2023年9月23日 (土)

ジャニーズ問題を考える

ジャニーズ問題って、頭の中がかき乱され、混乱の窮地に陥って、正常な神経では対応できなくなる感覚である。 しかし、記録にとどめ、.問題の本質を知り、問題発生を防ぐ努力をする必要性を感じる。

1) ジャニー喜多川の性加害とは(1950年代から始まっていた)

性加害というが、そこには被害者が存在する。 見て見ぬふり、知っていて知らぬふりをしていた関係者もいるはずと確信する。

本問題については、ジャニーズ事務所が調査報告書をWebで公開しており、このページから報告書と概要版がダウンロード出来ます。 報告書は、事件に関して、かなり突っ込んで調査・報告しています。(事件との表現はマスコミ等で、ほとんど使われていないが、加害者と被害者が存在するからには、刑法・その他の法で犯罪とならなくても事件と言えると考える。)

ジャニー喜多川は、1931年10月アメリカで生まれ、1933年に日本に帰国した。 1962年ジャニーズ事務所を個人開業。 1975年1月に株式会社として法人化したのであるが、性加害が1950年代から始まっていたとなると、ジャニーズ事務所を始める前からである。 報告書19ページは次の様に記載がある。

特別チームは、上記のとおり、特別チームへの調査協力を承諾した被害者のヒアリングを実施し、各被害者からジャニー氏による性被害について以下のような話を聴取することができた。
・1950年代、ジャニー氏が小学校低学年男児であった被害者の自宅に泊まった際に、あるいは遊びに来た同級生の男を自宅に送る車の中で、口腔性交などの性加害が繰り返された(ジャニー氏20歳頃)

21ページには、次の様にある。

ジャニー氏は、古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、上記のような性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる。 

ジャニーズJrとは、デビューを目指してレッスンを行いながら芸能活動を行っているジャニーズ事務所所属タレントで、アイドルを目指す少年達である。1980年代当時は10~20人程度であったが、2000年頃には200名程度になり、2017年から2019年当時は全体で300人くらいのジャニーズJr.がいたとのこと。ジャニー喜多川が、自宅や合宿所や公演先の宿泊ホテル等において、ジャニーズJr.のメンバーを含む多数の未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾した上、キスをしたり、身体を愛撫したり、性器を弄び、口腔性交を行ったり、肛門性交を強要したりする、などの性加害を行っていた。(報告書21ページ)

被害者は、当然「自分の中で蓋をして終わらせていた過去で、ニュースなどを見るたびに当時のことを思い出して、フラッシュバックし、嫌な思いをする。」という当然のことが生じる。 報告書の24ページから26ページに書けて被害状況に関する調査報告があるが、未成年の時に受けた性被害の深刻さを感じる。例えば、次の様な記述もある。

度重なる幻聴やフラッシュバックで、自殺願望も抱くようになった。
女性と性交をしている時もジャニー氏の性加害を思い出して恐怖感を抱いたり、食事中にもそのような場面を思い出して吐きそうになったりしたこともあった 。
社会に出て仕事を始めるようになってからも、同性不信があり、権力がある人やジャニー氏と同年代の人を見ると恐怖を覚えました。
人に話せば、自分のことも「変態」「お前やられたんだろ」とからかわれるのがオチだろうと思って、家族にも誰にも話しませんでした。
私は、性欲はあり、マスターベーションはできますが、この年になるまで女性と関係を持ったことはありませんし、性風俗に行ってもできません。

男が男にする性被害は、妊娠とか相続とかの問題を生じさせないと簡単に扱うことができない、心の中に傷跡を残す甚大な犯罪だと思う。

(2) 報道等はどうだったか

ジャニーズ問題は、BBCが本年3月27日に報道した後、急展開を見せ、6月も立たないうちに、今のようになった。 BBCが報道したのは動画であったが、この2023年3月7日のBBC NEWS JAPAN の内容とほぼ同一であったと思う。

では、それ以前はと言うと、この弁護士ドットコムニュースによれば、やはり様々に報道や証言はあったのである。

  • 1965年の『週刊サンケイ』(3月29日号)
  • 1967年『女性自身』(9月25日号)
  • 1981年『週刊現代』(4月30日号)

1988年にはジャニーズグループ「フォーリーブス」のメンバーだった北公次氏が『元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』(データハウス)を出版し、この本の中で、ジャニー喜多川から自身が受けた性被害を赤裸々に綴り、これを受けて、1年ほどの間に『アサヒ芸能』、『週刊文春』、『FOCUS』、『週刊大衆』、『微笑』などで、北氏や匿名の元タレントらの証言の掲載があった。

