2024年11月19日 (火)

103万円の壁を考える

所得税の103万円の壁をなくすという変な議論がある。

1) 103万円の壁とは

1-1) 基礎控除48万円

所得税には、基礎控除という概念がある。 基礎控除の金額は、48万円であり、経費を差し引いた後の所得金額が年間48万円以下であるならば、申告納税する必要はない。 従い、所得金額が50万円の場合はとなると、(50万円-48万円=)2万円X5%=1千円が所得税の額となる。 復興税を無視しています。

1-2) 103万円とは

他者(他人であれ会社や法人、役所であれ)から給与の支払いを受けて、働いている場合には、給与所得の扱いとなり、給与所得控除が適用される。 給与所得控除は年間給与額が162.5万円以下なら、55万円である。 年間給与額55万円なら給与所得額ゼロとなる。 100万円なら45万円となるが、50万円の基礎控除があるので、所得金額としてはゼロである。 103万円なら給与所得控除55万円を差し引いて48万円となるが、これから基礎控除が差し引かれるとゼロになる。

1-3) 給与所得110万円の場合

55万円と48万円が差し引かれるので、所得金額7万円となる。 これに所得税率5%で計算して3500円が所得税となる。 すなわち、計算は180万円までは、(給与所得総額-103万円)X税率5%であり、壁のように立ちはだかるわけではない。 103万円を超えた分について5%の税率で所得税がかかるのである。

給与所得総額358万円までは税率5%であり、103万円の位置に大きな壁があるわけではなく、給与所得控除も給与が増加するにつれ大きくなり、358万円の場合は給与所得控除額は115.4万円である。 これに、基礎控除48万円が加わると控除額は合計163.4万円となり、給与総額358万円から163.4万円を差し引いた194.6万円に所得税率5%を掛けた94,500円が所得税額である。

2) 過去の基礎控除と給与所得控除

1975年以後の基礎控除と給与所得控除の額の推移を描いてみた。 図1がそれである。

202411

50年前と比べてどうか? 1975年の消費者物価指数は53.1であり2023年は105.6であり、1.99倍になっている。 しかし、10年前、20年前の2013年や2008年と比べると、消費者物価指数はそれぞれ8.3%と10.6%増加している。 しかし、図1を見て私が思うのは、デフレの日本経済という判断である。1995年からの10年間でマイナス0.4%、2005年からの10年間でマイナス0.6%、2013年からの10年間でプラス11.2%である。 しかし、この10年間で11.2%とは、年率にすると1%である。

年率1%の是正のために基礎控除や給与所得控除の見直しが必要とは思えないのである。 そんなことをするなら、通常の所得税を2.1%多く徴収する復興特別所得税を廃止すべきである。 2014年の改正で導入された税制であるが、法人については2年間で終了した。 個人については2037年までなので、まだ14年間継続する。 金額が細かく源泉徴収事務等をされている方の事務作業も大変である。 税制は合理的であるべき。

3) 103万円に壁がある人

給与収入が103万円を越えると負担が増加する人も存在する。 それは、19歳、20歳、21歳または22歳の子どもを持ち、その子どもを扶養している場合である。 特定扶養親族となり、所得控除としての扶養控除が一人につき63万円受けられ、税率10%なら6.3万円低くなる。 

なお、18才以下の子どもの扶養に関しては、2020年から扶養控除は見直し・廃止された。 理由は、子ども・児童手当毎月一人1万円・・や高校授業料無償化の拡大であり。 所得税や住民税の調整ではなく、必要な人に妥当・合理的な金額を政府・自治体が支給するという方法は間違っていないと考える。

特定扶養親族に対する扶養控除も廃止をし、大学・専門学校・職業学校・各種学校を含め高校卒業後に専門分野・技能・能力開発等を目差す若者を支援する制度をつくるべきと考える。

4) 130万円の壁は3号被保険者制度廃止での対応を求める

3号被保険者であり続けたいと思っておられる女性は、どれほどおられるのだろうか。 働けるなら、働きたいと思っておられる方が大部分であると思うのである。 女性の年金問題としてこのBlogを書いたので、今回は余り触れないが、3号被保険者制度廃止により女性は何も損をしないのである。

制度は複雑になれば、制度の網を破って抜け駆けをしようとする人が出てくる。 というか、複雑な制度になってしまうと、トリックのように抜け穴ができたり、作られたりする。 悪い奴らに騙されてはいけない。

