2023年12月 7日 (木)

難民について

11月5日のNHKスペシャルで「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」という番組を放映していた。 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民統計ページがここにあり、2023年6月頃の世界における難民・避難民の数は1億1千万人と述べている(うち、国内での強制移住者62.5百万人、難民36.4百万人、難民申請者6.1百万人、その他国際的保護必要者5.3百万人)。 以下は、NHKの番組では余り触れられていないと感じたことである。

1) 難民とは

日本政府は、難民条約(Convention Relating to the Status of Refugees - Refugee Convention)の説明として、次の人達を難民として説明している。

  • (a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
  • (b)国籍国の外にいる者であること
  • (c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

2) 過去約50年の難民の発生数

NHKは難民が近年増加していると述べていた。 UNHCRの統計によれば毎年の難民発生人数は、次図の通りである。 (クリックで拡大・別ページ表示)

Undp202311a_20231117184701

2022年の難民発生数は、過去最大であり、うちウクライナからの難民が570万人とのことである。 なお、この数字には、ウクライナからロシアに避難している人々も含んでいる。 

3) 2022年の難民発生数

UNHCR統計によれば、2022年の難民発生数は10,166,908人である。 4カテゴリーに区分されており、難民(Refugee)4,177千人、難民同等者(People in refugee-like situation)2,457千人、難民申請者2,572千人、その他国際的保護必要者959千人となっている。

2022年における最大の難民流出国は、ウクライナで、その避難先国は次表の通りです。

ウクライナからの流出難民数(2022年 5,734,884人)
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ロシア 0 1,209,915 100,833 0 1,310,748
ドイツ 820,143 180,332 705 0 1,001,180
ポーランド 956,760 0 1,542 0 958,302
チェコ 433,071 0 203 0 433,274
その他の国々 1,549,806 432,849 48,725 0 433,274
合計 3,759,780 1,823,096 152,008 0 5,734,884

2022年で次に難民流出が多いのが、ベネズエラであり、その避難先国は次表の通りです。

ベネズエラからの流出難民数(2022年) 1,223,672人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
コロンビア 0 0 5,184 611,472 616,656
ペルー 0 0 894 178,375 179,269
ブラジル 0 0 34,073 135,046 169,119
米国 0 0 138,597 0 138,597
その他の国々 25 0 85,253 34,753 120,031
合計 25 0 264,001 959,646 1,223,672

2022年に3番目に難民流出が多かったのが、アフガニスタンであり、その避難先は次であります。

アフガニスタンからの流出難民数(2022年) 791,628人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
イラン 0 403,293 0 0 403,293
パキスタン 0 178,107 28,450 0 206,557
ドイツ 963 0 36,358 0 37,321
オーストラリア 0 0 24,446 0 24,446
その他の国々 343 392 119,276 0 120,011
合計 1,306 581,792 208,530 0 791,628

UNHCRの統計による日本に関する2022年難民受入避難者の数を見てみると次の通りでした。

日本の難民受入数(2022年) 16,082人
非難元の国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ミャンマー 0 9,527 298 0 9,825
ウクライナ 0 2,238 0 0 2,238
カンボジア 0 0 578 0 578
アフガニスタン 0 329 182 0 511
スリランカ 0 0 502 0 502
トルコ 0 0 445 0 445
シリア 0 216 30 0 246
パキスタン 0 0 238 0 238
その他の国々 0 0 1,499 0 1,499
合計 0 12,310 3,772 0 16,082

日本の数字について、出入国在留管理庁が2023年3月24日に発表した「令和4年における難民認定者数等について」というこの発表では、令和3年の難民認定者数は74(表8)で、人道的配慮で在留を認めた者の数が525となっています。 UNHCRの日本についての2021年の数字は難民、難民同等者、その他国際的保護必要者はゼロであり、難民申請者が2,413となっています。 UNHCRの数字と日本政府の数字に随分差があるが、難民申請があっても、他の在留許可が認められた場合、UNHCRは難民同等として扱い、出入国管理庁は滞在許可の種類でカウントしているからと思います。

4) 難民となっている人の数(難民人口)

難民となっている人口をUNDPの統計(Refugee Data Finder)より作成したのが次図である。

Refugeepopulationa

2023年で難民総数(総人口)は、ほぼ1億人である。 2022年の難民増加は1,574万人と20%増加した。 この増加の中でウクライナの難民数が30%以上である。 2023年の難民人口9,893万人の出身国は次図の通りである。

Refugeepopulationb

なお、UNHCRは世界の難民人口を2022年で1億840万人と発表している場合もある(例えば、Global Trendsという報告書)。 947万人の差がる。 この差は、国内避難難民をUNHCR統計の5,732万人とするか、IDMC統計の6,250万人とするかの差から生じている。 IDMC(Internal Displacement Monitoring Center)とはノルウェイの非政府・人権活動団体(NPO)である。

国内における避難民には災害による避難民も存在するが、災害要因避難民は除外し、戦争・内乱等が原因で実質的難民となっているが、国外脱出ができていない人々の数を、国内避難難民としており、UNHCRも支援対象としている。 

5) 難民の出身国と受入国

難民の多くは、隣国へ逃れている。 戦争・内乱により国境を越えて隣国に避難する。 或いは、居住地から強制的に移動することを余儀なくされ、国境を越えることもできず国内に止まっている実質的難民も多い。 難民の発生が多い国の難民の移住先は次表の通りである。(表のクリックで拡大)

Refugeepopulationc_20231127020401

東南アジアで難民が一番多いのはミャンマーであり、世界では12番目。 そのミャンマーからの難民の移動先・滞在先は次表の通りである。 ミャンマーにしてもそうですが、シリア、ウクライナ、コロンビア、コンゴ民主共和国の難民の滞在国は外国ではなく、国内に避難している実質的難民が一番多い状態です。最も、アフガニスタンにしても33%は国外脱出できず国内に止まっている状態です。

Refugeepopulationd_20231128172301

難民受け入れ先国の難民人口が多い4国について表にしたのが次表です。 申請者や国内避難民を除き難民となっている人口は3,051万人なので、4国合計の難民数1,083万人は全体の3分の1を越える35%になります。 最も多く受け入れている国はイランであり、その難民の99.7%は隣国アフガニスタンから。 次に多いのは、トルコであり、90%以上は隣国シリアから。 4国については、次表を参照ください。