(3) 1999年週刊文春キャンペーン

週刊文春は1999年10月から14週にわたってジャニーズ事務所とジャニー喜多川に関する報道キャンペーン記事を掲載した。 この中で、ジャニー喜多川の破廉恥犯罪行為についても触れられていることから、ジャニーズ事務所とジャニー喜多川は計8本の記事について、文藝春秋を名誉毀損で提訴した。どのような記事であったかは、文春オンライン期間限定無料公開としてここにあり、読むことができる。

2002年3月27日、東京地裁は「少年らの供述は、ジャニー喜多川のセクハラ行為を真実であると証明するのは、なお足りるものではない」とし、文春側が敗訴。文春に事務所と個人に合計880万円の支払を命じた。

二審東京高裁では改めて証人調べをしたわけではない。 一審の記録を全て読み判断し、一審で『真実相当性は認められない』としたが、二審では『セクハラに関する記事の重要な部分について真実であることの証明があった』とした。

地裁と高裁が全く逆の判断となったわけであるが、証言者はすでにジャニーズ事務所からも芸能界からも離れている少年2人で、証言は別の裁判所で非公開の形で行われた。 証言者とジャニー喜多川との間には衝立が立てられ、お互いの姿は見えない。しかし、声は聞こえるので、ジャニー喜多川には証言者の特定は可能であったはず。判決は「セクハラ被害」の真実相当性が認められ、ジャニーズ側から文春に対し計120万円の支払い命令となった(2003年5月15日)。

ジャニーズ側は上告するが、最高裁は2004年、棄却。高裁判決が確定した。

(4) 2000年4月13日衆議院 青少年問題に関する特別委員会

ここにその会議録があるが、ジャニー喜多川の性加害問題は衆議院の特別委員会でも取り上げられていた。

議事録の038から077まで、阪上善秀委員の質問とその答弁を読むと、国会で23年前にここまで取り上げられていたんだと感心してしまう。 社会の状況もあるが、2000年4月国会、2003年5月高裁判決より、BBC報道が世の中への影響が大きいのかと思ってしまう。なお、阪上善秀委員の最初の質問は、次であった。

038 次に、最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。
 報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。
 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます。
  うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。
 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります。
 ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。

 5月15日の報道藤島ジュリー景子社長の謝罪が、私が気づいたこの事件の最初の報道で、何が何だかよく分からなかった。 ジャニーズ事務所やそこに属するタレントに関する知識は少しだけあったが。 陰で多くの人権侵害があり、それを社会は救うことができなかった。 野放し犯罪があった。 そんな教訓なのかなと思う。

| | コメント (0)

2023年6月17日 (土)

LGBT法成立で考えさせられた

LGBT法成立で考えさせられたことがある。

日経 6月16日 LGBT法が成立「不当な差別」否定 自民の一部退席

法律の名称は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」というわけで、ジェンダーアイデンティティとは何のことやと思ってしまう。憲法第14条の「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」が私には、極めてすっきりする。性(ジェンダー)の区分(アイデンティティ)を複雑化(多様化)して訳の分からないことにするのかなとおもってしまう。

1) 訳の分からない修正がなされる国会

この日経ビジネスの記事にある松中権氏の指摘を読んで、酷い修正案が採択されたと同感した。「性同一性」を「ジェンダーアイデンティティ」と読み替え、訳の分からない日本語にしている以上に、松中権氏が懸念する第12条の追加である。気にしなければ、当然のことと思ってしまう。しかし、マイノリティー保護についての法律で、この条文があると、多数による少数のいじめ・圧迫・差別を助長する懸念を彷彿させる。憲法第14条のような差別禁止ではなく、これじゃ差別やむなしとなってしまう。その問題の12条とは、次である。

 この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

この12条の追加修正案は、自民党・公明党で了承されたのであるが、この公明党のニュースを読むと、公明党ってそんな党なのねと思ってしまった。

2) オリンピック憲章における差別禁止

松中権氏は、オリンピック憲章の根本原則第6について触れておられる。オリンピック憲章も日本国憲法も差別禁止を謳っているのである。差別主義者には投票なんかしないぞと誓いたい。

このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。
 The enjoyment of the rights and freedoms set forth in this Olympic Charter shall be secured without discrimination of any kind, such as race, colour, sex, sexual orientation, language, religion, political or other opinion, national or social origin, property, birth or other status.

