2023年6月22日 (木)

ウラジオストク港利用が可能となった中国

次の様なニュースがありました。

5月29日 47NEWS 中国、極東ウラジオ港利用へ 物流でロシアと関係強化

こちらのタイトルは、衝撃的な表現です。

東洋経済 6月20日 中国がロシアの港を奪還? 極東権益を侵食中 ウラジオストク港の使用権を165年ぶりに回復

ウラジオストク港の使用権を165年ぶりに回復とは、愛琿条約が1858年5月であったので、1858年は今から165年前となる。しかし、ねえー、と思うわけです。

アムール川流域にはもともと狩猟と牧畜を営むシベリア先住民である遊牧民が住んでいた。そして、川の南側(右岸)にはさまざまなモンゴル族や満州族がいた。1689年にネルチンスク条約が清とロシアで締結され、アムール川流域は清(中国)領とすることで合意された。しかし、それ以前の17世紀頃からロシアの探検家や商人がアムール川以北の地域に入り始め、アムール川以北(西岸)で定住するロシア人もいた。

1858年の愛琿条約でウスリー川の東(右岸)は中国とロシアの共有となり、その2年後の北京条約でロシア領となった。当時の国力では、自然な結果と考える。戦争があって、決まった国境ではない。清(中国)にすれば、国力の差により認めざるを得なかった国境を確定する条約ではあったが、川口や海岸を調査し、ウラジオストクが天然の良港であることを発見したのはロシアであった。

今回の中国のウラジオストク港利用権取得は中国のウクライナ戦争でのロシアに対する支持の結果との見方があるが、逆に何故今まで利用できなかったのだろうかと思う。ウラジオストク港は軍港であったため、1992年までは外国船はおろか外国人も立ち入り禁止であった。だから、シベリア抑留者の帰還もナホトカ港からであった。

このブログ日露戦争 その5 中国・ロシアの関連で思ったことです。

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2023年3月12日 (日)

21世紀に入ってからは長期低落の日本経済

一つ前のブログ「税と社会保障の国民負担」(このブログ )で、日本の国民所得(NNI:Net National Income)はOECD統計によれば、OECD35カ国中24位であることを書きました。(OECD統計には、EU諸国とEuro諸国という分類もあるが、これらEU諸国とEuro諸国は除外しての順位です。)35カ国中24位とは、上位、中位、下位で分けたなら、下位グループの先頭と言うような感じです。

果たして今後中位から上位、さらには上位グループの先頭に並べるくらいに発展することができるのか、30年前の1990年からの国民所得の各国比較をしてみました。比較する対象は、税と社会保険料合計の比較をした9カ国としました。結果は、次のグラフの通りです。

Oecdnni20233a

一番上の突出しているラインは米国であり、1990年では10,000ドルに満たなかったが、順調に増加してきたのは韓国です。日本は、1990年の時点では悪くなかった。グラフを見ると2000年位までは悪くはなかった。2008年9月にリーマンショックがあったのですが、21世紀に入って日本経済はだんだんと低迷状態となり、リーマンショックではどの国も落ち込んだのであるが、日本はいよいよ落ち込んだ。その後、多少の回復はしたが、低迷は続き、イタリアより2013年-2015年は少し上であったが、2016年にはイタリアより下位となり、2017年には韓国に並ばれて、その後は9カ国中では最下位となっている。

失われた30年なる言葉があり、バブル崩壊後の1990年頃から現在までの約30年間を指すようであるが、実は2000年まではそれほど悪くはなかったと言える。実は2000年からの森内閣、小泉内閣の頃から日本経済は低迷したと言えるように思う。規制改革と言って、市場競争を取り入れるのは良いが、行きすぎた面があれば、成長を阻害する。社会として保護をして、発展に結びつけるような誘導策も必要ではなかったかと思う。日銀の異次元緩和も経済発展には寄与しなかったのではないか。種々の政策を各国の政策と比較し、日本の政策では取り込んでいないものは何か、取り込んでいたらどうなっていたか等を研究し、その研究成果が発表されることを期待したい。

103万円の壁とか130万円の壁と言う言葉を耳にすることが多い。収入を得ても、税と社会保険料を支払わなくて済むという奇妙な特権を残していては、日本社会の経済発展を阻害すると思える。これが正しいとは誰も思わないはずが、存続を希望する人がいると報道されている。誰が、利益を得ているのか?パート労働の女性だと思うかも知れないが、実は低賃金労働により利益を得ている産業が最大の受益者であると思う。一方、日本経済全体で考えてみれば、低付加価値産業から高付加価値産業への転換を阻害していると思う。その結果が、国民所得低位低迷になっている一因と言える気がする。調査・研究をした報告を待ちたいと思う。

