2024年9月11日 (水)

県の補助金なんて、知事の一声で、増額できるのかな?

次のニュースを目にしました。

YahooニュースAera 9月10日 【独自】兵庫・斎藤知事らの補助金キックバック疑惑で金融機関幹部が重要証言「補助金と寄付はセットだった」

Aeradot 4/13 兵庫・斎藤知事を揺るがす「告発文書」 阪神・オリックスパレードにも疑惑が

昨年の阪神タイガースとオリックスバファローズの大阪と兵庫での優勝パレードに、兵庫県内の信用金庫が寄附をしたとのこと。 パンフレットを見ると確かに兵庫県内の信用金庫、信用組合の名前が「ご協力いただいたみなさま」の中に掲載されています。

上のニュースによれば、11月14日の時点では、県の金融機関向けの「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」による補助金は、補正予算で総額1億円だったが、16日には総額3億7500万円に増額され、最終的に斎藤知事の判断で総額4億円の補助金になったという。

これだと、知事の一声で、都道府県の補助金なんて、補正予算を積みまして、簡単に増額できるんですね。 一般的に言えば、補助金を増額して、キックバックも可能だろうな。 でも、刑法犯罪になるので、知事は辞任・退職しても検察庁から追及を受け、刑事罰となるのかな? そうだとすれば、バカな知事だなと思う。 実はもっと悪い共犯者がいる?

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2024年7月24日 (水)

日本の現状打開策

これで解決するという妙案や特効薬は簡単にはないが、せめて思うことを書きつらねます。

まず、日本の現状認識としては、次に書いた私のブログで取り上げた日本経済の伸び悩みです。

7月19日のブログ 実質賃金が伸びていない

5月14日のブログ IMF統計での一人あたり日本GDP第34位に思うこと

バブル崩壊以後、あるいは21世紀になり2000年頃から、ドル建てのGDPや実質賃金は、年によるバラツキはあるものの、ほとんど伸びていない。

1) 衆議院小選挙区・比例代表選挙が関係しているのではないか

1996年10月20日の衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制選挙が始まった。 日本のGDPや実質賃金の伸び悩みが始まった時期と似かよっており、関係があるのではとの疑問を持つのである。

小選挙区制が導入された最大の理由は、政権交代が起こりやすくすると言う制度整備であったと理解する。 少数党では選挙で不利となることから政党は2大政党化する。 また、政権交代のためには相手政党批判もさることならがら、国民の利益に適合した政策を考え、立案し、政策をアピールすることが選挙で重要となり、政治の健全化が期待されたと思う。 そのような結果として、政治や日本の産業そして国民の生活が良くなると期待されたはずである。

しかし、世界のなかで比較をすると、日本の成長・発展 が取り残されていることは、残念ながら否めないと思う。 議会や議員にその責任の一端があるとしても、制度面について考えることも重要と思うのである。

日経ビジネスに「チガサキから世間を眺めて」という連載を書いておられる松浦晋也氏が、6月28日の選挙をおもちゃにする人々が教えてくれることで、日本には中選挙区制が合っていたのではと疑問を投げかけておられた。  朝日新聞7月11日のインタビュー記事(全文は読めませんが) 小選挙区制が招いた政治の劣化 田中秀征さん語る「中選挙区連記制」において、同氏は中選挙区制を提唱しておられた。

私が思う小選挙区制の欠点は、小選挙区制では、個人の力だけでは当選可能な得票数の獲得はハードルが高すぎ、政党からの支持・応援を必要とすることである。 中選挙区制でも、政党なり支持団体なり相当程度の人々の支援を受けていなければ当選はできないのであるが、小選挙区制の場合は、選挙民・国民と対話をするよりは、政党からの公認取り付けに時間と労力を割く必要が生じる。

議員活動は、企業勤務とは異なる。 企業勤務なら、その企業の為に働くが、議員は所属政党のためではなく、第一の目的は国民のためであり、政党は手段である。 小選挙区制では、大政党の力は大きい。 その結果、ボス・実力者の力が大きくなりすぎ、歪みが生じることがあると思う。 例えば、政党の党首・総裁がワンマン主義であった場合、党内対立派には選挙で公認を与えず、刺客候補を立てるなんて変なことも生じる。

