計での一人あたり日本GDP第34位に思うこと

IMFは毎年4月と10月に経済統計(World Economic Outlook)を発表している。 2024年4月の発表文はこのページであり、そのデータは、同ページのリンク先からpdfで見たり、Excelやcsvでダウンロードすることも可能である。

1 IMF World Economic Outlook (April 2024)による各国の一人あたりGDP

長期間の各国GDPを比較することにより見えてくるものがあると期待して、1990年からの35年間について各国の一人あたりGDP(米ドル換算)を図1として表示した。 数字はIMFの統計数値であり、各国の名目GDPを米ドル為替レートで米ドル換算し、人口で除しているとIMFは説明している。

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(図はクリックで拡大表示されます。)

図内右に掲示している凡例の各国名は2023年における一人あたりGDP金額の大きい順から並べてあります。

1995年頃において、日本はルクセンブルグ、スイスに次いで第3位であったのです。 そこで、1985年からの順位表を作成した。 それが、表1です。 なお、2010年までは5年ごとの順位表で、2010年以後は毎年の順位表とし、2024年の順位はIMFの予測値による順位です。(クリックで拡大)

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2000年当時、日本の一人あたりGDPは世界第2位であった。 2005年以後は14位から18位程度の位置であったが、2013年から2021年頃は24位から27位となった。 しかし、2022年からは33位、34位と随分後順位となり、2024年は台湾、韓国より後ろの38位と予想されている。

2 対内直接投資の残高

対内直接投資とは、外国から日本に対する投資であり、外国人にとっての日本の魅力度の結果が日本の対内直接投資と言える。 IMF統計データから作成した各国の対内直接投資残高(Inward Direct Investment Position)が図2である。 図1のGDP比較と同じく、図中右の凡例は金額順の表示としている。 日本の外国からの直接投資受入残高は2022年で30位、2,250億米ドルとなっている。

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日本はイスラエルより外国からの投資受入残高は少なく、アジアでも、中国、シンガポール、香港やタイ、韓国より小さな金額しか外国からは投資が、なされておらず、魅力のない国としての評価を受けているようである。

図3は、金額ではなく、対内直接投資残高(外国からの投資受入額残高)をGDPに対するの比(パーセント)で表示している。

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日本の対内直接投資受入残高はGDP比5.33%であり、48位となっている。 なお、最大受入国ルクセンブルグは1460%であり、第2位のオランダ275%とアイルランド264%の3国は図の範囲外上方である。 

日本の5.33%は、アジアの諸国比べても、韓国13.79%(2021年の数字)や中国19.46%、インド14.73%より低い。 米国43.16%や英国88.55%には遠く及ばず、フランス32.22%やドイツ26.76%よりも大きく離れている。 資源埋蔵国の場合は、資源開発に関係・関連する外国からの投資が生じる。 インドネシアの20%も資源開発関連が含まれていると考える。

3 日本のGDP推移

1980年以後における日本の名目GDPの推移を示したのが図4である。 単位は兆円(左目盛り)と米ドルに換算した兆米ドル表示(右目盛り)である。 

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図4を見ると、1992年に名目GDPは500兆円に達し、20年以上を経過して、今やっと600兆円に達しようとしている。 1992年はバブル絶頂期が1989年であるとすれば、崩壊が進みかけた頃である。 当時、景気対策の一環として、日銀は公定歩合を1991年7月に6%から5.5%に引き下げ、以後順次引き下げを行い、1993年には1.75%としている。 しかし、公定歩合引き下げによる景気刺激策は、図4からすればその効果は限定的であったように見える。

更に、ドル・ベースで見ると、1995年頃にピークがあり、その後2011-12年頃に6兆ドルを超えたが、この20年間低迷を続けている。

4 GDPと対内直接投資

国際間の投資とは、冷酷なものである。 投資先の国に魅力がなければ、投資をしない。 大きなリターンが期待できれば、投資をするが、リスクが大きいと判断されればしないか、投資規模を縮小する。 1980年からの対内直接投資残高を図4のGDPグラフに付け加えたのが図5である。 (2004年以前については、対内直接投資残高の数値を示した統計資料が把握できなかったので省略した。)