Refugeepopulatione

難民の多くは、隣国・周辺国に避難する・せざるを得ないということが現れている。

6) パレスチナ難民

パレスチナ難民と言った場合、通常はUNHCRが支援している難民ではなく、UNRWAが支援している難民を指すことになり、難民条約(1951Convention Relating to the Status of Refugees)にもUNRWAが支援対象が条約適用の対象外とある。 UNRWA (United Nations Relief and Works Agency for Palestiine Refugees in the Near East : 国連パレスチナ難民救済事業機関)も国連機関であり、UNRWAが実施する難民支援対象は、1946年6月から1948年5月15日の間にパレスチナでの居住及び生活をしていたパレスチナ人(アラブ人)とその子孫である。

6-1) パレスチナ

パレスチナとは、中東のパレスチナ地域のことであるが、現在では狭義の意味として西岸地区(West Bank)とガザ地区(Gaza)のこととして使われていることが多くある。 第一次世界大戦終了まで、中東地域一帯ははオスマン帝国が支配していた。 大戦終了後の1920年サンレモ会議により、英国はパレスチナ・ヨルダンとイラクの、フランスはレバノンを含むシリアの国際連盟による委任統治をすることとなった。 その後、イラクは1932年に独立を成し遂げ、トランスヨルダンは1946年に、レバノンは1943年にフランスから、シリアは1946年に独立をした。

パレスチナに関しては、英国外務大臣バルフォアがユダヤ人のロスチャイルド卿に対して1917年11月2日に書いたバルフォア宣言(Wikipediaの写真はここ にある。)があり、"His Majesty's Government view with favour the establishment in Palestine of a national home for the Jewish people." と述べて、大英帝国の国王陛下はパレスチナにユダヤ人の地をつくることを支持・賛同していると宣言した。 ユダヤ民族が聖地パレスチナに国家を建設すると言う民族運動は英国の支持を得たのであり、その地パレスチナは英国が委任統治を行っている地域に含まれている。

ユダヤ人のパレスチナへの移住はバルフォア宣言以後増加していった。 次図はカナダのCJPME(Canadians for Justice and Peace in the Middle East)という民間団体の資料から作成したパレスチナにおける人口の推移である。

Palestinea

ユダヤ人はパレスチナの地主であるアラブ人から土地を購入し、購入した土地に移住したのであり、初期の頃はアラブ人もユダヤ人も仲良く隣人として生活をしていた。しかし、ユダヤ人口が増加していくと軋轢も増加していったし、場合によってはユダヤ人が購入した土地のアラブ地主の住まいはエジプトであり、パレスチナに住むアラブの小作人は突然ユダヤ人から追い出しを受けたケースも存在した。 遊牧民にとっての土地や国境に対する考え方とユダヤ人に違いはあるし、宗教・習慣の差は大きかった。

1947年11月29日国連は総会決議181号で、1948年10月1日より早い時期に、パレスチナにおいてアラブとユダヤの2つの国を作り、エルサレムを特別市とすること。 そして1948年8月1日より早い時期での英国委託統治の終了を決議した。 33国が賛成、反対は13国で棄権が10国であった。 反対を投じたのは、アフガニスタン、キューバ、エジプト、ギリシャ、インド、イラン、イラク、レバノン、パキスタン、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメンであった。 周辺国とモスレム国は反対した。 インドネシア、マレーシアは当時国連未加入であった。英国は棄権であった。 英国は委任統治の終了し、1948年5月14日迄に撤退することを決定した。

6-2) イスラエルの建国・第一次中東戦争

国連決議181号の前から、ユダヤ人シオニストの民間自衛組織やそれに対抗するアラブ側の民兵組織も生まれていた。 国連決議の後、衝突は更に激化し、内乱状態も発生した。

1948年5月14日英国撤退の同日、イスラエルは建国宣言を発表し、その翌日エジプト、トランスヨルダン、レバノン、シリアの軍隊・義勇軍はパレスチナに攻め込んだ。 戦争は当初の段階ではアラブ側有利であったが、イスラエルの反撃によりイスラエルの事実上の勝利となった。 停戦協定は国毎の締結となり、エジプトと1949年2月、レバノンと3月、トランスヨルダンと4月、そしてシリアとは7月になり協定が締結された。 停戦協定による停戦ラインにより、イスラエルは国連決議181号で示されていた地域より広い面積を得、エジプトはガザ地区を、トランスヨルダンはヨルダン川西岸地域を停戦ラインの内側に得た。 その後、1967年の第三次中東戦争(6日間戦争)で、イスラエルはガザ地区、ヨルダン川西岸地域、ゴラン高原を占領した。 1948年以後パレスチナに住んでいたアラブ人の中で難民となった人々は多く存在する。

6-3) パレスチナの現状(人口と面積)

1967年の第三次中東戦争によりイスラエルと狭義のパレスチナの現在の境界となったのであるが、この境界に住む現在の人口(データは2021年現在)を次表に示す。 (表クリックで拡大します。)

Palestinepop1_20231204192401

イスラエルの地域は、西岸地域、ガザを合計した全面積の78%であり、人口割合では64%である。 なお、単純な比較では誤る可能性がある。 降水量の少ない砂漠地帯が多く、植林も関係するので、単純ではない。 しかし、人種割合ではイスラエル地域にアラブ人が200万人住んでいる。 3地域合計では、ユダヤ人とアラブ人の比率はは48%と49%であり、アラブ人がわずかに多い。 地域の外に出て難民となっている人を加えるとパレスチナのアラブ人人口は相当多いと言える。

イスラエル、西岸地域、ガザにおける1995年以降の人口推移を図にすると次の様になった。

Palestinepop2_20231205162101

1995年を1として描くと次の様になった。

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ガザ地区の人口増加率が一番高いのである。

6-4) パレスチナ難民 (UNRWA登録難民)

UNRWAに難民の登録をしている人数はUNRWAが公表しており、その滞在地別の2022年における難民数は次表の通りである。

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シリア危機・内戦により、シリアでUNRWAに登録されているパレスチナ難民のうち約12万人は、レバノンとヨルダンに脱出していると考えられ、シリア国内に居住する難民も60%は、国内移動を余儀なくされた。