| | コメント (0)

2022年12月17日 (土)

防衛費2.6倍がムードや雰囲気で決まってしまう気がする

日本の防衛に関する方針が閣議決定されている。重要なことなのだが、国民の間での、議論はできていないと確信するのである。

日経 12月16日 岸田首相「防衛力強化が外交の説得力に」 記者会見

岸田内閣総理大臣記者会見 令和4年12月16日

閣議決定したのは、来年度から5年間の防衛力整備計画における総額を約43兆円とし、現行計画の約27兆円の約1.6倍にするということである。ところで、令和4年度の防衛費と呼ばれる防衛省所管の支出予算は5兆3687億円である。このうち人件・糧食比が2兆1881億円で、物件費が3兆2915億円となっている。ところが、防衛力整備計画には、43兆円について「新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)は、43 兆5,000 億円程度(維持整備等の事業効率化に資する契約の計画期間外の支払相当額を除く)」と書いてある。なお、12月16日閣議決定の中期防衛力整備計画はここにあります。

私の算数によれば、43 兆5,000 億円の5年間平均は8兆6000億円になり、3兆2915億円の何と2.6倍以上になるのである。そりょあ、無茶苦茶な国民に対する騙しだろうと言いたい。

日本国民の一致した信念は、平和主義であると確信する。即ち、対話を優先し、文は武よりも強しであり、武器・軍事力よりも強いものがある。ウクライナは、人口が自国の3.5倍もあるロシアと戦って負けてはいない。両国の軍事力が拮抗しているからでもなく、やはり外交戦略でウクライナが1枚上手であると言えると思う。

日本に対してウクライナの状況をあてはめるのは間違いであり、日本は日本の方針・戦略を持つべきである。第2次大戦でアジアを戦場に巻き込んだ日本であるが、逆にそれを踏まえて、同じ目線に立って平和戦略を考えることもできるはずである。武器に金を使うなら、その金の一部を周辺国や世界との平和追求のための組織作り支援に充てた方が、よほど平和に貢献すると考える。

このNHKニュース 12月15日は、「安全保障関連の文書をめぐって、有識者らで作るグループが抑止力に頼らない政策などを盛り込んだ提言を発表しました。」と報道している。この会議のYou Tubeが次のアドレスにあり、興味深い内容が語られている。

https://youtu.be/1xR6BinP1Ks

| | コメント (0)

2022年12月 7日 (水)

原発対応を含め災害対応庁の新設はどうか

9月2日のこのブログ で、岸田首相が「原子力発電所については、再稼働済み10機の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ってまいります。」と述べたことを紹介したが、最近は化石燃料の価格の高騰による電気料金上昇やこの冬の電力需給逼迫の懸念もあり、原発再稼働やこの11月28日日経ニュースのように廃止が決まった原発の建て替え案も浮上している。

福島原発事故で、私が思ったのは、日本そのものの脆弱性についてである。日本の和歌や古文は日本の自然の美しさを讃え、喜び、日本に生まれ生きていることの感激を述べているものが多い。一方、現代人は自然科学や社会科学を持っている。科学的な研究、調査、分析、思考等様々な方法を駆使して、豊かな社会や生活を実現していく努力を継続すべきである。ところが、日本は、特に日本の制度は、十分に合理的とは言えず、改善すべきことは多いと考える。原発について考えるなら、現状の制度や仕組みのままで良いのかも、十分考えるべきである。

1) 福島事故菅直人現地視察の謎

首相ともあろうお方が、事故翌日の3月12日の午前7時11分から約1時間近く福島第一原発を視察・訪問している(参考:この共同通信:津村一史の記録(YahooNews) )。午後3時16分に1号機の水素爆発があったので、それは約7時間後のことであった。津波による全電源喪失が15時37分だったから、電源喪失から爆発までほぼ24時間。

そのような原発が爆発する危険を承知で首相は現場に行ったのではないはず。無知はあったかも知れないが、正確な情報や分析結果が届いていなかったのか、官邸主導だと言って聞く耳を持たなかったのか、それとも妥当な分析やシミュレーションが実施されていなかったのか、原因は不明である。「安全が確認された原発」という不思議な言葉を耳にする。100%の安全はあり得ない。何故なら人間だからである。人間だからこそ、漏れは否が応でも出てしまう。しかし、人間だからこそ、漏れに対しても臨機応変な対応もあり得るのである。