5) バカな税である法人事業税の都道府県民税の外形標準課税は早急に廃止を求める

実にバカで不合理な税である法人事業税の外形標準課税である。 日本は、共産主義・全体主義でないはず。 法人には、利益に見合った税を課すべきである。 こんなバカげた税が日本をダメにしている。

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2024年9月 7日 (土)

河野太郎氏の発言は面白い。だから実現して欲しい。

自民党総裁選はおもしろいと思う。 普段は、党内の意見も気にしなくてはならないが、立候補者の発言だと、自由に意見を述べることができるようだ。 興味を引かれたのは、次の発言です。

日経 9月5日 河野氏、全員が確定申告案「税の使い道に厳しい目を」

9月3日のXの投稿とは、これのことと思います。

「年末調整を廃止しすべての納税者が確定申告する」と言うのは、現在実施できていない。 各自が自分の所得を計算し、その所得に対応する税を納付するのは、当然・あたまりまえの制度と考えます。 

君主が大権力を保有する君主国なら、君主や君主に仕える貴族・官吏が人民の税を決定し徴収する。 人民に税についての発言機会を与えるなんて、許せない。 共産主義・社会主義では、その国の生産物やサービスは人民に公平に分配されるので、税は不要である。 しかし、公平・公正になっているかは、貨幣価値か何か規準を使って検証する必要がある。 民主主義国家の政府活動を支えるのが税であり、税を納付するのが国民であり、税制は公平でなければならない。

日本に、確定申告の制度がある。 しかし、給与等の金額が2千万円以下、あるいは公的年金等の収入金額が4百万円以下等の場合は、確定申告の義務はない。 また、所得が課税所得の基準金額以下であっても、確定申告の義務はない。 もっとも、確定申告の義務はないが、医療費控除や寄付金控除等の適用を受けるために確定申告を提出される人は多い。 令和5年の場合、確定申告提出者2324万人のうち1350万人が還付申告であり、申告納税がある人は668万人であった。

預金利息に所得税15%(復興特別税は除外して)と地方税5%が課税されているのはご存じでしょうか? これが、累進税適用の所得扱いになれば、給与所得の人だと収入450万円程度以下なら通常の所得税の扱いの方が税が安くなる。 税率が15%+5%を越える高所得者にとっては税が高くなる話であるが、低所得者の預金利息に税を課す理由はないと考える。 上場株式に対する税も同様である。 売却損が発生し、その年は株式取引で損失発生なら、通常の所得から株式取引損失額を控除し、税が安くなって良いはずである。

国民全員がマイナンバーを持っているのだから、国民は税務申告必要データを然るべき先から入手し、申告書を作成し、申告すれば良い。 日本で土地等不動産を保有している外国人や外国企業やその他日本での所得があれば同様である。

税制改正は、税負担の軽減になる人と増加になる人が発生し、対立を生むことが常であるが、目差す将来の姿の実現に向けての税制改正は是が非でも必要である。 

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2024年8月12日 (月)

私も賛成です「ふるさと納税」の制度改定

日経が8月2日に次の社説を出していた。

ふるさと納税の膨張を改めるときだ

寄附をして返礼品がもらえるなんて、論理的におかしいのである。 所得税法78条が寄付金控除に関する定めであり、地方公共団体に対する寄付金は特定寄付金とされている。 しかし、「その寄附をした者がその寄附によつて特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。」とされており、返礼品が約束されている寄附は、そもそも寄附ではないと考える。

総務省が8月2日に発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」がここにある。 令和5年度のふるさと納税は5895万件で1兆1175億円であったと記載されている。 平均では1件あたり1万9千円となる。 

ふるさと納税において、限度額はあるが、所得税と住民税の双方合計で2千円を超える額は戻ってくる。 その上、返礼品までもらえるなんて、道徳性ゼロ・倫理観ゼロの制度である。

寄附(ふるさと納税)を行った人が居住する市町村・都道府県は、住民税を低くすることから税収は減少する。 一方、寄附を受けた市町村・都道府県は寄付金収入を得るとともに返礼品関係の費用が発生する。

更に、地方交付金制度が関係するのであるが、地方自治体のほとんどは国から普通地方交付金を受領している。 各地方自治体の地方交付金の額を算定するにあたり、寄付金の受領は計算には関係しない。 一方、税収減は75%が普通地方交付金で補填されるのである。 市町村毎のふるさと納税に係わる収支が日経電子版の実質収支全国マップ ふるさと納税のリアルというマップ(地図を見るというボタンクリックが必要かも知れません)に掲載されていた。 