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2023年3月 9日 (木)

税と社会保障の国民負担

ポピュリズム政治が進むと政府によるバラマキが増加する。或いは、所得(生産物)の国民への配分を合理的なものにし、社会を発展させるには政府の必要な関与は不可欠であると言える。さあ実態は、どうなのかと言うことで、先日の2月21日に次のニュースがあった。

日経 2月21日 国民負担率、23年度は46% 国民所得拡大で2年連続低下

財務省の発表は、このページです。

1月15日にOECDデータによる税の国際比較というブログを書いたのですが、1月15日のブログでは図3で日本の税と社会保障の負担率は2020年33%とした。今回の負担率は46%となっている。その原因は、母数であり、1月15日はGDPに対する割合を示したのですが、今回の財務省の割合は国民所得(Net National Income)に対する割合で計算していることからの差であります。

GDPが国民所得より大きいのですが、その理由は国民所得の場合、固定資本減耗(すなわち固定資産の減価償却費)を差し引いているからです。それ以外には、国外との利子配当の受取・支払を含んだのが国民所得となるが、金額的にはほとんどが固定資本減耗です。財務省の発表ページに推移を示したこのページ へのLinkがありますが、2021年度を例にとると国民所得は395.9兆円でGDPは550.5兆円。差は154.6兆円です。2021年度の固定資本減耗は138.7兆円でした。差の15.9兆円が海外からの利子・配当金受取純額となる。

33%が正しいのか、46%が正しいのかと言えば、減価償却費相当額を差し引いた国民所得に対する割合が、財務省発表に基準としているように正しいと考えます。昔で言えば、ほぼ五公五民。共産主義なら十公零民かと言えば、全員が公務員だとすれば、公務員給与やボーナスがあるわけで、その分が民になるのであり、五公五民ぐらいかなとも思える。公に分配された分も、社会資本、福祉、教育他民のために使われるのであり、表面的な数字より実態を踏まえた合理的な分析・評価・研究により決定されるべきです。

1月15日のブログはGDPに対する税と社会保険料の割合を示したグラフであったので、OECDデータによるGDPと国民所得に対する割合のグラフを作成しました。

Oecdtax20233a_20230309021601

ところで国民所得(NNI)が所得を表し、重要であることから、OECD加盟国の一人あたり国民所得のグラフを作成しました。日本は24位です。成長戦略をまじめに取り組んでいく必要性を痛感します。(韓国は、日本より上位です。)

Nni20233a

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2022年7月14日 (木)

参議院選挙終了、新しい資本主義へと向かうのか

7月10日の第26回参議院選挙は、自民63議席、公明13議席を獲得した。この与党合計76を、野党の獲得議席数49と比べると、与党獲得は60.8%である。衆議院では、自民261、公明32なので、63%が与党である。ちなみに、自民党議員のみを対象とした場合は、参議院48%、衆議院56%である。

岸田文雄首相は、議会での十分な多数を得ることができた。2021年6月に発表された新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画(これ )が、岸田首相が力を入れようとしている新しい資本主義の考え方と理解する。2ページ目の冒頭には、次の様に書いてある。

「課題を障害物としてではなく、エネルギー源と捉え、新たな官民連携によって社会的課題の解決を進め、それをエネルギーとして取り込むことによって、包摂的で新たな成長を図っていく。」

政府も国民も協力して日本経済・社会の多様性を担保しつつ、発展を図っていく。安定的な多数を得られた岸田首相は、新しい資本主義に向けて尽力をして欲しいと思う。官民連携の基本は、国民の意見を取り入れて国民のための政策を進めることであり、国民からの提案を受入れて政府政策を作り上げていくよういシステムを作り上げていくことと私は考える。間違っても、過去のバカな政権が言っていたような政治主導なんてことは絶対にすべきではない。

経済産業省が未来人材会議(このページ )というのを実施しており、5月31日に中間とりまとめを発表している。その11ページに次の表がある。

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次の図は、引用元のOECDのMeasuring and assessing talent attractiveness in OECD countries(https://doi.org/10.1787/b4e677ca-en)の図である。