あえて一言言うなら、原発を運転する電力会社に全ての責任を押しつけるのは間違いである。当時、官房長官は電力会社に責任があると言い続けていたことを思い出す。この資源エネルギー庁の説明地図によれば、原発で現在稼働中は7基、停止中3基、設置変更許可7基、審査中10基、未申請9基で国内に36基の原発がある。電力会社(発電会社)の数では11社である。これらの原発を安全に管理・運転するための役所を作ってはと思う。

2) 災害対応庁の新設

米国FEMAを思うのであるが、FEMAは災害に関して大きな権限を持つ役所である。日本には、これに該当する役所がない。災害は、消防・地方自治体・総務省・国交省の担当であるのだろうか?災害対応は市町村役場の対応のようになっている面があるが、余りにも不透明と思う。災害への対応とは、災害発生前から発生時のシミュレーションを行い、対応を考え、計画することからスタートする。市町村・都道府県レベルより大きい国レベルの検討・対策・対応が必要である。なお、市町村・都道府県の役割は重要である。市町村・都道府県に責任を押しつけても最善の結果は生まれないのである。災害対応庁をつくれば、合理的な災害対応が計れると考える。

運転を止めても原発の使用済み核燃料や高濃度を含め放射性廃棄物は存在する。どのような体制でどう管理するのか、リスクは残り続ける。災害リスクは政治家に行くのではない。国民に行くのである。原子力災害を含め全ての災害は、国民に対するリスクである。

NHKは、このWebページで、原発運転延長との題で、様々な論点を述べている。原発運転延長が議論されるなら、その議論の中で、原発事故対応や政府の組織・権限のあり方、事業者の解体・再編を含めた合理的な仕組み構築を含めた検討をすべきと考える。

| | コメント (0)

2022年9月 2日 (金)

原子力発電に関する方針

NHKニュースが伝えたのは次でした。

NHKニュース 2022年8月25日 政府 原発7基 再稼働目指す方針確認 次世代の原子炉開発検討へ

この件について首相官邸のこのWeb Pageは、「総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。」として、以下の様に書いています。

電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えてあらゆる施策を総動員し不測の事態にも備えて万全を期していきます。特に、原子力発電所については、再稼働済み10機の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ってまいります。

官邸のWebだと10基の稼働であり、NHKによれば更に7基を加えた17基となっており、よくわからず、8月24日のGX実行会議のWebbがここにあり、資料1の12/27ページの記載によれば、①今冬までの最大9基の稼働確保並びにその次の②来夏・来冬からの高浜1・2、女川2、島根2の着実な再稼働、および柏崎・刈羽、東海第二の再稼働へ向けた取り組みが記載されている。

なお、最重要なことは、原発を稼働させる・運転するとするならば、現状で良いのか、どうすべきかをきちんと考えることである。

1 福島事故から学ぶべき事はないのか

福島事故からの教訓を生かすことなく、原発を再稼働だ、新設だと動くべきではない。

2011年3月の福島第一原発の事故の水素爆発を整理すると、次の表の通りである。

3月11日14時46分 地震発生
 13時37分 津波襲来 交流・直流の全電源喪失
 13時37分 1号機 冷却機能を喪失(全電源喪失と同時)
 3月12日15時36分 1号機 水素爆発
 3月13日 2時42分 3号機 バッテリー枯渇により冷却機能を喪失
 3月14日11時01分 3号機 水素爆発
 3月14日13時25分 2号機 冷却機能を喪失
 3月15日 6時14分 4号機建屋 3号機からの水素により爆発
 3月15日 午前 2号機 建屋外に放射性物質の飛散
出所:東京電力ホールディングス https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_1-j.html より

3回の水素爆発により放射性物質が福島原発より大量に大気中に排出された。1号機は、直流電源が全く使えず。2号機と3号機の直流電源はバッテリー枯渇まで利用できたので、枯渇まで冷却できた。

2 水素爆発は防ぎ得なかったのか

1号機は津波来襲と同時に冷却機能を喪失し、まっしぐらに水素爆発へと突き進んだ。果たして、防ぎ得たかであるが、直流電源(バッテリー)を直ちに用意することができてたならば、付け加えて電源車もと思う。1号機の冷却装置である非常用復水器は電動弁のため作動しなかったとのこと。もし、自衛隊が災害派遣でバッテリーを輸送していたならと思うが、どうなのだろうか?