総務省8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」を使って、以下に、順位表等を作ってみました。

1) ふるさと納税受入額

令和5年度のふるさと納税の受入額を表にしたのが、次の表1であり、大きい順から30位までを記載し、最下欄は合計です。 寄附を受けた金額が受入額であり、1位は193.8億円の宮崎県都城市でした。 100億円以上受領したのが10市町あり、30位の佐賀県唐津市は54億円でした。 

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返礼品の金額(調達額)は寄附受入額の30%以内とされているが、返礼品に係わる経費が平均で受入額の21.5%(返礼品金額に対しては79.3%)なので、結構高い経費率と思います。 表2は、全自治体のふるさと納税に関する返礼品に係わる費用の合計金額です。 返礼品に関する経費は相当な金額になっており、返礼割合は30%以下として運用されてはいるが、経費とあわせると50%近く、受入自治体に残る寄付金は平均51.4%以下というのは釈然としない。

なお、30%を越えるとこの兵庫県洲本市の発表のように、ふるさと納税対象団体の指定が取り消され、令和5年度洲本市ゼロです。

送付・決済・広報・事務費用・その他経費が全平均で受入額の21.5%であるが、その内訳は表2の通りです。

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2) ふるさと納税に関する地方税の仕組み

ふるさと納税に関する地方税は複雑怪奇です。 ふるさと納税をすると寄付金控除による所得税の減額に加え、住民税が安くなり、実質2千円の負担でふるさと納税を行うことができると言われています。 ふるさと納税をするには、住民税の所得割課税の対象となっていることが前提ですが、所得割の住民税額の20%を上限として、所得税の税負担軽減に加えて、道府県民税と市町村民税により40:60の比率で税減額を行い、ふるさと納税を行っても実質負担は2千円となるようにする。 すなわち、住民税所得割額の20%までのふるさと納税は2千円の負担というマジックです。 よくもこんな地方税制度を考えたと思います。

道府県民税と市町村民税が40:60の比率で税減額を実施するのは、住所地の都道府県と市町村であり、寄付者の実質税負担を2千円とするのでそれなりの税減収となる。 そこで、国が補填する制度が働くのです。 地方交付税法で普通交付金が定められており、規準財政収入額が基準財政需要額に満たない場合は、国が地方自治体に普通交付税を交付するのです。 ふるさと納税の受入額は、基準財政収入額にカウントされません。 一方、ふるさと納税をした納税者の住所地の地方自治体では実質2千円負担とするために税収が減少する。しかし、税収減は、その75%相当額額が規準財政収入額の減少として扱われ、結果、税収減の75%は普通交付金で補填されるのです。

なお、規準財政収入額が基準財政需要額より大きい自治体には、普通地方交付金は交付されず、このような不交付団体は令和6年度86団体あります。 都道府県では東京都のみ。 市町村85団体のうち、東京都には12。 愛知県には19あります。 不交付団体には、普通交付税の趣旨からして、普通交付税は交付されず、その自治体では住民がふるさと納税をすると税収減となります。

3) 地方自治体の損得勘定

本来から言えば、損得勘定などないのですが、ふるさと納税を受入れた自治体はその額の財政収入が増加するが、返礼品に伴う支出が発生する。 ふるさと納税を行った人が住んでいる市町村と都道府県は住民税を減額する分の税減収が発生する。 但し、地方交付税不交付団体でなければ減収分の75%相当は普通地方交付税の受取額が増加する。 各市町村毎に計算し、地図で表示したのが日経電子版の実質収支全国マップ ふるさと納税のリアルというマップである。 実質収支で大きい順から30自治体とマイナスが大きい30自治体を表にしたのが次の表3である。 日経電子版のマップでは、都道府県は表示されないが、表3では都道府県も含めた。

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実質収入が上位となる自治体は、表1のふるさと納税受入額の順位とほぼ同一である。 一方、表3において下方にランク付けされている実質収支のマイナス幅が大きい財政悪化となる自治体には大都市の都道府県が多く含まれている。 都道府県の場合、ふるさと納税の受入は、市町村より少なく、一方で、ふるさと納税の寄附を行う住民に対する住民税減税は市町村と都道府県の双方から行われる。 市町村と都道府県に区分して収支を合計すると表4のようになった。