2) 政党交付金も廃止して議員個人宛に支給

政党交付金の交付は1995年に始まった。 令和4年分政治資金報告の概要がこの総務省のWebにあるが、政党交付金の総額は、315億3千7百万円です。 交付金受領額が一番多いのは自民党で160億円、第2位は立憲民主党67.9億円、第3位は維新の会31.7億円となる。 特記すべきは、政治家女子48党というNHK党が名称を変更した党(今は更に別の名称)で、1億98百万円の政党助成金が交付されている。 都議選で24人の候補者を擁立し、ポスターで物議を醸し出した政党である。

政党に交付金が交付されると、政党の中で権力を持つ者程、配分の際にその決定に関与できることになるはず。 本来、団体や政党は意思も感情も持たない存在であり、意思や感情は人間である個人が持っている。 個人一人では、力の弱い場合もあり、同じような考えの人が集まって行動することは多い。 政党の分散・離合や仲違い、再集合等は政治活動の自由を尊重せねばならず、禁止することは不適切である。 本来の姿は、個人による思想、主義、主張が出発点である。

従い、政党交付金は、政治活動支援金として議員個人に交付することにすれば良いと考える。 議員一人あたり年間3千万円以上となる。 基本的には、政策研究に使われるべきと思うが、政党本部への寄附に使っても良いし、政策研究のために研究秘書を雇用したり、コンサルタントやシンクタンク等外部へ政策研究を委託しても良い。 研究結果の報告書を発表し、自分が実現したい政策を研究結果を発展、展開して行ってもらえばと思う。

なお、議員個人に対する政治活動支援金は、税の対象とすれば良い。 そして、委託費を含め研究活動やその他議員活動の為として認められる支出は経費として認めれば良いのである。 課題解決や問題点の鋭い指摘を行った報告書を公表した議員は高い評価を受け、その結果、次の選挙では高い得票率が得られ当選する可能性が高くなるはずである。 好循環が生み出せるのではと期待する。

3) 選挙における投票は個人の重要な政治参加

NHKが7月14日午後9時からNHKスペシャル「永田町”政治とカネ”の攻防 ~改革のゆくえは~」という番組を放送していた。

この番組の中で、二階俊博氏がインタビューに答えて、次の様に述べていた。

『今度選挙に出るそうだけど、どういう政策に力点を置こうとしてんのか』って、そんなこと聞く人誰もいないんだよ。 みんな『金があるか』

地縁・血縁何でもありが、現実の選挙とすれば、収賄・贈賄は刑事罰になるが、政治活動を支援する純粋の寄附は支援者の夢や希望の実現手段である。 政治資金規正法では、政治活動に関する寄附について、企業や団体からの寄附は、政党等以外には禁止されている。 一方、個人による寄付は禁止されておらず、自由である。 但し、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関する寄附は禁止されている。 公職の候補者とは選挙で候補者として届出があった者である。

日本の政党政治の現状は、現与党の自民・公明と共産以外は離合集散を繰り返している。 言ってみれば、人と政党はなじめないことがしばしばあると言うことだろう。 政治家を志し、自分の夢を人々のために実現したいと思ったなら、その時々協力できる人達と政党や仲間を結成し、目標の実現に向けて努力を続けるという生き方が賛同を得ても良いはず。 選挙では、政党ではなく、この人ならと信じる人に投票する人物主義の選択でも良いと思う。 このような場合、中選挙区制が、なじむと思う。

4) ポピュリズムから脱出

冒頭に書いたバブル崩壊以後、あるいは21世紀になった頃からの日本経済の低迷には、ポピュリズムに陥った日本の政治が関係していると思う。 本当に必要な政策を実施するのではなく、与党は次に控えている選挙で勝つための政策を主導してしまう。 政権交代が生じると与党議員達は、冷や飯を食わざるを得なくなる事態を避けねばと、必至になって政権与党であることを死守する。 その方法は、ポピュリズム・バラマキであり、八方美人政策である。 本質的問題解決からは遠ざかり、解決はおざなりとなる。 やはり、中選挙区制の採用だろうと思うのである。