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また図4のドル・ベースのGDP推移を見ても、日本へのドル・ベースでの投資リターンには相当のリスクがあるように思える。 投資資金は米ドルでの調達とは限らないが、国際的な金融・資金マーケットにおける投資とリターンについて、自国の都合や論理は通用しない。

5 経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)における対内直接投資

2024年度は取りまとめ中であり、2023年6月16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023」は、ここにある。 その7ページに次の様な文章があるので紹介をする。

・・・ 海外からヒト、モノ、カネ、アイデアを積極的に呼び込むことで我が国全体の投資を拡大させ、イノベーション力を高め、我が国の更なる経済成長につなげていくことが重要である。 対内直接投資残高を2030年に100兆円とする目標の早期実現を目指し、半導体等の戦略分野  ・・・

2030年の100兆円実現の前倒をめざすとの宣言である。 2022年末では29.9兆円であった(図5)。

6 真の問題は赤字国債

図4に示したように日本のGDPはバブルが崩壊した1990年以降停滞している。 GDP停滞の原因と赤字国債発行が関係している可能性を考えるため、図6を作成した。 国債の発行を継続し、2007年の時点で発行残高がGDPを越えた。

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外国に投資するのは、その国に魅力があり、かつリスクが低いと判断されるからであり、悪材料が少ないことが望ましい。 国債とは政府の借金である。 国債償還の財源は、その国の税金であり、国債残高が大きいことは、将来の増税が予想される。 投資をする際には、投資先国の税制や税率を調査する。 投資リスク要因としては、将来の増税の可能性も対象となる。 いずれにせよ、政府債務が大きいことは、投資先の国としてのマイナス材料である。 同じ条件なら政府財政の健全な国を選ぶ。

7 国別の国債残高を比較

国債残高を金額で比較しても良いが、その国のGDPの額と対比して政府財政・債務の健全性の指標が得られる。 GDPは、その国で産出した付加価値の総額故、債務返済資金の源泉であり、返済能力であるとも言える。 日本の国債残高のGDP比のカーブを図6に加えたのが図7である。

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図8は、政府債務残高をGDP比のパーセントで表示してのOECD諸国の比較である。

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OECD統計は、国債残高ではなく政府債務という言葉を使用しており、図6や図7における国債発行残高より範囲が広い。 その為、GDPとの比率に於いても大きくなっている。 しかし、OECD統計は比較対象国について同一基準で作成・報告している。 日本の債務・国債発行残高は飛び抜けて大きいのである。 

8 雑感

国債発行残高は1000兆円を越えているが、逆に言えば、これまでに1000兆円の支出をしてきたわけで、その負担を今後・将来の世代が背負うことになる。

国債は固定金利であり、現状発行残高の50%以上を日銀が保有しており関係ないと思うかも知れない。 しかし、日銀の負債で一番大きいのは一般銀行の日銀への当座預金である。 もし、円の金利が上昇したなら、新規国債の利払いが大きくなるのだが、インパクトとしては一般銀行の預金者の利息や日銀金利の上昇になるのであり、日銀にとっては資産(貸付サイド)741兆円のうち587兆円が国債という状態で、どうなるのやらと思う。 日銀が倒産するわけはないが、かと言って、日銀当座預金を現状で保持すれば、一般銀行へ大きすぎる負担が生じると考える。 金利が上昇した状態で国債を売却すれば、国債額面割れで日銀に損失が発生。 いずれにせよ、円の信用力が落ちると思う。 誰も投資しない国・日本になる可能性があると思う。 もっとも、そんな状態になると、新規国債は発行できない。 しかし、国債の償還と利払いは続く。 将来、多額の税金を国債の利払いと償還に充当せねばならず、その分実質支出できる政府財源は少ない。