いずれにせよ、事故対応が十分であったのか、そのことは原因究明のみならず、極めて重要である。事故対応について調査し、教訓はないか、研究すべきである。

3 原発の大事故対応については、特別な仕組みが必要と考える

ここに官房長官記者発表2011年3月12日午前がある。福島原発に関しては、「非常用炉心冷却装置による注水が不能な状態が続いておりますが」と述べているのだが、余り緊迫感はないと感じる。パニックを起こさないようにと、冷静に述べていることは理解できる。しかし、実際に起こったことは、上の表の通りである。3月11日14:46地震発生、15:37津波襲来そして1号機の冷却・注水・減圧機能の喪失、翌12日15:36水素爆発(1号機)となったのである。

このNEWSポストセブンの記事(2011.03.20)は、{保安院の中村幸一郎・審議官が、「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」と記者会見で明らかにした。ところが、菅首相は審議官の“更迭”を命じた。}と報じている。

安心・安全な原発は安全性が確認された原発であることのみならず、運転・管理する体制も重要なのである。事故が大規模な災害を招く原発のようなものは、民間企業に運営を任せることだけでは済まない。事故が発生すれば、お前の責任だと追及しても、その企業の負担能力を超える責任を追及しても意味は無い。国で責任を持つ。国とは国民である。運転は、民間企業が行うが、国のあるいは独立した有能な機関が事故の発生がないように監視をし、改善や使用禁止等を決定できるようにする。立法により仕組みを作り上げる。

考えれば、原発とは原爆とイコールである。譲っても、同等・同程度という位である。原発を進めるなら、原爆を監視するのと同程度の管理やケアが必要なのである。今回の岸田総理の発言を機会に、誇れる管理システムを構築していくべきである。審議官の“更迭”を命じる首相は、あの人には限らず、今後も出てくる可能性はある。変なのが首相になっても大丈夫な制度を構築しなければならない。

3 世界の原発

次の表は世界の原子力発電所である。2021年12月末現在400GW近い原発が存在し、56基で計58GWの原発が建設中である。福島の事故を経験した日本だからこそ、世界に向けて発信すべき事があると考える。使用済み核燃料のプルトニウム問題も極めて重要である。なお、原発を止めても、それまでの発電により発生したプルトニウムは存在するわけで、プルトニウムは、将来の原爆のために保有しましょうとはできないのである。

Nuclearplantworld202112

| | コメント (0)

2022年8月23日 (火)

本質論ができないのかな?(Asahi vs NHK)

書いてあることが嘘だと言うことではないが、頭に入ってこないことがある。朝日新聞が「夫婦別姓 対立の120日」として、この8回の連載 を8月21日から始めているが、読んでも頭に入ってこない。

そこで、このNHKの記事(2022年3月25日) を読むと、j内容が理解でき、すっきりした。報道により、これほど差があるのだと思った。

夫婦同姓を維持したうえで旧姓の通称使用」とは、何であるのか、便宜的に結婚前の姓を使うとしか私には考えられない。正式に旧姓を使えるようにしたなら、同一人が2つの名称を持つわけで、管理は大変になる。例えば、マインバーカードには2つの姓が記載されることとなるが、どちらを1番目に書いて、2番目は次の姓、そして名前が来る。一方で、相手の同一性を使う人は、姓と名前だけ。

結婚しても、姓を変える必要はない。これで十分である。

そもそも、結婚して姓が変わることが変である。勿論、同一性を名乗りたい人は、名乗れば良い。二人で、新しい姓を決めて名乗っても良いのだろうが、混乱が生じるかも知れない。しかし、マイナンバーカードが普及して、マイナンバーが個人の識別の方法として使う社会になれば、姓と名なんて、いくらでも改名して次々と変わっても良いのかも知れない。余り変えると、社会的信用を失うことになる可能性は大きいかな?でも、昔の日本もそんな社会だった。

明治31年公布の旧民法前は、夫婦同姓の現在の制度ではなかった。従い、日本旧来の制度に戻すなら、夫婦別姓が正しいのである。

山本五十六という人がいた。この人1943年4月18日に死亡して、同年6月5日に国葬により葬儀が行われているのであるが、この人が日露戦争に海軍少尉候補生として日進という一等巡洋艦に乗船している。日本海海戦で、1905年5月27日17時30分頃ロシア艦からの砲撃が前部砲塔の右砲に命中し、この人は負傷している。実は、この人の名前は、高野五十六として記録されている。養子になる前の生まれたときの姓である。

旧民法で恩恵を受けた人も大勢いるとは思う。しかし、逆に悲しい思いをし、不幸であったと感じた人も多いはず。現在でも、夫や妻と一緒に墓には入りたくない。まして、嫁ぎ先の先祖の墓なんて・・・と思っている人は大勢いると思う。法や制度は、人の幸福を追及し、実現するためにある。人を中心として考えていきたい。

| | コメント (0)