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地方交付税補填額は、都道府県において補填率が低いのであるが、特別区を含む東京都のみで1651億円がふるさと納税の実質負担となっている。 

<提言>

ふるさと納税という制度については、書いていても嫌気がさすし、全く楽しくない。 税金の無駄使いの最たるものと思う。 地方産業の育成なら、育成としてどの産業分野を育成するか、どのような方法で育成するか、まじめに研究をして実施すれば良いのである。

表4で記載のように、返礼品とその関連費用で5429億円が発生していた。 ふるさと納税を行った人に対して2000円の税負担で止めるために地方交付税が地方自治体に交付される。 補填額3958億円とは、その為に国から地方に支払われた金額である。 

一方、国と地方自治体を一体としての連結ベースで考えると、地方交付税は資金の内部移動である。 従い、ふるさと納税の収支計算は収入が受入額の11175億円で、支出は7682億円の住民税の減収であり、その差引は3493億円のプラスである。 そこに、返礼品関係の支出5429億円が加わると、1936億円のマイナスとなる。

返礼品をなくすれば、地方交付税で調整する額は減少し、本来の姿に近づくと考える。 3958億円の地方交付税をふるさと納税の関係で交付しているが、これも、返礼品制度を中止すれば3958億円は小さくなり、相当の財源が国に生まれるのである。 既に、稼働している制度をいきなり中止するのが難しければ、返礼品とそれに係わる経費率の割合を何年間かをかけてゼロにするようにすれば良いのである。 一方、自治体は、地域の特産品のネット販売を支援する等して、地域の活性化に取り組めば良い。 2千円の実質負担適用の所得上限についても、段階的に引き下げて、適正な所得制限の金額にすべきと考える。

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2024年7月 8日 (月)

東京都都知事選小池氏が当選だが、ふるさと納税は、どうなるか?

東京都都知事選は小池百合子氏が当選と報道された。

この2023年12月8日のブログで、東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を2015年12月4日に提出したことを書いた。 連名の要請とはこの文書のことである。

選挙戦では語られなかったと了解するが、方針変更は何も聞こえてきておらず、知事は当然ふるさと納税見直しを引き続き求めることと了解する。

問題点の第1は、30%相当の返礼品とその手数料は10%以上であることもあるようであり、誰が潤うか、地方自治体に癒着した業者が利益を確保する仕組みになっている。 そもそも、返礼品があるなんて、寄付金ではない。 寄付金とは、見返りを求めない純粋な人の心である。 神社、寺、教会、モスク等に寄附をする人は信者を初め多くおられる。 願い事を叶えて欲しいと寄附をされる方も、おられるが、直接的な返礼品が欲しいとして寄附される人は基本的にはいない。 返礼品とは、求めてはならない見返りを求める賄賂行為である。

問題点の第2は、住民税所得割の額の20%迄の金額のふるさと納税は2千円の自己負担で済む点である。 住民税所得割の額の20%とは、分かりにくいが課税所得額の10%の20%と考えれば、ほぼ等しいはずである。 所得控除等を差し引いて500万円の人なら、10万円程度であろうか? しかし、2000万円の課税所得の人は40万円の寄付金で40万円のほぼ全額(2千円の負担のみ)が戻ってくるとしたなら、通常は何かおかしいと感じるはずである。 まじめに働く人を卑しめる制度である。 2千円の負担で、返礼品を受領するとなるとキチガイ制度である。

第3は、善意を踏みにじっている制度であること。 即ち、地方交付税法により国税である「所得税」の33.1%、「法人税」の33.1%、「酒税」の50%、「消費税」の19.5%と「地方法人税」の100%を都道府県と市町村に配分されるのである。 地方自治体の財政、運営、地方自治のサポートが目的であり、基準財政収入額が基準財政需要額を下回った場合、差額が各都道府県と市町村に普通交付税として配分される。なお、基準財政収入額は標準税率の75%相当としている。 基準財政収入額が基準財政需要額を上回れば、普通交付税は、上回った自治体には配分されない。

都道府県では、東京都が基準財政収入額が基準財政需要額を上回わるのであり、市町村では1719のうち79が上回る。 東京23区は、上回る団体であり、普通地方交付税の交付は受けていない。

ところで、ふるさと納税についてであるが、税減収となった地方自治体は基準財政収入額に税減収がカウントされるので75%は地方交付税で補填されるのである。 一方、ふるさと納税で寄付金を受領した自治体は寄付金は基準財政収入額にカウントされないので丸儲となる。