40%のパレスチナ難民は、ヨルダンに居住している。 但し、在ヨルダンのパレスチナ難民のうちヨルダン国籍を取得している人達も多い。 いつの日か先祖が居住したパレスチナの地に帰還することの希望は捨てておらず、UNRWAの難民支援は受けていなくても、難民登録は維持し、パレスチナ人として生きている人も多いのが、在ヨルダンのUNRWA難民である。 また、ヨルダン川西岸については、第三次中東戦争前の停戦ラインではヨルダン支配地域であったのである。 西岸地区に住んでいたパレスチナ難民はヨルダン国籍の取得がそれほど困難ではないと推測する。 なお、ヨルダンのみならず、この地域はアラビア語であり、アラビア地方というのがふさわしいように思う。

ヨルダン川西岸地域とガザの人口は、6-3に記載した表で1,476千人と871千人であった。 この人口を使用して上表の難民数における割合を計算すると西岸地域で17%、ガザでは70%となる。 

6-5) UNHCR対象のパレスチナ難民

UNHCRが支援しているパレスチナ難民は次表の通りです。

Unhcrpalestina

パレスチナ難民の場合は、UNRWAの難民が5,713千人なので、UNRWAが関与している難民がほとんどであります。 ガザに居住するUNRWA難民の人口がUNHCRが関与するパレスチナ難民の10倍以上です。

7) 難民支援について

NHKスペシャルは「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」とのタイトルで放送していたが、考えなくてはならないのは、「世界は」ではなく、「私たちはどう向き合うのか」であると考える。

日本語名称は世界人権宣言である”The Universal Declaration of Human Rights”が難民について考える場合の最も参考になると考える。 14条1項の「すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」や13条2項の「すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。」等の文章のみならず第1条の「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」等すごい文章が多くある。

世界には様々な紛争や戦乱と武力衝突が数多くあり、その結果が難民発生となっている。 日本の難民受入数は極めて少ない。 特定技能ビザでさえ、家族帯同が難しかったりするのだから、人手不足日本とは超保守的な国だと思う。 しかし、難民認定でなくとも同等な家族帯同就労可能なビザで支援しても良いわけで、多分難民に対する受入も拡大していくと期待する。

一方で、日本政府はUNHCRにもUNRWAにも応分の資金援助を行っており、難民受入が多い国に対しても必要な支援を実施していると理解する。 難民支援は、人道的見地のみならず、紛争や戦乱の防止、平和の樹立に効果的と考える。 武器に金を使うより、国際的な支援・協力が日本の国の安全や世界の平和に有効であることは多いと考える。

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2023年9月17日 (日)

リビアのダム決壊の原因は? 日本でもおこるか?

リビアのデルナ(Derna)を大洪水が襲い、街が押し流され、壊滅的な被害をもたらした。様々なニュースを総合すると、死者は1万人以上で、2万人以上になるとの話もある。被害状況を伝えるニュースとしては、このBBCニュースが動画もあり、また線を動かして、被害前と後を見れる航空写真もあります。

1) リビアのデルナとダムの位置

デルナは、東西約1300kmのリビアの東部に位置し、デルナからエジプト国境までは直線距離約270kmです。 地図に、崩壊した2つのダムを表示したが、下流側の北の方へのダムはデルナ市街地から1400m程度で非常に近いところにあり、それから上流約12kmのところにもう一つのダムがある。 

2) 2つのダム

上のGoogle Mapで衛星写真の方を拡大して見ると分かるが、2つともコンクリートダムではなく、フィルダムと呼ばれる土砂や岩石を盛り立てて建設した構造のダムである。日本では、河川堤防のほとんどがこの形式であり、河川からの取水箇所、ダムでは下流への放流箇所はコンクリート等を使い取水・放流等を可能とし又洪水等非常時の配慮もなされている。

Google Earthで3Dイメージを作成してみた。 (上がデルナ市街地に近いダム)

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3) ダムの目的

崩壊原因はやがて究明されるであろうが、このダムの目的はなにであったかと言うと、おそらく洪水対策と水供給であったと私は思う。 次のグラフはトリポリの平均月間降水量を示しており、6、7,8月はほとんど雨がない。また年間降水量も330mmであり、サヘル地方の典型である。2023年9月に降った雨は3日間で100mmを超え、200mmを超えた所もあるかもしれない。 夏場は、水供給・水確保が重要であり、一方今回のような豪雨も発生する。 水供給と洪水対策のためのダムであったと考える。

Tripolirainfall

4) ダム崩壊の原因

ダム崩壊の原因として、このGuardianの記事は、検察がダムメンテナンスの予算確保を含め、メンテナンスに問題がなかったか調査すると報じている。 これらのダムは1970年代にユーゴスラビアにより建設され、メンテナンス工事もトルコ業者に相当前に発注されていたとの話もある。どこまで真実か、確認できていないが、いずれにせよダムはメンテナンスが必要なのである。 日本の河川の土手も、管理者が亀裂や変形、沈下等がないか調査し、必要な場合は、改修工事を実施している。 あらゆる建築物はメンテナンスが必要であり、メンテナンスをすることにより、長期の利用が可能となる。

1300年以上の歴史がある香川県仲多度郡まんのう町にある満濃池は決壊と修築を繰り返しているが、現在も存続し農業用水供給を担っている。 但し、この満濃池も鎌倉や戦国の戦乱機には洪水決壊後の修復は実施されず放置されていたようである。

5) 復旧・復興の目途

リビアとは、どのような所かである。 ここに外務省海外安全ホームページのリビアがあり、次の様に書いてある。

【危険度】
●全土:レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
【ポイント】
●リビアでは、民兵組織など武装グループによる武力衝突・テロ・誘拐事件が発生しており、全土に「レベル4:退避勧告」を発出しています。リビアへの渡航は、どのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は直ちに退避してください。

危険だから行くな! 行っている場合は、帰れ!である。 しかも、デルナを含む東部地域は、政府GNUの影響が及ばないLNAの影響が濃い地域である。在リビア日本大使館も、2014年7月21日で一時閉館し、現在はチュニジアの首都チュニスで業務をしている状態である。 カダフィ後の混乱の中、トルコ、カタール、イタリアは国連が関係したGNAを、そして対抗するLNAをエジプト、フランス、UAEが支援し、これにロシアが加わり、ワグネルも参加している。 この状態が現在どうなっているか、調べようとしても、調査しきれなかった。