日本の国の成り立ちを考えると、国の行政機関・執行機関である内閣を頂点とした組織である行政府とその執行についての定めをつくる立法機関である国会が大きな骨格である。 税の支出を定める予算は、国会の議決に基づかねばならない。(憲法83条、85条)

ところで、内閣総理大臣について考えると、その権限も大きいのである。 国会への議案提出権権(憲法72条 )と予算提出権(憲法73条5項)を保有する。 衆議院で多数を占めると、内閣総理大臣の指名(憲法54条)と予算の議決(憲法60条)においては、参議院に優越するので、衆議院で過半数を制すれば、相当なことは実行できると考える。 (注: 議員立法は可能であるが、国会法で賛成者の人数の定めがある。)

衆議院で多数を占めると、相当なことは実行可能である。 政権喪失の懸念、恐れから良い政策を追及することにつながれば良いのだが、現実は政権喪失を恐れて、ポピュリズムに陥っている。 長期的視点からの立て直しや改革は重点施策にはならず、世界の中で発展から取り残されているのが現状ではないかと危惧するのである。

5) オープンガバメント、デジタルガバメント

米国で2009年1月にオバマ大統領が就任し、1月21日にTransparency and Open Governmentと題したMemorandum(ここ にあり、日本語では覚書と呼ばれている)を発表した。 このMemorandumでは、下記のようなことを述べている。

”Government should be transparent. Transparency promotes accountability and provides information for citizens about what their Government is doing. Information maintained by the Federal Government is a national asset. ”(政府は、高い透明性を持つべきである。 透明性は説明責任を促進し、政府が何をしているかについての情報を国民に提供する。 政府が保有する情報は国の資産である。)

”Government should be participatory. Public engagement enhances the Government's effectiveness and improves the quality of its decisions.”(政府は参加型であるべきだ。 国民の関与は政府の効率性を高め、決定の質を改善する。)

”Government should be collaborative. Collaboration actively engages Americans in the work of their Government.(政府は協働型であるべきだ。 政府の業務に国民の積極的な関与を得る。)

オバマさんの提唱したオープンガバメントの3原則に私も賛成する。 開かれた政府、誰もが参加できる政府が未来の目差すべき政府であり、その構築に向けて努力をしたい。

日本でも、インターネットを活用して政府を開かれた国民参加型を目差して改革してきていると考える。 オープンガバメントの動きは世界の多くの国や国際機関でも取り組まれている。 オープンガバメントは、デジタルツールの発展と共に、現在の制度や姿を補完し、よりよい未来社会の発展に向け寄与していくと期待する。

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2024年7月 8日 (月)

東京都都知事選小池氏が当選だが、ふるさと納税は、どうなるか?

東京都都知事選は小池百合子氏が当選と報道された。

この2023年12月8日のブログで、東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を2015年12月4日に提出したことを書いた。 連名の要請とはこの文書のことである。

選挙戦では語られなかったと了解するが、方針変更は何も聞こえてきておらず、知事は当然ふるさと納税見直しを引き続き求めることと了解する。

問題点の第1は、30%相当の返礼品とその手数料は10%以上であることもあるようであり、誰が潤うか、地方自治体に癒着した業者が利益を確保する仕組みになっている。 そもそも、返礼品があるなんて、寄付金ではない。 寄付金とは、見返りを求めない純粋な人の心である。 神社、寺、教会、モスク等に寄附をする人は信者を初め多くおられる。 願い事を叶えて欲しいと寄附をされる方も、おられるが、直接的な返礼品が欲しいとして寄附される人は基本的にはいない。 返礼品とは、求めてはならない見返りを求める賄賂行為である。

問題点の第2は、住民税所得割の額の20%迄の金額のふるさと納税は2千円の自己負担で済む点である。 住民税所得割の額の20%とは、分かりにくいが課税所得額の10%の20%と考えれば、ほぼ等しいはずである。 所得控除等を差し引いて500万円の人なら、10万円程度であろうか? しかし、2000万円の課税所得の人は40万円の寄付金で40万円のほぼ全額(2千円の負担のみ)が戻ってくるとしたなら、通常は何かおかしいと感じるはずである。 まじめに働く人を卑しめる制度である。 2千円の負担で、返礼品を受領するとなるとキチガイ制度である。