狂人の制度としか言いようがないのだが、東京都と79市町村以外には、反対の声はあげにくい。 いや、こんな制度で悪行を働いている自治体は、廃止なんて絶対言わない。 モラル上も極めて悪質であり、日本は、このようなことで滅ぶのかなと思う。

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2024年3月30日 (土)

こども子育て支援金を医療保険でまかなうのは筋が違う

どう考えてもおかしい、子ども家庭庁です。

こども家庭庁 令和6年3月29日 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について

NHKのニュースはここにあります。

病気になったときのために、被用者保険である協会けんぽ、健保組合、共済組合の健康保険や国民健康保険そして後期高齢者医療保険に全員が加入しています。 自分や、扶養している家族が病気になった場合に医療費がこれらの医療保険でカバーできるからであり、この制度を信頼・支持しているからです。

医療保険料を支払って、それが医療費に回らないなんて、私は納得が行かない。 子ども・子育て支援に反対するのではありません。 子ども・子育て支援は重要です。 その財源は、税金から支払うべきです。 上に掲げた子ども家庭庁の試算書の5ページと6ページに医療保険で徴収する金額が記載されており、1兆円徴収しようと言うことです。

1兆円を国民から徴収しても、それが日本の現在や将来に役に立つなら、それで良い。 しかし、国民を騙すことは許されない。 1兆円支出の詳細な内訳を国民に説明することは、先ずは重要である。

そして、1兆円と言わずに、一人平均450円なんて、月額で示す。 雇用主から徴収する金額も除外している。

財源は所得税増税で賄うべきです。 医療保険料の徴収は、高所得者については、医療費支出とのバランスから上限を設けざるを得ず、しかも収入額に対して一定の料率となる。 所得税のように累進税率が適用されない。 岸田内閣は、増税を推進すべきです。

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2024年2月 6日 (火)

自民党の税制改正大綱の分析になるほどと思った

国会での税制改正審議が、間もなく始まるが、2023年12月14日に自民党が発表した令和6年度税制改正大綱 (pdfはpdfはこちら )には、なるほどと思う分析の記載がある。

それは、10ページ目の中段辺りから始まる法人税に関する次の文章である。

 しかしながら、わが国においては、長引くデフレの中での「コストカット型「経済」の下で、 賃金や国内投資は低迷してきた。 賃金水準は実質的に見て30年間横ばいと他の先進国と比して低迷し、 国内設備投資も海外設備投資と比して大きく伸び悩んできた。 その結果、 労働の価値、 モノの価値、 企業の価値で見ても、いわゆる 「安いニッポン」 が指摘されるような事態に陥っている。 その一方で、 大企業を中心に企業収益が高水準にあったことや、 中小企業においても守りの経営が定着していたことなどを背景に、 足下、 企業の内部留保は555兆円と名目GDPに匹敵する水準まで増加しており、 企業が抱える現預金等も300兆円を超える水準に達している。こうした状況に鑑みれば、 令和4年度税制改正大綱において指摘した通り、近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない。

企業の内部留保は555 兆円や企業が抱える現預金300兆円は、ほとんどが大企業に属するのであろうが、法人税は赤字企業に負担はない。 法人税は企業の利益から算出する課税標準を元にするのであり、合理的と考える。 税制が全てではないが、重要なファンクションであり、良い税制を追及することを緩めてはならない。

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2024年2月 1日 (木)

これが本当なら、総務省って、やはりろくでもない役所だと思う

次のニュースを読んで、やはり、ろくでもないと思いました。

日経XTECH 2024.01.26 住民税決定通知書の電子化はまさかの暗号化ZIPファイル配布、「紙より不便」の声

 政府が採用したのは、通知書本体のPDFファイルをZIP形式で圧縮・暗号化したうえで、復号用パスワードの取得方法を記した別のPDFファイルとともに従業員に社内システムを使って配布するという方法だった

とあるのです。 これだと、PPAPです。 例えば、これをご覧頂いても良いし、このようなウイルス付きファイルの警告にもZIPファイルの恐ろしさが書かれています。 ZIPファイルは、クリックして何が出てくるか不明なのです。 名前と中身が異なることは、世の中、しばしばあるのでしょうが、ZIPファイルの嫌なことは、クリックしないと中身が分からないことです。