2022年7月20日 (水)

新聞の見出しは恐ろしい

新聞の見出しは恐ろしいと思ったのは、次の朝日新聞の記事です。

朝日新聞 7月19日 断水の損害、条例で免責は「ダメ」 最高裁判決、各地に影響か

記事を読むと「沖縄県宮古島市は、市条例で給水の制限や停止で損害が生じても市はその責めを負わないと定めていることから断水は免責として争い、地裁と高裁はこれを認めていた。しかし、これを最高裁は認めなかったので、各地の水道事業等に影響を与える。」との報道。

1) 最高裁の判断

最高裁の判決は、ここにあります。判決は、水道事業者は水道法15条2項のただし書き等災害その他正当な理由があってやむを得ない場合以外は供給義務が存在することを認め、本件断水につき、災害その他正当な理由があってやむを得ない場合に当たるか否かなどについて審理を尽くすべきとして高裁に差し戻した。

至極当然の判断である。新しい解釈を持ち込んだ訳ではなく、各地の水道事業等に影響を与えるとは朝日新聞の変な意見である。なお、水道事業は地方自治体の事業であることが多いが、民間も事業者になれるわけで、民間事業者の義務も同じである。

2) どのような断水事故であったのか

この7月20日の宮古毎日新聞の記事が実態をよく伝えていると考える。断水は2018年4月27日午後から5月1日未明までということなので、3日半の間、断続的に発生した。ゴールデンウイーク期間中ということもあり、島内の観光施設などは混乱した。宿泊施設等を営む2法人が損害の賠償を宮古島市に求めたが、その金額は約160万円と約190万円であった。なお、原告側の1人は「今後は平和的な解決に向けてお互いが歩み寄れたら良いとも思っている」とあり、高裁の審議開始前に、和解で決着する可能性もあると思う。

断水の原因はこの沖縄タイムスの記事は、「一、二審は断水の原因となった破損箇所が約40年使用されたとしつつ、更新などを検討しなかった」とある。一、二審は市条例により損害賠償責任が免除されると判断したことから、原因についてどこまで審理が尽くされたのか不明ではあるが。

3) 老朽化インフラへの取り組み

水道インフラもそうであるが、道路にしろ、老朽化しているインフラは多い。調査・点検を行い、補修計画を作成し、補修・改良・改造・再建設等必要な対策を実施しなければならない。そのための財源の確保も重要である。従来は、新設が多かったことから、補修関係はあまり顧みられなかった。

この最高裁の判断を契機として補修について前進することになればと期待する。今回のケースを事例とすれば、水道事業者はインフラの維持・整備に義務を有し水道事業の給水義務を負っている。故意や重過失がないと言って、免責にはならない。設備維持、メンテナンス、老朽化対策等の支出が増加しても、必要なら当然であり、そのための料金値上げがあっても受け入れなければならない。

新しい資本主義となるのかどうかは、よく分からない。しかし、料金据え置きや、公定価格が正しい訳はない。正常な発展を支える、合理的な需給を生み出す事業活動が重要である。水道事業・水供給も、合理的な権利・義務での事業活動で維持され、発展するのが良いと考える。

| | コメント (0)

2022年7月 9日 (土)

安倍晋三元首相銃撃事件から思う銃規制

安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件は、まさかと思う衝撃の事件であった。次のニュースにもあるが使用した銃は手製の銃とのこと。

日経 7月9日 安倍元首相の死因は失血死 司法解剖終え、遺体は東京へ

銃の規制が厳しい日本では起こるとは思っていなかった事件である。殺傷能力を持つ銃が手製で簡単に作ることができるということを示している事件と思う。戦前のテロ社会のようになるとは思わないが、理由のいかんを問わず、他人を殺すことは正当化されない。

どのようにして今回のような事件を防止するかは、やはり銃規制しかないように思う。犯人は、どのような銃を使用したのか、爆薬はどうしたのか、銃弾はどうしたのか等を含め様々なことが分かれば規制に対する方策も見えてくるのではと思うのだが。

次の図は警察庁の銃器発砲事件の発生状況(これ )からであるが、令和3年において発砲事件10件のうち8件が暴力団等の関係であった。これまでとは違った分野の銃規制・取り締まりについても取り組んでいく必要があると考えた。

Gun20220709

| | コメント (0)