第3は、善意を踏みにじっている制度であること。 即ち、地方交付税法により国税である「所得税」の33.1%、「法人税」の33.1%、「酒税」の50%、「消費税」の19.5%と「地方法人税」の100%を都道府県と市町村に配分されるのである。 地方自治体の財政、運営、地方自治のサポートが目的であり、基準財政収入額が基準財政需要額を下回った場合、差額が各都道府県と市町村に普通交付税として配分される。なお、基準財政収入額は標準税率の75%相当としている。 基準財政収入額が基準財政需要額を上回れば、普通交付税は、上回った自治体には配分されない。

都道府県では、東京都が基準財政収入額が基準財政需要額を上回わるのであり、市町村では1719のうち79が上回る。 東京23区は、上回る団体であり、普通地方交付税の交付は受けていない。

ところで、ふるさと納税についてであるが、税減収となった地方自治体は基準財政収入額に税減収がカウントされるので75%は地方交付税で補填されるのである。 一方、ふるさと納税で寄付金を受領した自治体は寄付金は基準財政収入額にカウントされないので丸儲となる。

狂人の制度としか言いようがないのだが、東京都と79市町村以外には、反対の声はあげにくい。 いや、こんな制度で悪行を働いている自治体は、廃止なんて絶対言わない。 モラル上も極めて悪質であり、日本は、このようなことで滅ぶのかなと思う。

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2024年5月31日 (金)

2人を殺害したが、死刑にはならず

次の5月27日の最高裁判所の上告棄却決定です。結果、仙台高裁判決通りの無期懲役となった。

最高裁判所第一小法廷 窃盗、道路交通法違反、殺人被告事件 棄却決定

事件については、この福島民友の記事 2024年05月30日が、参考になると思います。 2020年5月31日朝、盛藤吉高被告(54)は、福島県三春町の国道脇で清掃活動をしていた同町の橋本茂さん(当時55)と三瓶美保さん(当時52)を時速60~70キロではねて殺害し、逃げた。 被告は、殺害の2日前に出所したばかりで、刑務所に戻りたいと考え、トラックで2人ほどの歩行者に衝突させて逃げようと計画し、実行した。

こんな男にひき殺されたら、たまったものではない。 一審は裁判員裁判であり、被告には死刑判決が下された。 仙台高裁は、無期懲役とし、最高裁は上告棄却を決定し、無期懲役が確定した。

最高裁は、その動機は身勝手かつ自己中心的であり、刑事責任は誠に重いものの、死刑を選択することが真にやむを得ないとまで言えるかとして、仙台高裁の無期懲役を支持した。 上の福島民友の記事には、2人と共に「桜川をきれいにする会」で活動していた会長の影山初吉さんの、こんなひどいことをして無期懲役なのはおかしいとの無念さの訴えも書かれている。 

しかし、何が何んでも死刑という考え方が正しいのかと考えることも必要だとの思い。 人間が人間を裁く際の限界や死刑制度についても考えなくてはと思った。

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2024年2月27日 (火)

医師・看護師・医療従事者によるストライキ

次のニュースがありました。

NHKニュース 2月26日 国立病院 “春闘の交渉次第で全国一斉のストライキへ” 全医労

今、賃上げ要求をしないと禍根を残すと思います。 1月30日の岸田総理による国会本会議での施政方針演説 にも、次の言葉があります。

四 経済
「経済の再生」が岸田政権の最大の使命である。もう一度この場でお誓いいたします。経済、とりわけ、賃上げが今まさに喫緊の課題として求められています。

(物価高に負けない賃上げ)
全就業者の十四%を占める医療や福祉分野の幅広い現場で働く方々に対して、物価高に負けない「賃上げ」を確実に実現してまいります。

2月6日のこのブログ記事 で、賃金や国内投資は低迷の状態にあり、賃金水準は実質的に見て30年間横ばいと他の先進国と比して低迷が続き、 国内設備投資も海外設備投資と比して大きく伸び悩み、大企業を中心とした高水準の企業収益や、 中小企業における守りの経営という状態が見受けられるという指摘を紹介した。 この打破には、賃上げは重要であり、発注者、受注者、元請け・下請け、経営者・労働者等全ての関係者が対等な関係で市場価格が形成されることが発展を生み出す。