それでも、信頼できる相手から受領したファイルなら大丈夫ではないかと考えられるが、メールにおいて送信者の偽装もありえますから。

総務省とは、旧総務庁、旧自治省、旧郵政省が統合されて発足したのであるか、私なんか統合理由なんて全く理解できない。 役所とは、管理が重要な組織である。 管理がおぼつかなくなるような組織は、役所の場合、絶対に作ってはならない。 民間だったら、倒産して終わるが、役所は倒産できず、負の遺産を引きずってしまう。 ふるさと納税なんかも、早く中止すべきであるが、廃止できずにいる。

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2023年12月 8日 (金)

東京都は、ふるさと納税見直しを要請

東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を12月4日提出しました。

「ふるさと納税」制度の抜本的な見直しに関する共同要請

問題ありすぎの制度ですから、本来はずっと前に反対論が出て当然であったと考える。 反対論が少なく、賛成論が多かったのは、ふるさと納税の利用で潤っていた国民が多かったと言うのは、言いすぎであると思うが、いずれにせよよほど賢い国民でないと全体像が理解できない制度である。 この制度を導入したのは、相当腹黒のど悪人だと思う。

地方自治体に寄附をすると、30%相当の返礼品を受領できる。 一方、寄附支出は2,000円が支出者負担で、それ以上の額は所得税と地方税で戻ってくる。10,000円の寄附で3,000円の返礼品を受領でき、更に税金(所得税と住民税)が8,000円安くなる。 上限はあるものの、多額のふるさと納税をすると儲けになる。

どう考えても、経済原則に反するわけで、ふるさと納税なんて、美しい言葉で飾っているが、実態は悪徳・モラルハザード・ビジネスである。 収支は、どうなっているかと言うと、寄付者の住所地の市町村は寄付者に住民税で補填するのであるが、その75%分は地方交付税で国から補填される(参考この総務省の資料 )。 但し、地方交付税不交付団体には補填されない。 東京都には、不交付団体が多いのである。 従い、東京都は見直しを要請となるのであるが、所詮ゆがんだ制度であり廃止すべきと考える。 税金は必要な政策に対し、支出されるべきで、寄附をした人に(住民税還付の形で)支出されるなんて、税金を払いたくなくなる。

政府に払った税金が、国民が知らないうちに、地方交付税の制度により、都道府県・市町村に流れていきます。 地方交付税の制度を否定するのではありませんが、国民の目にとまりやすく公表すべきです。 例を言うと、消費税10%だと多くの人は思っている。 実は、日本政府が使えるのは5.5%であり、4.5%は都道府県・市町村の財源です。

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2023年10月11日 (水)

頭が混乱の年収の壁

次は、9月25日の岸田首相による「経済対策についての会見(このWeb )」の中での発言ですが、これが理解ができた人は、知識・造詣が相当深い人だと思います。

130万円の壁」については、被用者保険の適用拡大を推進するとともに、次期年金制度改革を社会保障審議会で検討中ですが、まずは「106万円の壁」を乗り越えるための支援策を強力に講じてまいります。具体的には、事業主が労働者に「106万円の壁」を超えることに伴い、手取り収入が減少しないよう支給する社会保険適用促進手当、これを創設いたします。こうした手当の創設や、賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金の新メニュー、これを創設いたします。こうした支援によって、社会保険料を国が実質的に軽減し、「壁」を越えても、給与収入の増加に応じて手取り収入が増加するようにしてまいります。政府としては「106万円の壁」を乗り越える方、全てを支援してまいります。このため、現在の賃金水準や就業時間から推計して、既に目の前に「就労の壁」を感じておられると想定される方々はもとより、今後、「壁」に近づく可能性がある全ての方が「壁」を乗り越えられるよう機動的に支援できる仕組みを整え、そのための予算上の措置を講じてまいります。

1) 106万円の壁

パート労働者が年収106万円を超えると社会保険(厚生年金と健康保険)の適用となり、社会保険料の負担により収入ダウンになるという話であります。 何故収入が減少するかというと、社会保険料の負担からです。 事業所所在地が東京である場合には、保険料率は厚生年金保険料(18.3%)と健康保険料(協会けんぽの場合10%(40歳以上は11.82%))です。 この保険料の負担は、雇用者と労働者が50/50の折半です。 もし、年間給与額が106万円を超えると費用負担が発生する。 仮に、110万円だと、雇用者も労働者も155,650円の負担増であり、106万円で費用負担なしの時と比較すると、収入総額は4万円増加しても、手取りは944,350円であり、115,650円減少する。時給1,000円だとすると116時間分も損をする計算になる。 一方、雇用者にとっても155,650円の負担増となり人件費は1,255,650円となる。