赤十字・赤新月社は、頑張っておられるようだが、どうされているのか、赤十字・赤新月社だから支援可能なのかな。アフリカ最大の原油・ガスの埋蔵量を持つリビア。 だからこそ、利権が渦巻き、恐ろしい世界が口を開けて待っている。 確実なことは、平和が重要ということ。 戦乱(戦争のみならず内乱や暴動を含め)を無くすることこそ重要と考える。 その実現に向け努力することが重要と思う。

 

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2023年8月 6日 (日)

福島原発ALPS処理水について考える

間もなく福島原発ALPS処理水の海洋放出が始まろうとしているが、無責任な当事者や関係者が多すぎように思う。

1) 感情論のみで非論理的な漁協

7月30日に西村経済産業大臣と福島県漁業関係者との面会があったとのこと。 このNHKの報道 に接して驚いた。「処理水を放出したあとは、子どもたちにとれた魚を食べさせないという声が出ている」との懸念の声が漁協側から出たとある。 事実とは異なる情報により発生した被害を風評被害であるとして、自らが風評被害の発生源となる恐ろしさである。 声の主が漁業関係者や福島の人達だとすれば、反対のための反対をするための発言だと思ってしまう。 こんな発言を聞けば、皆恐ろしがって福島の魚を食べなくなる。

やるべきことは、論理的・科学的に分析・検討して、その結果問題点があれば、その改善を提言する。 安全なら、漁協自からも福島の魚は安全であり、食するに問題ないと広報・働きかけを行い、政府にもその広報の拡大・浸透に協力を求めるべきである。

2) 国際原子力機関(IAEA) 包括報告書

7月4日にIAEAのRafael Mariano Grossi総局長は岸田総理と会見し包括報告書を手渡した(読売のニュースはここ IAEAの発表はここ )。 IAEA報告書こそ、福島原発事故処理に関する一つの大きなマイルストーンと考える。 地球上での原発事故は残念なことだが、福島が最後とは限らないだろう。 万一、事故が発生した場合に、その国が国家主権を盾に外国の関与を拒むことがあるかもしれない。 IAEAが原発の事故処理、安全確保に関与することは重要であると考える。

原発事故が発生した場合、放射能汚染は、原発が位置する国に止まらない。主権国家が、幾ら法律を作っても、放射能は法律を守らない。放射能という物理的性質に対応して人類は対処しなければならない。 原発事故が発生した場合、IAEAが関与し、国家秘密を作らせず、必要な情報開示をすることを原発に関する国際的なルールにすべきと考える。 今回の福島事故に関するIAEAの関与については大賛成である。

IAEAの包括報告書はIAEA発表の中にリンク先がある。包括報告書は、信頼性高いと考えられ、タスクフォースには多くの国の専門家を含んでいると述べられている。アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、マーシャル諸島、韓国、ロシア、英国、米国、ベトナム。

ALPS処理水については、IEA包括報告書は次の様に述べている。(Executive SummaryのPage v)

The IAEA recognizes that the discharge of the ALPS treated water has raised societal, political and environmental concerns, associated with the radiological aspects. However, the IAEA has concluded, based on its comprehensive assessment, that the discharge of the ALPS treated water, as currently planned by TEPCO, will have a negligible radiological impact on people and the environment.
<ブログ主の参考訳>
AEAは、ALPS処理水の排出が、放射能汚染について、社会的、政治的、環境的な懸念を引き起こしていることを認識している。しかし、IAEAは、包括的評価として、東京電力が現在計画しているALPS処理水の排出は、人々および環境に対する放射線による影響はごくわずか(Negligible:無視可能域)であると結論付けている。

IEA包括報告書24ページ(2.6 人体への放射線影響)に関する表も興味深い。

  国際基準 ALPS処理水排出の場合(一人あたり)
通常の稼働状況での被爆リスク 年1mSV以下 年0.000002-0.00mSVm
事故等非常時の被爆リスク 1事故5mSV 1事故0.002から0.01mSV (下記参照)

事故時の被爆想定は、希釈前のALPS処理水のタンク10,000m3から漏水して海に流れ出た場合と10,000m3の3つのタンクから事故で1日間漏れ出した場合としている。 なお、環境省はこのWebのように日本平均の放射線被曝量は年2.1mSVと述べています。 海洋生物への影響についての表もある。(27ページ)

  国際基準(国際放射線防護委員会ICRP)

ALPS処理水

カレイ・ヒラメ 1日10-100 mGy 1日0.0000007mGy
カニ 1日10-100 mGy 1日0.0000007mGy
海藻類 1日1-10mGy 1日0.0000008mGy

海洋生物とは、多くが産卵からの平均寿命は極めて短いのであり、放射線の影響は人間や陸上動物とは異なる。 なお、海洋生物への影響であり、食用として摂取する場合の基準ではない。しかし、福島産の魚類等の放射線は測定不可能なレベルである(例えば、ここ に福島県の水産物検査結果があるが、海の物は全て検出せずとなっている)。 ALPS処理水を海洋放出しても、変わらないし、3H(トリチウム)を問題にするとしても、海洋中に既に存在するのであり、有効な測定方法はない。

IAEAがALPS処理水海水放出に問題なしとしているのだから、日本政府に日本及び世界に対して安全性を訴えるよう要求するのが漁業者としての賢い戦略と私は思う。風評被害の支援は、方向が間違っているように思う。

3) ALPS処理水

ALPS処理水の放射性物質は、そのほとんどが3H(トリチウム、三重水素)であり、分析結果を探すとIAEAの2023年5月の報告書の第5表に次の分析結果があった。単位は、1リットルあたりのベクレル(Bq/L)である。

Fukushimaalpswateriaea

ALPS処理水の排出について、東京は電力はこのWebで、100倍以上に希釈した上で、トリチウム放出量は22兆ベクレルを下回る水準にすると説明している。上の表で3H(トリチウム)の数字が一番高いのはLS(スイスの研究所)mp165,800Bq/Lであり、100倍の希釈だと1658Bq/Lに止まるが、100倍以上だし、サンプリング測定も実施するので、問題はないと考える。