全日本国立医療労働組合(全医労)のストライキはNHKニュースによれば「始業開始後1時間、それぞれの病院の門前で行われる予定で、参加は各病院で数人程度にとどめるため、通常の診療などに支障は出ない見通しだということです。」とあり、実施されても医療サービスの提供にほとんど影響を与えないと思う。 しかし、ストライキには労働組合法第5条2項8号による組合員又は代議員の直接無記名投票の過半数による決定が必要であり、いわゆるスト権が成立したことについて、使用者は重く受け止め対応する必要がある。

ヤマト運輸、アマゾン、パタゴニア 1人でも異議唱える個人労組の力という日経ビジネスの記事もありました。

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2023年12月17日 (日)

年金減額を正しいと判断した裁判所に賛同する

12月15日に最高裁は年金減額を違憲として争っていた裁判に対して、上告を棄却した。

日経新聞の記事「国の年金減額「合憲」確定 最高裁判決、受給者ら敗訴」はここにあります。 また、最高裁の判決はここにあります。

次の図は、日本における年金保険料納付世代の20歳から64歳の世代と年金を受給する65歳以上の世代の人口をグラフにしたものです。

Pension202312a

19歳以下の人口は含んでいませんが、50年で40%減少して、60%になると予想されています。 データは、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)推計からです。 

現在の基礎年金の制度である20歳からの納付義務世代と65歳以上の受給権世代の人口対比をグラフ化したのですが、今現在の制度では確実に破綻すると予想されます。 2070年には納付世代と受給世代の人数が同数になるのです。 無理のない納付金額にしないと納付できません。 受給者は制度維持に協力すべきです。 破綻したなら、受給者は年金を受給できなくなるわけで、責任論では解決にはならない。

年金の制度に100年安心なんてあり得ないのである。 納付額は今よりあがるのでしょうね。 受給開始は遅くなり、金額も減少する。 そんなことが予想されるが、一度シミュレーションをして報告します。 最高裁は、政治家とは異なり、信頼できる人達であると思いました。 正しいか、間違っているか、それは表面のことのみではなく、深い部分も考慮して判断すべきであります。

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2023年12月 9日 (土)

企業版ふるさと納税の恐ろしい話

一つ前のブログで東京都によるふるさと納税見直し要請を書きましたが、同じようなふるさと納税の企業版があり、寄付額の90%相当額の税が安くなる制度。

 企業版ふるさと納税で4.3億円を人口8000人の福島県国見町に寄附をして、国見町は4.3億円で救急車12台を購入したという話、そして寄附をしたのも救急車を販売したのも、実は同じ企業(同じグループの会社)という話が東洋経済ONLINEにあり、このページで読むことができます。

東洋経済の記事には「官民連携という大義を隠れみのにした「過疎ビジネス」」とありますが、これが事実であるなら、集団的犯罪に近いようなもので、モラルも何もない暗黒やくざ商売だと思う。 やはり、あらゆるふるさと納税を即刻廃止すべきで、人と企業の良心に根ざした見返りを求めない純粋な寄附文化を構築していくべきと考えます。

悪人は、消えるべき。

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2023年12月 8日 (金)

東京都は、ふるさと納税見直しを要請

東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を12月4日提出しました。

「ふるさと納税」制度の抜本的な見直しに関する共同要請

問題ありすぎの制度ですから、本来はずっと前に反対論が出て当然であったと考える。 反対論が少なく、賛成論が多かったのは、ふるさと納税の利用で潤っていた国民が多かったと言うのは、言いすぎであると思うが、いずれにせよよほど賢い国民でないと全体像が理解できない制度である。 この制度を導入したのは、相当腹黒のど悪人だと思う。