もし時間給単価が同じだとするなら106万円の手取り給与を得るためには、1.165倍働く必要が出てくる。今まで8時間働いていたなら9時間20分働かないと同一賃金額が得られない。

2) 106万円の壁の根拠

労働者は全員が社会保険(厚生年金、健康保険、労災保険、雇用保険)のカバーを受け、雇用主は社会保険の付保義務がある。本来なら、パート労働者も社会保険の対象であるが、週20時間未満で賃金月額8.8万円未満であれば、厚生年金と健康保険の適用対象外となり、保険料納付の必要がないとなる。8.8万円を年間分とするため12倍にすると、105万6千円で、106万円という訳である。

3) 130万円の壁

現在は106万円の壁が適用されるのは、500人超の事業所であり、2024年10月に50人超の事業所となる。現在500人以下の事業所では、1週間の労働時間および1月の労働時間が正社員の4分の3未満のパートやアルバイトの短時間労働者は厚生年金・健康保険の適用対象にならない。 短時間労働者の場合であっても、正社員の4分の3未満の短時間労働でないなら、社会保険の対象となる。

では、130万円の壁とは、何かであるが、3号被保険者(国民年金法第7条1項3号)の対象者が恒常的な収入が130万円未満となっていることである。130万円以上の収入があっても、厚生年金で対象外となれば国民年金に加入し年金保険料を納付する必要が生じる。 毎月16,520円の保険料である。 130万円の年収の場合、厚生年金保険料は19,825円であるが、労働者分だけなら半額の9,912円で済む。 国民健康保険料は、市区町村により異なるが、月々10,000円以上になるのではと思う。年130万円の給与なら、協会けんぽで年153,660円だから、労使折半なら76,830円であり、本人負担は年12万円より安い。

この計算では、130万円の壁は、おそろしく大きく、国民年金と国民健康保険の保険料の年間負担は318,240円であり、24.5%になり、結構大きな壁である。 厚生年金と協会けんぽの場合の、労働者負担額は130万円の場合、183,950円(40歳以上で介護保険料も加算される場合195,780円)である。 

4) フリーランスの場合

フリーランスの場合は、どのようになるか考えてみたいと思います。 20歳以上は国民年金1号被保険者であり、国民年金の加入義務があり、3)で書いたように毎月16,520円の保険料を支払う必要がある。 但し、前年の所得に応じて、保険料免除を受けることは可能である。 例えば、前年所得が32万円以下は全額免除、168万円以下は25%免除。 免除を受けた場合、免除額に相当する将来受給を受ける年金額は減少するが、それでも50%以下にはならない。 何故なら、国民年金は50%が税金を財源として支払われることになっているからである。

国民健康保険料について、3)で月々10,000円以上と記載したが、住民税の課税所得の10%程度と思う。 最高保険料は年100万円程度である。 保険料率は、協会けんぽと比較すると、雇用者・労働者の合計額では安いが、労働者負担額で比べると国民健康保険の方が高いと、言える。

フリーランスや個人自営業者は、雇用主が存在しないわけで、全額自己負担になる。法人化しても、雇用主のオーナーが自分であれば、合算すればかえって費用は高くなると言える。

5) 厚生年金の受給額予想

健康保険の場合、その医療費カバー率は同一と考えれば、差は保険料である。 一方、年金は国民年金の場合、65歳から年間795,000円の年金を受給できる。 厚生年金の場合は、年間795,000円に加えて、次の計算式で計算した金額との合計額が年金額となる。(クリックで拡大)

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10万円、20万円、30万円、40万円、50万円を報酬の月額とし、ボーナスは年間3月相当額が支払われ、加入月数を480月とすると次の様になった。(クリックで拡大)

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年金受給期間を85歳までとしたのは、25歳の時の平均余命男55.2年、女61.8年からすれば、男80.2歳、女86.8歳となるが、これを男女の区別なく85歳までの受給とした。

6) 国民年金の受給額予想と厚生年金との比較

国民年金の保険料支払い義務は20歳から60歳までであり、毎月16,520円を12月・40年間払うと総額7,929,600円となる。受取年金額は厚生年金の基礎年金額と同じ795,000円。 65歳受給開始で85歳まで21年間受け取ると合計は16,695,000円になり、払込総額の2.1倍に相当する。