Talentattractoecd202207

talent attractiveness「能力を活かすことができる魅力度」とでも言えば良いのでしょうか。就職活動をしていた時「何故女なのに収支を出たのだ?」なんて言われたと話してくれた女性がいました。日本の大学で修士を出た外国人女性がいましたが、日本で就職するかな、難しいだろうなと思っていたら、やはり米国で就職しました。勿論、米国人ではありません。2人とも何年も前の話です。親だとかの関係で日本を離れる事が難しい人もいるでしょうが、自分の能力を生かせ、やりたいことができるなら、魅力ある国で働きたいと思うのが当然です。日本人からも世界中の人からも働きたいと思える国にすること。極めて重要であり、そんな新しい資本主義の日本にしてもらいたい。自分も微力ながら、そのようにすべく努力したいと思います。

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2022年6月21日 (火)

アベノミクスの失敗

最近の外国為替市場の動きからは、アベノミクスの失敗を痛感してしまう。アベノミクスとは、通貨供給を増加し、日銀の政策金利をマイナスにしてまで通貨供給量を増大し、日銀による市場からの国債その他金融資産の買入れを実施する。マーケットには、大量の円通貨があふれることとなった。日銀発表に書いてあることは依然として強気発言である。しかし、アベノミクス低金利政策とは、通貨としての魅力をなくすことであり、その結果として、日本経済を破滅に導く導火線の役割を果たすと思うのである。私の考えについて、以下述べてみたい。

1) 最近の米ドル・円為替相場

次が3月1日以降の米ドル為替のチャートである。あれよあれよという間に17%の円安(米ドル高)になってしまったのである。

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本来なら17%も為替が動けば、大騒ぎのはずが、随分平穏である。日銀は、政策金利の引き上げを発表し、外国為替レートを落ち着かせ、物価上昇から国民や日本経済を守姿勢を示して良いはずが、アベノミクス継続を発表する。

2) 1米ドル360円時代からのチャート

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1969年は1米ドルが360円の固定相場の時代であった。1987年に135円となった時があった。しかし、当時はバブル期。今とは違い、日本人・日本景気は活力と夢を持っていた。力があった時代である。今は、日銀の低金利でゾンビが生き延びており、ゾンビと共生している日本経済のような気もしてしまう。本来はゾンビなんかではない若者が非正規雇用の労働者となり社会を支える。奇妙な姿である。アベノミクスの前の2011年頃には80円を切る70円台であった時代があった。

3) ユーロや人民元との比較

米ドルと円の為替のみではなくユーロとも比較するのが適当であり、更には人民元とも比較するチャートを見る必要がある。そこで作成したのが次のチャートである。円、ユーロ、人民元が何ドルに相当するかを計算し、3年強以前の2020年6月1日の数値を1として比較をした。ドル相当を単位としているので、円高に振れれば1より大きく、円安になると1以下となる。

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チャートを見れば、円安が一目瞭然である。アベノミクスを続けていれば、日本は破滅に向かう気がするが、参議院選が終わらないと方向転換できないだろうなと思う。

4) 穀物相場

日本は世界の中の日本である。世界経済の中の日本経済である。アベノミクスを止めることは、国債の暴落を招き、国債を大量に保有する地銀等は大損失を計上し、金融不安につながる。しかし、一方で世界の中の日本を認識しないと日本全体の破滅となりかねない。次のチャートは2016年以降の米国小麦相場であるが、2021年以降の価格上昇は激しい。日本は、無関係とは行かない。アベノミクスをアホノミクスと呼んだ人がいたが、それはそれとして、今後の日本における経済政策は、どうあるべきかと言えば、アホノミクスではないとしても、非常に難しい課題だと思う。ゾンビ退治とある種の脱皮なのだろうか?

Chart

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2022年6月12日 (日)

強制貯蓄-日銀預金統計の分析 : 衆院財務金融委員会での黒田東彦日銀総裁の発言撤回に関して(その2)

前の6月10日のブログで書けていなかった部分が、強制貯蓄に関する発言であり、これこそ問題視して、民主政治が解決せねばならない問題と考える。「きさらぎ会」での講演で強制貯蓄に触れつつ話をした黒田発言の部分を抜き出すと次である。

ひとつの仮説としては、コロナ禍における行動制限下で蓄積した「強制貯蓄」が、家計の値上げ許容度の改善に繋がっている可能性があります。いずれにせよ、強制貯蓄の存在等により、日本の家計が値上げを受け容れている間に、良好なマクロ経済環境を出来るだけ維持し、これを来年度以降のベースアップを含めた賃金の本格上昇にいかに繋げていけるかが、当面のポイントであると考えています。