4) 年間排出量22兆ベクレルについて

次に年間排出量22兆ベクレルについて考える。

このトリチウム(3H)に関する説明は多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第8回)における資料であり、3ページ目に日本の原子力発電所からの3H(トリチウム)の排出量についての記述がある。この3Hの排出量について、もう少し調べてみる。次は、東京電力福島第一原発で2003年度から2009年度まで海洋放出した3H(トリチウム)の量である。なお、この数値は原子力規制庁・原子力規制委員会が公表している原子力施設に係る放射線管理等報告((2012年までは原子力安全基盤機構による原子力運転管理年報)からである。

Tritium2023f1

日本における3H(とリチウム)の原子力発電所毎の年度別排出量は次のグラフの通りである。

Tritiumdischarge2023pp_20230805160401

発電所別ではなく都道府県別に整理すると次の様になりました。

Tritiumdischarge2023prf

何故、原子力発電所から3Hが排出されるかですが、ここに日本原子力産業協会の説明がある。 この説明によれば、核分裂や10B(ホウ素)の中性子照射により3Hが生成され大部分は燃料棒内に止まる。しかし、それ以外に制御棒に含まれる10Bや一次冷却水に添加されている10Bが中性子照射を受けて3Hが生成され、これが3H海洋放出となる。

3H放出量は、沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)では、PWRでの放出量が多く、PWRの原発が運転されている福井県、愛媛県、佐賀県、鹿児島県、北海道における3H放出量が大きい。

ALPS処理水排出基準にしようとしている22兆ベクレルの由来であるが、上に示したこのトリチウム(3H)に関する説明の5ページ目に福島第一原発の「事故前の放出管理目標値は年間22兆ベクレル」とある。これを採用したのである。この22兆ベクレルは日本全体での過去最大が400兆ベクレルなら、その20分の1。現在日本全体で100兆ベクレルとすれば、その5分の1である。放出しないで管理することのリスクと低レベルに希釈して管理して放出することのリスクを考えれば、放出が妥当であると考える。

なお、福島第一原発の事故時に海域に流出した3Hは存在し、100-500兆ベクレルと言われているが、この流出は管理報告の対象外であり、除外している。

5) 世界の3H放出量

環境省のこのWebページに世界の原子力施設からの3H排出量の比較があり、フランスのLa Hagueという施設は年11,400億ベクレルということで、福島事故前の日本全体の水準の30倍という水準である。(環境省の説明は英語のみであり、日本語のページでは、幾ら探しても出てこない。 日本国民をどう考えているのだろうかと思ってしまう。)

La Hagueは、原子力発電所ではなく、MOX燃料等をつくる核燃料再処理工場である。日本も使用済み核燃料の加工をフランスに委託しており、La Hagueでの3H排出に無関係ではない。日本とフランス両国における3H排出量は次のグラフの通りである。

Tritiumdischarge2023fj1_20230806162501

また、4)の文章の出だしで引用したこのトリチウム(3H)に関する説明の最終9ページ目には次の図があり、世界では多くの施設で3H(トリチウム)が放出されている。

Worldtritium20238

La Hagueに見られるように、使用済み核燃料の再処理では特に多くの3Hの放出を伴うようです。日本でも、六ヶ所村再処理工場の稼働が始まれば、3Hの放出があるはずです。 廃炉にした日本の研究開発炉「ふげん」、「もんじゅ」からも3Hは現在も海水放出されている。 原子力潜水艦から、量は把握できていないが、3Hを放出される。 なお、核実験こそ、大量の3Hを放出する。次のグラフはフランスIRSNのこのページ(トリチウムと環境)にあるグラフで、1963年頃北半球に於ける大気中の3Hは異常に高かったことが分かります。 1963年に部分的核実験禁止条約(PTBT)が結ばれ、大気中、海中、宇宙に於ける核実験の禁止が当時米・ソ・英で合意された。 考えれば、水素爆弾とは2H(二重水素)や3H(トリチウム)の核融合エネルギーを利用する爆弾である。

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本テーマについては、報道等で取り上げられても、ある部分のみだけを伝えているのみと考え、ブログ主が考えていることを書いてみました。 ALPS処理水排出は夏休み明けなんて、良かれと思って発言されたと理解するが、風評被害の拡大にもなりかねない可能性がある。よく考えねばと思います。

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2023年5月25日 (木)

G7 広島サミット首脳コミュニケ

2023年5月20日、広島でのG7サミットで、首脳7カ国のリーダーは共同宣言(G7 Hiroshima Leaders’ Communiqué )を発表した。

その文書は、次のWebページにある。また、日本語参考訳は外務省のWebページにもあり、外務省参考訳へのリンクも掲げる。

G7 Hiroshima Leaders’ Communiqué  May 20, 2023  外務省参考訳

G7広島サミットのために、日本政府が作成したWebページがあり、文書・資料というページ(日本語英語 )があり、そこにコミュニケと共に、5つの個別声明をダウンロードすることができる。日本語は、全て仮訳となっている。

コミュニケは、原文で全40ページ。外務省参考訳も同じく全40ページあり、多岐にわたっている内容である。ちなみに、コミュニケについての報道へのリンクとしてNHK日経 をあげておく。

報道されている内容等で、私として気になる部分を書いてみた。(Communiquéとは、フランス語から来ていて、直訳ではOfficial Communicationと理解する。報道各社により、首脳宣言、首脳声明と使われていることが多く、外務省の仮約ではコミュニケとなっている。)

1) 法の支配

「法の支配」と言う言葉が、政治家、政府関係者、マスコミにより使われていることは多く、しばしば耳にする。私は、不明解な言葉であると思っている。法とは、国が定め、その国内で有効なものである。日本では国会が立法機関で法をつくるが、その法は日本国内で施行される。他の国を縛ることはできない。法の支配は外国には及ばないのだが、日経のG7首脳宣言の骨子と言う部分には冒頭に法の支配に基づく国際秩序を維持・強化とある。

「法の支配」という言葉が使われているのは、コミュニケ2ページ目の2の一番最初の文章で、日本語と英語は次の様になっている。

日本語 大小を問わず全ての国の利益のため、国連憲章を尊重しつつ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、強化する。

 

英語 upholding and reinforcing the free and open international order based on the rule of law, respecting the UN Charter to the benefit of countries, large and small