そんな悪夢をよそに、令和6年度の一人あたり4万円(所得税と住民税の合計)の特別定額減税をする税法改正が成立した。 対象者を8千万人とすると総額3.2兆円となるが、こんなばらまきは、許されるのかと思う。 ばらまき税制改正と同時に28.9兆円の赤字国債発行を決めているのであり、本来は赤字国債の発行額を減少する歳入予算とすべきである。 防衛費にしても令和6年度は5117億円を建設国債でまかなうとした。 建設国債は、本ブログ記事に於いては、カウントしていない。 矛盾だらけの予算を組み、支離滅裂な説明を行うことは信用失墜になる。

今の日本の政治はポピュリズムの罠に陥っているように思う。 コロナ給付金なんて所得に関係なく10万円支給とか酷い仕組みだった。 もっと遡れば、政府の無駄使い削減で財政再建が可能であるとウソを言ったり、どの政党も増税は口にしない。 でも、小さな政府とも言わず、大盤振る舞いの政府の政策を全政党が訴えている(競争している?)と思う。

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2024年3月 3日 (日)

大阪万博2億円トイレについて

引き続き2億円トイレについて、書きます。 この3月1日の朝日新聞の記事には「「高すぎる」との批判が出ている会場内の「2億円トイレ」について、政府が外部有識者に対し積算根拠を説明し、妥当との考えを示した。」とある。

外部有識者とは、誰であるのか、固有名詞が示されていない。 もしかしたらこのリストの人達かなと思うが、建築の専門家はおらず、価格の妥当性を判断する能力はない人達である。 勿論、外部の専門家に独立した意見を表明してもらい、報告書を書いてもらって判断することはできる。 その場合は、その報告書を公開願えれば良いのである。 

と言うことで、探してみると、万博予算執行監視委員会というのがあり、3月1日にこの委員会で経済産業省商務・サービスグループが大阪万博のトイレについて説明した資料がここにありました。 2億円トイレを受注したのは、日本土木建設(株)と(株)東建設です。 もう一つトイレ5というのが予定価格1.9億円となっているが、まだ落札者は決まっていない。

経済産業省商務・サービスグループの説明は、一般的な公衆トイレの単価が約74万円であり、2億円トイレは単価では70万円と58万円であり高くないとしている。 大阪万博は2025年4月中旬から10月中旬までの6月間であり、そんな高価なトイレが必要なのかと思う。 6月間のトイレなら、災害時に被災地へ移動させることができるトイレを開発したら良いと考える。 移動ではなく、移設が容易であるトイレでも良いのである。

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2024年2月17日 (土)

日本経済深刻なのでは?

2月15日内閣府より2023年10-12月期の四半期GDP速報値が発表された。 内閣府の発表はここにあります。

既に発表されている1-9月の間の3四半期分のGDPを合計すると2023年1年間のGDPが計算され、その結果は591兆4821億円になり、ドイツに抜かれ世界第4位になったと報道された。 日経記事「名目GDP、ドイツに抜かれ4位 23年4兆2106億ドル」はここにあります。

1) 比較対象国を広げてみると

対象国を拡大し15カ国で米ドル換算した名目GDPを比較してみました。 なお、数値はIMF World Economic Outlookからです。 2022年以降はIMFによる予測値です。(図1のみならず図2、図3についても)

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米国と中国が抜きんでており、3位から15位が分かり辛いので、3位から15位の部分を拡大して図2を作成しました。

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日本は、2022年に落ち込んで、その後は幾分かは回復・上昇に転じたが勢いは、それほどでもないという感じに思えます。

2) 一人あたりGDP

重要なのは、一人あたりのGDPであるとの考えで、世界34カ国の一人あたりGDPの2020年以後の推移と2022以後の予測値です。

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2023年で日本は34位で$33,950なのです。 アジアのトップはシンガポール$87,884です。 ドイツは$52,824で日本の1.5倍です。 成長する世界の中で、低迷を続けているように思えます。 新型コロナ・ウィルスの影響を受けて、活動を自粛、結果世界の成長から取り残されている。 そんなことは、ないのか、じっくりと考えてみたいと思います。

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