地方自治体に寄附をすると、30%相当の返礼品を受領できる。 一方、寄附支出は2,000円が支出者負担で、それ以上の額は所得税と地方税で戻ってくる。10,000円の寄附で3,000円の返礼品を受領でき、更に税金(所得税と住民税)が8,000円安くなる。 上限はあるものの、多額のふるさと納税をすると儲けになる。

どう考えても、経済原則に反するわけで、ふるさと納税なんて、美しい言葉で飾っているが、実態は悪徳・モラルハザード・ビジネスである。 収支は、どうなっているかと言うと、寄付者の住所地の市町村は寄付者に住民税で補填するのであるが、その75%分は地方交付税で国から補填される(参考この総務省の資料 )。 但し、地方交付税不交付団体には補填されない。 東京都には、不交付団体が多いのである。 従い、東京都は見直しを要請となるのであるが、所詮ゆがんだ制度であり廃止すべきと考える。 税金は必要な政策に対し、支出されるべきで、寄附をした人に(住民税還付の形で)支出されるなんて、税金を払いたくなくなる。

政府に払った税金が、国民が知らないうちに、地方交付税の制度により、都道府県・市町村に流れていきます。 地方交付税の制度を否定するのではありませんが、国民の目にとまりやすく公表すべきです。 例を言うと、消費税10%だと多くの人は思っている。 実は、日本政府が使えるのは5.5%であり、4.5%は都道府県・市町村の財源です。

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2023年10月27日 (金)

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律についての最高裁違憲判断

10月25日の最高裁判所大法廷決定は、この裁判所のWebページ にあり、全36ページの長い文書であるが、9ページの結論を書き出すと、この言葉となる。

「よって、本件規定は憲法13条に違反するものというべきである。」

本件規定とは、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第3条1項4号のことであるが、第3条1項を書き出すと次の通りである。

第三条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 十八歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
四 生殖せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

4項の「生殖せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にある」とは、生殖腺除去手術を受けることを要求することとなり、この要求は憲法13条の「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」で保障されている人格的生存に関わる重要な権利(自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由)を制約することとなる。

4項の規定は、現時点において、その必要性が低減しており、その程度が重大なものとなっていることなどを総合的に較量すれば、必要かつ合理的なものということはできないと最高裁は判断した。

第5項について

第5項についても、三浦守、草野耕一、宇賀克也裁判官が憲法違反・違憲無効であると反対意見を出しておられる。 第5項の「他の性別」とは、男の場合は女、女の場合は男である。 従い、男が女になるなら、外性器除去手術が、女が男になるなら、尿道延長手術及び陰茎形成手術が通常は必要となってしまう。 従い、第5項についても憲法第13条により保障されている権利を侵害するものであり、違憲であるとされている。 私も、同じように考える。外性器なんて、他人に見せたりしないじゃないか。

他人に迷惑をかけなければ、自分の選んだ生き方を、誰もがすることができる。 そのような世に暮らしてこそ、幸せがあると考える。

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2023年10月11日 (水)

頭が混乱の年収の壁

次は、9月25日の岸田首相による「経済対策についての会見(このWeb )」の中での発言ですが、これが理解ができた人は、知識・造詣が相当深い人だと思います。

130万円の壁」については、被用者保険の適用拡大を推進するとともに、次期年金制度改革を社会保障審議会で検討中ですが、まずは「106万円の壁」を乗り越えるための支援策を強力に講じてまいります。具体的には、事業主が労働者に「106万円の壁」を超えることに伴い、手取り収入が減少しないよう支給する社会保険適用促進手当、これを創設いたします。こうした手当の創設や、賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金の新メニュー、これを創設いたします。こうした支援によって、社会保険料を国が実質的に軽減し、「壁」を越えても、給与収入の増加に応じて手取り収入が増加するようにしてまいります。政府としては「106万円の壁」を乗り越える方、全てを支援してまいります。このため、現在の賃金水準や就業時間から推計して、既に目の前に「就労の壁」を感じておられると想定される方々はもとより、今後、「壁」に近づく可能性がある全ての方が「壁」を乗り越えられるよう機動的に支援できる仕組みを整え、そのための予算上の措置を講じてまいります。