2022年7月 3日 (日)

原子力発電をどう考えるべきか

1)最高裁6月17日判決

最高裁は、6月17日に東京電力福島第1原発事故の避難者らに対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を認めなかった。

判決文は、ここここにありますが、国会賠償とは、どのような場合に認められるのか、考えさせられる。1条1項の条文は「公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは」となっており、曖昧である。福島第1原発の被害者補償は、政府が東京電力に資金を供与し、その資金で避難者・被害者補償を行うという方法が採られている。裁判で争っても、被害者が東電に加えて国からも賠償金を受け取れるとは考えにくいと思う。金額が十分かという金額面については、別次元のこととする。

菅野博之裁判官は、補足意見として次の様に述べておられる部分がある。

私は、基本的には、原子力発電は、リスクもあるものの、エネルギー政策、科学技術振興政策等のため必要なものとして、国を挙げて推進したものであって、各電力会社は、いわばその国策に従い、関係法令(「原子力基本法」、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」、「電気事業法」、「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」等)の下、発電用原子炉の設置の許可を受け、国の定める諸基準に従って原子力発電所を建設し、発電用原子炉を維持していたのであるから、本件事故のような大規模な災害が生じた場合は、電力会社以上に国がその結果を引き受けるべきであり、本来は、国が、過失の有無等に関係なく、被害者の救済における最大の責任を担うべきと考える。国策として、法令の下で原子力発電事業が行われてきた以上、これによる大規模災害については、被害者となってしまった特定の人達にのみ負担をしわ寄せするのではなく、損失補償の考え方に準じ、国が補償の任を担うべきであり、それは結局、電力の受益者であって国の実体をなす我々国民が広く補償を分担することになると考える。
だからこそ、これに近い仕組みとして、原子力損害の賠償に関する法律が設けられており、原子力損害については、・・・

私もこのような考えである。原子力発電所とは原爆の兄弟・姉妹である。核分裂という全く同じ物理現象を利用する。核分裂とは熱エネルギーと放射線を発する放射性物質を生み出す。極めて危険であり、人に有害な反応である。しかし、莫大なエネルギーが取り出せることから、核分裂反応をうまくコントロールし、放射性物質を閉じ込めることができれば魅力的というか、莫大な富をもたらす可能性がある。

原子力発電所を建設し、運転して、電力を得るかどうかは、人間が決めれば良い。危険として、やめるのか。やるなら、どのようにしてコントロールしつつやるのかである。やるばあいは、規制について強制力を持ってやらねば恐ろしい。有効な法の下で実施する必要があると考えれば、法を制定できる国単位での実施しかないだろうと思う。

2)原発に関する最近の国際動向

世界的な温室効果ガス排出削減への動きに加えて、ロシアによるウクライナ侵略以後高まったオイル・ガス供給不安により原発建設が脚光を浴びつつあると思っている。日本であまり報道されなかったと思うが、岸田総理がロンドンで5月5日に行った基調講演で、原発について次の様に述べている部分がある。(首相官邸のこのページ

「喫緊の課題である気候変動問題に加え、世界全体でのエネルギーの脱ロシアに貢献するためにも、再エネに加え、安全を確保した原子炉の有効活用を図ります。」

原発の世界的な見直し動向に対して、日本がどうしてもしなければいけないことがあると思う。それは、福島第一原発で放射性物質の拡散を防ぐことができなかったのかである。津波で非常用電源が壊れた。しかし、緊急で電源を準備できなかったのかである。もし、かくかくしかじかのことを実施していれば、シナリオは、どう変わっていたのか。折角福島原発事故による放射性物質拡散を経験したのである。日本しか実施できない研究であると思う。

3)参議院選挙での各党の原発政策

参議院選挙での各党の原発政策を見てみた結果である。

自由民主党

政策パンフレット

“脱炭素”を成長の起爆剤にする(13ページ)

安全が確認された原子力の最大限の活用を図ります。

立憲民主党

政策を知る

環境・エネルギー

原子力発電所の新増設は認めません。廃炉作業を国の管理下に置いて実施する体制を構築します。

公明党

マニフェスト2022

経済の成長と雇用・所得の拡大(33ページ)

原子力発電に関する取り組みについては、国民の理解と協力を得ることが大前提であり、説明会などを通じた情報提供・公開の徹底等を図りつつ、国が責任を持って進めます。

日本維新の会

日本維新の会維新八策1.基本政策2021

原子力政策(22ページ)