「強制貯蓄」とは、聞き慣れない言葉であるが、貯蓄者の自由意志によってなされる自発的貯蓄や、法律等に強制される強権的貯蓄でもなく、社会的・経済的理由で非自発的に貯蓄となってしまった貯蓄である。黒田発言の具体的な意味は、コロナ禍で止むを得ずに貯蓄に回ってしまった貯蓄である。

そのようなコロナ強制貯蓄が日本経済を動かすほど、あるのかと多くの人は疑問に思うはず。これぞ庶民感覚からかけ離れた黒田発言である。コロナ禍で収入が減少し、貯蓄を取り崩している人が大勢いる。感染拡大防止の取り組みとして、旅行や飲食を控え、その費用をアフターコロナのために貯蓄に回した人もおられると思う。しかし、そんな貯蓄は、今来ている物価上昇により、すべて吹っ飛びそうでもある。

一方で、大金持ちは、どうだろうかと言うことで、日銀の預金統計を分析した。いったい国内の個人による銀行預金は幾らあるかというと、2022年3月末で539兆円である。預金残高階級別の預金金額は次の円グラフの通りである。

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預金残高が2018年3月以降、どう推移したかを見たチャートが次である。残高3百万円未満の預金では、ほとんど変化がないが、全ての預金を合計した残高で、2018年3月から4年間で1.17倍、1億円-3億円の預金は1.47倍になっているのである。預金残高の増加は、預金の運用利回りによる部分もあるが、他の資金運用や投資、給与や個人事業所得あるいは法人への不動産売却収入等による増加もあるので、単純ではない。しかし、2018年3月から2022年3月までの4年間で個人預金の総額は459兆円から539兆円へと80兆円増加したことを日銀統計は物語っている。

Bankdep202206b

増加額80兆円のうち2020年3月から2022年3月までに増加したのが55兆円であり、コロナ禍の期間の預金増加額がコロナ前の2018年3月から2020年3月への増加額25兆円よりはるかに大きいのである。コロナ禍は、黒田説の言うように強制預金を生むと言っても良いのかも知れない。しかし、そうなると、それは大口預金を持つことができる富裕層に限られるように思う。そして、これが正しいのなら、富裕層から一般庶民への所得再配分の仕組みを構築することを目指さねばならない。所得税増税を実施するか、消費税インボイス制度を利用して高所得者の脱税摘発の強化をはかるのかな?消費税減税なんて、とんでもないように思う。

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2022年6月10日 (金)

衆院財務金融委員会での黒田東彦日銀総裁の発言撤回に関して(その1)

このブログのタイトルを書いていて、良い表現になっていないと自分でも思う次第です。撤回したのは、8日の衆院財務金融委員会であるが、当該発言は6月6日の共同通信の「きさらぎ会」という講演での発言である。6月6日の講演会に於ける黒田発言については、この日本銀行のWebから全文をダウンロードできる。

発言撤回については、この6月8日のNHKニュースの報道のように「「家計が苦渋の選択として値上げをやむをえず受け入れているということは十分に認識している。誤解を招いた表現で申し訳ないと思っている」と、改めて陳謝し、そのうえで黒田総裁は「家計が値上げを受け入れているという表現は、全く適切でなかったということで撤回する」と述べ、発言を撤回しました。」と言うことである。

撤回した発言とは、どのような発言であったのか、日銀Webから抜き出すと(9ページ後半以降)

このように、企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているのは、持続的な物価上昇の実現を目指す観点からは、重要な変化と捉えることができます。この点について、東京大学の渡辺努教授は、興味深いサーベイを実施されています(図表9)。・・・・・


渡辺教授は、許容度とは述べておらず、値上げに対する耐性と述べていると黒田氏も認め不適切発言とした。ところで、値上げに対する耐性とか許容度とかは、何を根拠にしている発言かというと、次の渡辺教授の2022年4月のアンケート調査の結果である。2021年8月と比較して「その店でそのまま買う」と「他店に移る」の比率が43:57から56:44へと変化した。当然、様々な理由が考えられるのである。私なんかにすると、重要なことは、耐性とか許容度という言葉の問題より、どのようにして産業(経済)の発展による人々の幸福を追求するかが重要と考えるのである。値上げは悪いこととは限らず、値上げが産業(経済)を発展させ、人々を幸福にするなら良いことである。

Prices20220610


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2021年10月17日 (日)