私は、英語を読んで納得した。国連憲章の尊重を述べており、私も賛成である。国連憲章は、強制力を持つ法とまでは言えないと考える。しかし、国連憲章を尊重しつつ、全ての国々が利益を享受できるように国際社会を運用していく。

2) 核軍縮

コミュニケの5が核軍縮についてであり、G7広島では広島ビジョンも発表された。批判もあるが、現状これ以上のことを求めることの困難さは存在すると認識する。

NPT(核不拡散条約)をベースとしての展開であり、核廃絶を求める人にとっては、不十分であることは承知の上で、G7首脳にとってはこのあたりが妥当であろう。NPTは、米・露・英・仏・中の5カ国を核保有国として認める不平等条約である。しかし、5カ国以外でもインド、パキスタン、イスラエルが核兵器を保有しており、北朝鮮も持っている。 更に、NATO加盟国のうち、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダとトルコの5カ国6基地に米国の核爆弾が配備されている。ヨーロッパでは英と仏の2カ国が加わる訳で、これらがロシアの核爆弾と対峙している。

どんな兵器でも、実に愚かな物である。核兵器の不使用・廃棄をどう実現していくのか、北朝鮮の核兵器廃棄の道筋は、どうするか。Hiroshima & Nagasakiが世界の核軍縮へとつながるともしびになってくれたらと思う。

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2023年3月12日 (日)

21世紀に入ってからは長期低落の日本経済

一つ前のブログ「税と社会保障の国民負担」(このブログ )で、日本の国民所得(NNI:Net National Income)はOECD統計によれば、OECD35カ国中24位であることを書きました。(OECD統計には、EU諸国とEuro諸国という分類もあるが、これらEU諸国とEuro諸国は除外しての順位です。)35カ国中24位とは、上位、中位、下位で分けたなら、下位グループの先頭と言うような感じです。

果たして今後中位から上位、さらには上位グループの先頭に並べるくらいに発展することができるのか、30年前の1990年からの国民所得の各国比較をしてみました。比較する対象は、税と社会保険料合計の比較をした9カ国としました。結果は、次のグラフの通りです。

Oecdnni20233a

一番上の突出しているラインは米国であり、1990年では10,000ドルに満たなかったが、順調に増加してきたのは韓国です。日本は、1990年の時点では悪くなかった。グラフを見ると2000年位までは悪くはなかった。2008年9月にリーマンショックがあったのですが、21世紀に入って日本経済はだんだんと低迷状態となり、リーマンショックではどの国も落ち込んだのであるが、日本はいよいよ落ち込んだ。その後、多少の回復はしたが、低迷は続き、イタリアより2013年-2015年は少し上であったが、2016年にはイタリアより下位となり、2017年には韓国に並ばれて、その後は9カ国中では最下位となっている。

失われた30年なる言葉があり、バブル崩壊後の1990年頃から現在までの約30年間を指すようであるが、実は2000年まではそれほど悪くはなかったと言える。実は2000年からの森内閣、小泉内閣の頃から日本経済は低迷したと言えるように思う。規制改革と言って、市場競争を取り入れるのは良いが、行きすぎた面があれば、成長を阻害する。社会として保護をして、発展に結びつけるような誘導策も必要ではなかったかと思う。日銀の異次元緩和も経済発展には寄与しなかったのではないか。種々の政策を各国の政策と比較し、日本の政策では取り込んでいないものは何か、取り込んでいたらどうなっていたか等を研究し、その研究成果が発表されることを期待したい。

103万円の壁とか130万円の壁と言う言葉を耳にすることが多い。収入を得ても、税と社会保険料を支払わなくて済むという奇妙な特権を残していては、日本社会の経済発展を阻害すると思える。これが正しいとは誰も思わないはずが、存続を希望する人がいると報道されている。誰が、利益を得ているのか?パート労働の女性だと思うかも知れないが、実は低賃金労働により利益を得ている産業が最大の受益者であると思う。一方、日本経済全体で考えてみれば、低付加価値産業から高付加価値産業への転換を阻害していると思う。その結果が、国民所得低位低迷になっている一因と言える気がする。調査・研究をした報告を待ちたいと思う。

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2023年3月 9日 (木)

税と社会保障の国民負担

ポピュリズム政治が進むと政府によるバラマキが増加する。或いは、所得(生産物)の国民への配分を合理的なものにし、社会を発展させるには政府の必要な関与は不可欠であると言える。さあ実態は、どうなのかと言うことで、先日の2月21日に次のニュースがあった。

日経 2月21日 国民負担率、23年度は46% 国民所得拡大で2年連続低下

財務省の発表は、このページです。

1月15日にOECDデータによる税の国際比較というブログを書いたのですが、1月15日のブログでは図3で日本の税と社会保障の負担率は2020年33%とした。今回の負担率は46%となっている。その原因は、母数であり、1月15日はGDPに対する割合を示したのですが、今回の財務省の割合は国民所得(Net National Income)に対する割合で計算していることからの差であります。

GDPが国民所得より大きいのですが、その理由は国民所得の場合、固定資本減耗(すなわち固定資産の減価償却費)を差し引いているからです。それ以外には、国外との利子配当の受取・支払を含んだのが国民所得となるが、金額的にはほとんどが固定資本減耗です。財務省の発表ページに推移を示したこのページ へのLinkがありますが、2021年度を例にとると国民所得は395.9兆円でGDPは550.5兆円。差は154.6兆円です。2021年度の固定資本減耗は138.7兆円でした。差の15.9兆円が海外からの利子・配当金受取純額となる。

33%が正しいのか、46%が正しいのかと言えば、減価償却費相当額を差し引いた国民所得に対する割合が、財務省発表に基準としているように正しいと考えます。昔で言えば、ほぼ五公五民。共産主義なら十公零民かと言えば、全員が公務員だとすれば、公務員給与やボーナスがあるわけで、その分が民になるのであり、五公五民ぐらいかなとも思える。公に分配された分も、社会資本、福祉、教育他民のために使われるのであり、表面的な数字より実態を踏まえた合理的な分析・評価・研究により決定されるべきです。