小型高速炉など次世代原子炉の研究を強化・継続します。

日本共産党

2022年参議院選挙政策

(4)気候危機の打開――原発即時ゼロ、石炭火力からの撤退。純国産の再エネ(14ページ)

即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。

国民民主党

政策パンフレット

4 自分の国は自分で守る(12ページ)

法令に基づく安全基準を満たした原子力発電所は再稼働するとともに、次世代炉等へのリプレース(建て替え)を行います。

原子力についての政策のみで投票先を決める人は少ないと思う。また、原発なんて、政治家が口を出してはいけない分野であるとも思う。しかし、法律の関与なしの野放し状態で進めることはできない。原子力とはプロメテウスの火である。なくなりはしないのだろうな。そう考えると、バカには関与させたくない。これからの政治・民主主義においては、正しい意見を尊重する議員を選出すると同時に、そのような人を育て、且つ役所や企業に於いても、そのような人が活躍する社会を築いていかねばならないと思う。

| | コメント (0)

2022年2月20日 (日)

柳原病院の医師準強制わいせつ行為事件最高裁判決

昨年10月19日のブログ で無罪判決が期待できると書きました。昨日、2月18日に無罪判決ではないが、高裁判決を破棄し高裁に差し戻すという最高裁による判決が出されました。NHKニュースは、次の通りです。

NHKニュース 2月18日 “手術後にわいせつ行為“有罪判決破棄 審理やり直しへ 最高裁

最高裁の判決文は、この裁判所のWebにあります。

1) 最高裁判決が述べていること

8ページ目には、当裁判所(最高裁)の判断として、次の様に書かれている。

原判決(高裁判決)の判断は,様々な専門家の証言に基づき,本件手術の内容,麻酔薬の種類及び使用量,Aからの疼痛の訴え及び鎮痛剤の投与の状況,Aの動静等を総合的に評価し,そのような可能性があり得るものとした第1審判決(東京地裁判決)の判断の不合理性を適切に指摘しているものとはいえない。(注:Aとは、被害を受けた言う女性)

次は警視庁科学捜査研究所(科捜研)の鑑定についてである。(第10ページ)

上記のとおりのリアルタイムPCRによるDNA定量検査の原理に照らすと,本件定量検査において,科捜研が,標準資料と濃度を測定しようとする試料である本件付着物からの抽出液とを同時に増幅して検量線を作成し,濃度を測定するのではなく,あらかじめ作成しておいた検量線を使用したことが,上記の指摘にもかかわらず検査結果の正確性の前提となるPCR増幅効率の均一性の確保の観点から問題がないといえるのか,このような検査方法が検査結果の信頼性にどの程度影響するのかという点についても,必ずしも判然としない。・・・・検察官及び弁護人から事実の取調べの請求があり,その中には本件定量検査に関するものも含まれていたにもかかわらず,原審はこれらを全て却下し,この点に関する職権による事実の取調べも行わなかったため,結局,上記疑問点が解消し尽くされておらず,本件定量検査の結果の信頼性にはなお不明確な部分が残っているといわざるを得ない。

2) 最高裁の判断

10-11ページ

被告人が公訴事実のとおりのわいせつ行為をしたと認められるとした原判決(高裁判決)には,審理不尽の違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するというべきである。

3) 科捜研の鑑定についての私の疑問

最高裁判決が述べているところによれば、被害を受けたと言う女性の左乳首付近を午後5時37分頃警察官が、蒸留水で湿らせたガーゼで拭き取った。このガーゼの半量を用いて、アミラーゼ鑑定とDNA型鑑定を実施した。ガーゼの半量から50µl(0.05cc)の抽出液を得た。この抽出液に準強制わいせつ行為に問われた医師のDNAがPCR検査で検出されたというのが、科捜研の鑑定である。

新型頃ウィルスの検査で厚生労働省は検査の注意点で、「容器のふたを開けて唾液を直接滴下します。液体成分が十分量(1~mL程度)に達するまで・・」と述べているのです。

1~mL とは50µl の200倍から400倍です。新型コロナPCR検査が必要もないのに大量の唾液を要求しているとは思わないのです。やはり、警察や科捜研という所が、信頼できないと私は思いました。警察や科捜研が信頼を望むなら、客観性のある報告書を残し、検査対象の試料は適切に保管し、他の機関や組織が同じ検査を再現できるようにすることです。ウソの事実を曲げた鑑定がまかり通ることは、とても恐ろしいことです。警察権は、合理的に適切に使われなくてはならない。信頼を失った警察は、世の中を闇に陥れる。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