低賃金を打ち破って将来の日本を開拓しよう

日経が次の記事を掲げていた。

日経 10月16日 日本の年収、30年横ばい 新政権は分配へまず成長を データが問う衆院選の争点

有料会員限定となっており、次の日米英ドイツの4カ国比較のグラフが有料部分にある。なお、私はOECD統計データからグラフを作成したが、日経記事にあるOECD平均という数字を見つけることができなかったので、次のグラフでは省略した。

Wage202110

1990年以後まったく上昇がない日本の賃金であります。情けなくなるわけですが、賃金に分配する前の各国の利益(付加価値)に相当するGDPを見てみる必要があります。今度は、IMFのWorld Economic Outlook 2021年10月版から比較をしている4カ国について同じ期間である1990年から2020年までの米ドル換算したGDPの推移グラフを作成しました。国としてのGDPではなく、人口で割算をした一人あたりのGDPとしています。

Gdpcapita202110a

グラフの形が賃金とGDPでまるで異なるのです。日本の賃金は今の倍であってもおかしくないと思えるような感じです。最低賃金は2000円であってもおかしくないと思える。減税とかバラマキなんて言わずに、賃金倍増を図るとの政策を今からでも掲げてくれないかと思います。応分の税金を当然払うので、目こぼしが出てしまう人々には政策的な配慮・支援を行って欲しいと思います。

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2021年6月22日 (火)

日本社会はガラパゴス経済

ガラパゴス経済とは、うまい表現かなと思った。次の日経記事からです。


日経 6月22日 世界一律価格、日本に押し寄せる ネトフリ13%値上げ 安いニッポン・ガラパゴスの転機(1)


日米でのiPhone 12 Pro Max 512ギガバイトの販売価格を月収金額との比率で表すと日本45%に対して米国25%になるとある。日米2019年の平均月収は記事に37万円と5500ドルとある。iPhone 12 Pro Max 512ギガバイトの販売価格はAppleのWebを探せば分かる。日本では165,880円(ここ )、米国では1,399ドル(ここ )であり、日経記事の通り日本45%と米国25%となった。


Appleの価格が適正かどうかは難しいところであるが、日経記事が指摘している「日本では賃金が伸びていない」は事実である。日本マーケットをどう考えるかより、Appleにとっては世界戦略が重要であり、日本は世界の中の一部である。


日経記事は『消費も伸び悩み企業収益も低迷する悪循環が続いている。連合の神津里季生会長は「今の構造のままだと、社会全体での賃上げは難しい」ともらす。』と述べている。その通りと思う。是正に向けての改善ができていない。3号被保険者制度がなくならない。その結果、主婦の低賃金パート労働が存続し、全体の賃金水準の伸びを抑えている。放置している結果は、力の強い者が大きな配分を得る結果となる。努力した結果として報われるのは悪いことではない。しかし、合理的な制度となっており、公正な状態を実現できているかどうかは、常に見直しが必要である。


世界に取り残されてもつまらない。 日本社会・日本経済がガラパゴス化していないかを常に検証し続けつつ発展するようにすることは重要である。

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2021年6月11日 (金)

これは酷い 信頼情報を書けない朝日新聞

日経の記事をまずは掲げます。

日経6月9日  法定通貨にビットコイン、エルサルバドル 世界初

日経の記事は冷静に実情を伝えている。一方、問題の朝日新聞の記事はこれ である。 「エルサルバドルは最貧国の一つ」とか「格差が大きい」との表現がある。

エルサルバドルの外務省基礎データはここ にあり、 一人当たりGNP4,676ドル(2019年、中銀)、経済成長率2.38%(2019年、中銀)となっており、悪い数字ではない。2021年4月のIMF World Economic Outlookでは2019年4,186ドルとなっている。インドネシアが4,196ドルでほぼ同じ。フィリピンの3,512ドルより高いのである。朝日新聞が言う最貧国とは、どのような国なのだろうか。

所得格差を論じる場合に、有効と思える指標としてGINI係数がある。GINI係数は所得格差がなく全員同じ所得の場合はゼロであり、全所得がある一人に偏っていた場合は100%となる。世界銀行のデータによれば、エルサルバドルの2019年GINI係数は38.8となっている。ちなみに日本のGINI係数は2013年32.9であり、インドネシアは2019年38.2であり、フィリピンは42.3である。なお、参考まで米国のGINI係数は2018年41.4となっている。

データからするとインドネシアとほぼ同じ。勿論、人口はまるで違うので、それほど比較しても意味はない。しかし、朝日新聞の記事は偏見に満ちていると思う。こんな新聞読みたくない。

 

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