1月15日のブログはGDPに対する税と社会保険料の割合を示したグラフであったので、OECDデータによるGDPと国民所得に対する割合のグラフを作成しました。

Oecdtax20233a_20230309021601

ところで国民所得(NNI)が所得を表し、重要であることから、OECD加盟国の一人あたり国民所得のグラフを作成しました。日本は24位です。成長戦略をまじめに取り組んでいく必要性を痛感します。(韓国は、日本より上位です。)

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2023年1月15日 (日)

OECDデータによる税の国際比較

税は重要である。そして、税について考える場合、税を他の国と比較することで、参考になる情報は多くある。

OECDの統計に、税に関する統計があり、この統計データを利用して、日本、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、デンマークと韓国の9カ国の税収データについて比較を実施した。その結果をここに報告をしますので、参考にして頂ければと思います。

1) 一人あたりの税額

国の税収を人口で割った金額を米ドル換算して比べてみた。税収額であり、所得税のみならず全税目の税収合計です。更には県民税、市民税等等の地方税を含んでおり、社会保険料(年金や保険料(健康保険、介護保険、失業保険、労災保険等)も個人負担・企業負担を問わず法律で支払義務があるもの) も税としてOECD税収統計はあつかい、税と見做して統計に含めている。なお、OECDデータは各国の通貨建てであったので、為替レートと人口により一人宛あたりの米ドル額を計算して算出した。

9カ国の一人あたりの税額については、次の図1である。OECDの最新税収データは2020年であり、本エントリーでは2020年の税収を比較する。

Oecdtax2020a

図1で、日本の一人あたりの税額は13,195米ドルとなっている。2020年人口と米ドル・円の換算レートをかけていけば、2020年日本の税収額となるが、その結果は177兆3千億円となる。一方、令和5年度政府予算案一般会計の租税・印紙収入は69兆4400億円であある。177兆3千億円は2.5倍以上の金額である。177兆3千億円の内訳は、次の表2であり、財務省の租税収入には含まれない地方税と社会保険料がOECDの税収額には含まれていることがわかる。

次の表2が日本の2020年税収額OECDデータの税分類別内訳である。

Oecdtax2020b

2) 対GDP比による比較

GDPとは、付加価値額の総和であり、各国のGDPに対する税収額を見れば、その国の総平均税率のような指標となる。図3は2020年の対GDP比の各国比較であり、図4は2010年から2020年にかけての過去推移ならびに1990年と2000年のデータです。

Oecdtax2020c

Oecdtax2020d

3) 税目別税収の割合

図1、図3、図4において一人あたりの税収や税収総額のGDP比について比較を行ったが、次に税収に対しての税目の構成比を比較したのが次の図5である。税目は、表2で記載している税目大分類を使った。

Oecdtax2020e

図5を見ると、多くの国で社会保険料の割合が大きいと言える。各国の税目別税収をGDPに対する割合で示したのが、図6である。

Oecdtax2020f

基本的には図5と図6は同じであるが、国別の差は現れている。デンマークは、社会保険料がゼロに近い。しかし、年金等の政府による社会保険制度が存在しないのではなく、年金保険料の徴収がなく、一般財源から社会保障制度の給付を行っている。そのこともあり、所得税の負担はデンマークに於いては大きい。米国は、社会保険料負担が低いと言えるが、その理由には健康保険において民間保険制度を利用している企業・個人が多いからと理解する。

4) 社会保険料の10年間推移

社会保険料は図6に於いてピンク色線で表したが、2010年以後の年次推移を見てみたのが、次の図7である。

Oecdtax2020g

図7を見てもそうであるが、日本はフランス、ドイツ、イタリアと同じようなカテゴリーの国になるような印象を受けます。一方、図3の税収のGDP比からすると日本は33%であり、フランス45%、ドイツ38%、イタリア43%と比べて、日本は5%から12%低いと言える。税が高いことが良いことではないが、国債残高が大きいことは、いずれ税に跳ね返ってくる。国債とは国民の借金である。国の借金だとまやかしを述べている説がある。政府は、国民のために様々な機能により様々なサービスを提供している。税収がなければ、その機能を発揮できない。サービスを低下せざるを得ない。必要な適度な適切なサービスが政府から受けられるように政府を維持していかなくてはならない。そのための税であると私は考える。

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2022年12月17日 (土)

防衛費2.6倍がムードや雰囲気で決まってしまう気がする

日本の防衛に関する方針が閣議決定されている。重要なことなのだが、国民の間での、議論はできていないと確信するのである。

日経 12月16日 岸田首相「防衛力強化が外交の説得力に」 記者会見

岸田内閣総理大臣記者会見 令和4年12月16日

閣議決定したのは、来年度から5年間の防衛力整備計画における総額を約43兆円とし、現行計画の約27兆円の約1.6倍にするということである。ところで、令和4年度の防衛費と呼ばれる防衛省所管の支出予算は5兆3687億円である。このうち人件・糧食比が2兆1881億円で、物件費が3兆2915億円となっている。ところが、防衛力整備計画には、43兆円について「新たに必要となる事業に係る契約額(物件費)は、43 兆5,000 億円程度(維持整備等の事業効率化に資する契約の計画期間外の支払相当額を除く)」と書いてある。なお、12月16日閣議決定の中期防衛力整備計画はここにあります。

私の算数によれば、43 兆5,000 億円の5年間平均は8兆6000億円になり、3兆2915億円の何と2.6倍以上になるのである。そりょあ、無茶苦茶な国民に対する騙しだろうと言いたい。

日本国民の一致した信念は、平和主義であると確信する。即ち、対話を優先し、文は武よりも強しであり、武器・軍事力よりも強いものがある。ウクライナは、人口が自国の3.5倍もあるロシアと戦って負けてはいない。両国の軍事力が拮抗しているからでもなく、やはり外交戦略でウクライナが1枚上手であると言えると思う。

日本に対してウクライナの状況をあてはめるのは間違いであり、日本は日本の方針・戦略を持つべきである。第2次大戦でアジアを戦場に巻き込んだ日本であるが、逆にそれを踏まえて、同じ目線に立って平和戦略を考えることもできるはずである。武器に金を使うなら、その金の一部を周辺国や世界との平和追求のための組織作り支援に充てた方が、よほど平和に貢献すると考える。