1) 106万円の壁

パート労働者が年収106万円を超えると社会保険(厚生年金と健康保険)の適用となり、社会保険料の負担により収入ダウンになるという話であります。 何故収入が減少するかというと、社会保険料の負担からです。 事業所所在地が東京である場合には、保険料率は厚生年金保険料(18.3%)と健康保険料(協会けんぽの場合10%(40歳以上は11.82%))です。 この保険料の負担は、雇用者と労働者が50/50の折半です。 もし、年間給与額が106万円を超えると費用負担が発生する。 仮に、110万円だと、雇用者も労働者も155,650円の負担増であり、106万円で費用負担なしの時と比較すると、収入総額は4万円増加しても、手取りは944,350円であり、115,650円減少する。時給1,000円だとすると116時間分も損をする計算になる。 一方、雇用者にとっても155,650円の負担増となり人件費は1,255,650円となる。

もし時間給単価が同じだとするなら106万円の手取り給与を得るためには、1.165倍働く必要が出てくる。今まで8時間働いていたなら9時間20分働かないと同一賃金額が得られない。

2) 106万円の壁の根拠

労働者は全員が社会保険(厚生年金、健康保険、労災保険、雇用保険)のカバーを受け、雇用主は社会保険の付保義務がある。本来なら、パート労働者も社会保険の対象であるが、週20時間未満で賃金月額8.8万円未満であれば、厚生年金と健康保険の適用対象外となり、保険料納付の必要がないとなる。8.8万円を年間分とするため12倍にすると、105万6千円で、106万円という訳である。

3) 130万円の壁

現在は106万円の壁が適用されるのは、500人超の事業所であり、2024年10月に50人超の事業所となる。現在500人以下の事業所では、1週間の労働時間および1月の労働時間が正社員の4分の3未満のパートやアルバイトの短時間労働者は厚生年金・健康保険の適用対象にならない。 短時間労働者の場合であっても、正社員の4分の3未満の短時間労働でないなら、社会保険の対象となる。

では、130万円の壁とは、何かであるが、3号被保険者(国民年金法第7条1項3号)の対象者が恒常的な収入が130万円未満となっていることである。130万円以上の収入があっても、厚生年金で対象外となれば国民年金に加入し年金保険料を納付する必要が生じる。 毎月16,520円の保険料である。 130万円の年収の場合、厚生年金保険料は19,825円であるが、労働者分だけなら半額の9,912円で済む。 国民健康保険料は、市区町村により異なるが、月々10,000円以上になるのではと思う。年130万円の給与なら、協会けんぽで年153,660円だから、労使折半なら76,830円であり、本人負担は年12万円より安い。

この計算では、130万円の壁は、おそろしく大きく、国民年金と国民健康保険の保険料の年間負担は318,240円であり、24.5%になり、結構大きな壁である。 厚生年金と協会けんぽの場合の、労働者負担額は130万円の場合、183,950円(40歳以上で介護保険料も加算される場合195,780円)である。 

4) フリーランスの場合

フリーランスの場合は、どのようになるか考えてみたいと思います。 20歳以上は国民年金1号被保険者であり、国民年金の加入義務があり、3)で書いたように毎月16,520円の保険料を支払う必要がある。 但し、前年の所得に応じて、保険料免除を受けることは可能である。 例えば、前年所得が32万円以下は全額免除、168万円以下は25%免除。 免除を受けた場合、免除額に相当する将来受給を受ける年金額は減少するが、それでも50%以下にはならない。 何故なら、国民年金は50%が税金を財源として支払われることになっているからである。

国民健康保険料について、3)で月々10,000円以上と記載したが、住民税の課税所得の10%程度と思う。 最高保険料は年100万円程度である。 保険料率は、協会けんぽと比較すると、雇用者・労働者の合計額では安いが、労働者負担額で比べると国民健康保険の方が高いと、言える。

フリーランスや個人自営業者は、雇用主が存在しないわけで、全額自己負担になる。法人化しても、雇用主のオーナーが自分であれば、合算すればかえって費用は高くなると言える。