国民年金は保険料が高いが、給付される年金額は高くなく不十分との感覚を持ってしまうが、実際に計算をすると、極めて高利回りの投資と言える。 何故、そんな高利回りになるのかと言えば、保険料と同額が税金で補助されるからです。 NISAよりも、はるかに高利回りで、リスクも低い投資と言える。

それでは、厚生年金は月額報酬が高くなるほど、受給額へのリターンが悪くなるが、これは何故か? 一つは、定額支給となる基礎年金と報酬比例年金の2つの合計であり、基礎年金は報酬がゼロに近くても満額支給となるからである。 (なお、実際には年1500時間程度の労働になると思うので、時間1200円として年180万円(月15万円程度かと思うが)

もう一つの理由が、3号被保険者である。 3号被保険者は、保険料の負担がなく、基礎年金を満額受領できる訳で、投資ゼロで毎年795,000円が受け取れる。 (厳密には2号被保険者の配偶者なので、配偶者でなかったときは、国民年金保険料か厚生年金保険料を納付していることが必要である。)

保険料を払わずとも、年金を支払えるようにするには、誰かの分を減額するしかない。 厚生年金の中の高額所得者の受給額を減額して、それを保険料を支払わない3号被保険者の年金支払いに回しているのである。 専業主婦の場合の配偶者が高所得者であれば、丁度辻褄が合うようにも思える。 しかし、男女平等社会において、3号被保険者制度は配偶者の一方(多くの場合は女)の働き方に制限を加えることとなっている。 これこそが、大問題と言える。 また、配偶者を持っている場合は、配偶者が3号被保険者制度の恩恵を受けるが、配偶者がなければ恩恵は得られない。 独身者は106万円、130万円の壁に無縁であるだけでなく、壁のために調整している3号被保険者の年金資金まで負担しているのである。

なお、自営業者(やフリーランス)は国民年金であるから、その配偶者は3号被保険者とはなれず、夫婦でそれぞれ年金保険料を納付する。

7) 3号被保険者という悪制度が生まれた理由

1980年(昭和60年)改正で3号被保険者制度が創設された。 それ以前、専業主婦は国民年金任意加入であり、加入しない人もいた。 離婚をすると、無年金の恐れあり。 この解消とも言われているが、基本的には当時の社会は、国民全員が支える国の年金制度として歓迎したと思う。 夫はモーレツ社員で妻は専業主婦のスタイルが支持を集めていた時代には、そのようなスタイルを支援する制度が共感を得、支持される。 それが、3号被保険者制度が生まれた理由であると私は考える。

多様化した現代に3号被保険者制度は合わない。 多様化する社会、グローバル化で国境を越えて分業・競争が行われ、下手をすると簡単に取り残される。 1980年から半世紀近くになる現在、社会の仕組みをどしどし変えていかなくては、我々の生活を維持できなくなると考える。 どう改革すべきか、議論が必要である。

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2023年8月18日 (金)

ふるさと納税の廃止を

朝日新聞と読売新聞がふるさと納税の問題について社説を掲載している。

朝日新聞 社説8月23日 ふるさと納税 ゆがみ拡大 放置するな

読売新聞社説 8月17日 ふるさと納税 返礼品や節税目的でいいのか

ふるさと納税は、バカげた制度である。 寄附をすれば、2000円の負担で寄付金の30%相当の返礼品がもらえる。

経済原則無視である。 2000円を超えた金額は、誰が負担するかというと、税金であり、国民である。 寄付金を受け取った自治体は、返礼品に30%受け取ったとしても、経費が20%発生しているなら寄付金収入は実質50%である。しかし、もう一つの支出、即ち寄付金支出者は寄付額から2000円を差し引いた金額の税還付を受けるのである。この税は、国民(日本の納税者)の負担である。

しかも、貧富の格差の拡大となっている。住民税非課税者や住民税均等割のみの課税者は寄附をすると全額自己負担となる。一方すごいですね、この総務省のWebの下の方に目安としての2000円以外は全額税金還付となる所得のテーブルがある。このテーブルを見ると、給与収入500万円ぐらいだと4万円、5万円が上限金額です。しかし、1000万円の給与収入があれば16万円-17万円となり、2000万円なら55万円とか。

ふるさと納税とは、貧乏人からお金を分捕って、お金持ちにばらまく制度だなと思います。

 

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