このNHKニュース 12月15日は、「安全保障関連の文書をめぐって、有識者らで作るグループが抑止力に頼らない政策などを盛り込んだ提言を発表しました。」と報道している。この会議のYou Tubeが次のアドレスにあり、興味深い内容が語られている。

https://youtu.be/1xR6BinP1Ks

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2022年9月 2日 (金)

24年ぶりの1ドル140円の今後

円/米ドル為替レートがついに140円台となった。8月20日からのチャートは次の通りである。

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もう少し前からと云うことで、2年2月ほど前の2020年6月1日以降のチャートを書いてみた。そして、比較のために、ユーロと人民元のチャートも、2020年6月1日を1.000とし、米ドルに対し価値が下がった場合は1より小さな数字になるようにしてチャートを作成した。

Forex20220901a

円は弱いですね。更に、今年の3月以降の部分を3月1日を1.000として拡大したのが次です。

Forex20220901b

手の施しようがないとの感じです。物価高と不況が同時にやってくる予感がします。その対策しては、利上げしかないように思います。利上げは流通している国債の価値下落ですから、国債を保有している金融機関は軒並み評価損を計上する。金融市場の混乱の結果、日本経済の悪化は避けられない。国債に頼って、財政支出を拡大していた付けが回ってくるように思います。

国際市場を健全にするには、政府財政の立て直し・健全化を図らないとならないと思います。政府財政健全化のためには、増税ですかね。実施が考え得る増税は、消費税と高額所得者の金融課税なのでしょうかね。

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原子力発電に関する方針

NHKニュースが伝えたのは次でした。

NHKニュース 2022年8月25日 政府 原発7基 再稼働目指す方針確認 次世代の原子炉開発検討へ

この件について首相官邸のこのWeb Pageは、「総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。」として、以下の様に書いています。

電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えてあらゆる施策を総動員し不測の事態にも備えて万全を期していきます。特に、原子力発電所については、再稼働済み10機の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ってまいります。

官邸のWebだと10基の稼働であり、NHKによれば更に7基を加えた17基となっており、よくわからず、8月24日のGX実行会議のWebbがここにあり、資料1の12/27ページの記載によれば、①今冬までの最大9基の稼働確保並びにその次の②来夏・来冬からの高浜1・2、女川2、島根2の着実な再稼働、および柏崎・刈羽、東海第二の再稼働へ向けた取り組みが記載されている。

なお、最重要なことは、原発を稼働させる・運転するとするならば、現状で良いのか、どうすべきかをきちんと考えることである。

1 福島事故から学ぶべき事はないのか

福島事故からの教訓を生かすことなく、原発を再稼働だ、新設だと動くべきではない。

2011年3月の福島第一原発の事故の水素爆発を整理すると、次の表の通りである。

3月11日14時46分 地震発生
 13時37分 津波襲来 交流・直流の全電源喪失
 13時37分 1号機 冷却機能を喪失(全電源喪失と同時)
 3月12日15時36分 1号機 水素爆発
 3月13日 2時42分 3号機 バッテリー枯渇により冷却機能を喪失
 3月14日11時01分 3号機 水素爆発
 3月14日13時25分 2号機 冷却機能を喪失
 3月15日 6時14分 4号機建屋 3号機からの水素により爆発
 3月15日 午前 2号機 建屋外に放射性物質の飛散
出所:東京電力ホールディングス https://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_1-j.html より

3回の水素爆発により放射性物質が福島原発より大量に大気中に排出された。1号機は、直流電源が全く使えず。2号機と3号機の直流電源はバッテリー枯渇まで利用できたので、枯渇まで冷却できた。

2 水素爆発は防ぎ得なかったのか

1号機は津波来襲と同時に冷却機能を喪失し、まっしぐらに水素爆発へと突き進んだ。果たして、防ぎ得たかであるが、直流電源(バッテリー)を直ちに用意することができてたならば、付け加えて電源車もと思う。1号機の冷却装置である非常用復水器は電動弁のため作動しなかったとのこと。もし、自衛隊が災害派遣でバッテリーを輸送していたならと思うが、どうなのだろうか?

いずれにせよ、事故対応が十分であったのか、そのことは原因究明のみならず、極めて重要である。事故対応について調査し、教訓はないか、研究すべきである。

3 原発の大事故対応については、特別な仕組みが必要と考える

ここに官房長官記者発表2011年3月12日午前がある。福島原発に関しては、「非常用炉心冷却装置による注水が不能な状態が続いておりますが」と述べているのだが、余り緊迫感はないと感じる。パニックを起こさないようにと、冷静に述べていることは理解できる。しかし、実際に起こったことは、上の表の通りである。3月11日14:46地震発生、15:37津波襲来そして1号機の冷却・注水・減圧機能の喪失、翌12日15:36水素爆発(1号機)となったのである。

このNEWSポストセブンの記事(2011.03.20)は、{保安院の中村幸一郎・審議官が、「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」と記者会見で明らかにした。ところが、菅首相は審議官の“更迭”を命じた。}と報じている。

安心・安全な原発は安全性が確認された原発であることのみならず、運転・管理する体制も重要なのである。事故が大規模な災害を招く原発のようなものは、民間企業に運営を任せることだけでは済まない。事故が発生すれば、お前の責任だと追及しても、その企業の負担能力を超える責任を追及しても意味は無い。国で責任を持つ。国とは国民である。運転は、民間企業が行うが、国のあるいは独立した有能な機関が事故の発生がないように監視をし、改善や使用禁止等を決定できるようにする。立法により仕組みを作り上げる。

考えれば、原発とは原爆とイコールである。譲っても、同等・同程度という位である。原発を進めるなら、原爆を監視するのと同程度の管理やケアが必要なのである。今回の岸田総理の発言を機会に、誇れる管理システムを構築していくべきである。審議官の“更迭”を命じる首相は、あの人には限らず、今後も出てくる可能性はある。変なのが首相になっても大丈夫な制度を構築しなければならない。

3 世界の原発

次の表は世界の原子力発電所である。2021年12月末現在400GW近い原発が存在し、56基で計58GWの原発が建設中である。福島の事故を経験した日本だからこそ、世界に向けて発信すべき事があると考える。使用済み核燃料のプルトニウム問題も極めて重要である。なお、原発を止めても、それまでの発電により発生したプルトニウムは存在するわけで、プルトニウムは、将来の原爆のために保有しましょうとはできないのである。

Nuclearplantworld202112

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