5) 厚生年金の受給額予想

健康保険の場合、その医療費カバー率は同一と考えれば、差は保険料である。 一方、年金は国民年金の場合、65歳から年間795,000円の年金を受給できる。 厚生年金の場合は、年間795,000円に加えて、次の計算式で計算した金額との合計額が年金額となる。(クリックで拡大)

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10万円、20万円、30万円、40万円、50万円を報酬の月額とし、ボーナスは年間3月相当額が支払われ、加入月数を480月とすると次の様になった。(クリックで拡大)

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年金受給期間を85歳までとしたのは、25歳の時の平均余命男55.2年、女61.8年からすれば、男80.2歳、女86.8歳となるが、これを男女の区別なく85歳までの受給とした。

6) 国民年金の受給額予想と厚生年金との比較

国民年金の保険料支払い義務は20歳から60歳までであり、毎月16,520円を12月・40年間払うと総額7,929,600円となる。受取年金額は厚生年金の基礎年金額と同じ795,000円。 65歳受給開始で85歳まで21年間受け取ると合計は16,695,000円になり、払込総額の2.1倍に相当する。

国民年金は保険料が高いが、給付される年金額は高くなく不十分との感覚を持ってしまうが、実際に計算をすると、極めて高利回りの投資と言える。 何故、そんな高利回りになるのかと言えば、保険料と同額が税金で補助されるからです。 NISAよりも、はるかに高利回りで、リスクも低い投資と言える。

それでは、厚生年金は月額報酬が高くなるほど、受給額へのリターンが悪くなるが、これは何故か? 一つは、定額支給となる基礎年金と報酬比例年金の2つの合計であり、基礎年金は報酬がゼロに近くても満額支給となるからである。 (なお、実際には年1500時間程度の労働になると思うので、時間1200円として年180万円(月15万円程度かと思うが)

もう一つの理由が、3号被保険者である。 3号被保険者は、保険料の負担がなく、基礎年金を満額受領できる訳で、投資ゼロで毎年795,000円が受け取れる。 (厳密には2号被保険者の配偶者なので、配偶者でなかったときは、国民年金保険料か厚生年金保険料を納付していることが必要である。)

保険料を払わずとも、年金を支払えるようにするには、誰かの分を減額するしかない。 厚生年金の中の高額所得者の受給額を減額して、それを保険料を支払わない3号被保険者の年金支払いに回しているのである。 専業主婦の場合の配偶者が高所得者であれば、丁度辻褄が合うようにも思える。 しかし、男女平等社会において、3号被保険者制度は配偶者の一方(多くの場合は女)の働き方に制限を加えることとなっている。 これこそが、大問題と言える。 また、配偶者を持っている場合は、配偶者が3号被保険者制度の恩恵を受けるが、配偶者がなければ恩恵は得られない。 独身者は106万円、130万円の壁に無縁であるだけでなく、壁のために調整している3号被保険者の年金資金まで負担しているのである。

なお、自営業者(やフリーランス)は国民年金であるから、その配偶者は3号被保険者とはなれず、夫婦でそれぞれ年金保険料を納付する。

7) 3号被保険者という悪制度が生まれた理由

1980年(昭和60年)改正で3号被保険者制度が創設された。 それ以前、専業主婦は国民年金任意加入であり、加入しない人もいた。 離婚をすると、無年金の恐れあり。 この解消とも言われているが、基本的には当時の社会は、国民全員が支える国の年金制度として歓迎したと思う。 夫はモーレツ社員で妻は専業主婦のスタイルが支持を集めていた時代には、そのようなスタイルを支援する制度が共感を得、支持される。 それが、3号被保険者制度が生まれた理由であると私は考える。

多様化した現代に3号被保険者制度は合わない。 多様化する社会、グローバル化で国境を越えて分業・競争が行われ、下手をすると簡単に取り残される。 1980年から半世紀近くになる現在、社会の仕組みをどしどし変えていかなくては、我々の生活を維持できなくなると考える。 どう改革すべきか、議論が必要である。

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