2024年4月 4日 (木)

小林製薬の「紅麹」問題

小林製薬の「紅麹」に関しては、現在のところ、死亡者数5人とのことである。 

しかし、この問題に関して最も驚いたのは、次の日経ビジネスで報じられている「海外向けについては厳しい品質管理が適用されており「ロットごとにシトリニンの分析を実施していた」(記事の最後の文末部分)との記述である。

日経ビジネス 4月4日 小林製薬「紅麹」問題、機能性表示食品制度の怪 海外向けでは厳しい品質管理

日本の消費者を馬鹿にしたような記述であるが、そうなるに至った原因が当然ある。

小林製薬が健康被害を発表したのは、3月22日のこのニュースリリースである。 「機能性表示食品」という事業者の責任で特定の保健の目的が期待できるとする食品である。 だから、この消費者庁の措置命令発表のような景品表示法違反の事態が発生する。 政府・政府機関・第三者による検査・審査がないわけで、ウソのつき放題と思える。 

2013年当時、安倍晋三首相時代に規制改革の一環として「世界で一番企業が活躍しやすい国の実現」と言うことで制度が創設された。 しかし、問題を安倍晋三の責任として片付けても解決にはならない。 現状、日本は安全に対する規格が緩いのである。 口に入れる物について規制を緩くしては本末転倒になると思えるが、日本では特定分野の産業を有利にし、それを規制改革・経済発展への貢献と称されることがある。 関係者のみが利益を得るのであるが、大々的に宣伝されると、そうなのかと思ってしまう。 関係者には政治家や当該事業に直接・間接に関係する人達も含まれるので単純ではないが。

なお、安全についての本質は日本も海外も同じである。 「海外向けの紅麹原料は、ロットごとにシトリニンの分析を実施」は、何故かと言えば、その国の法律がそのような検査を義務づけ、そうしないと流通販売ができなかったからのはずである。 日本も主権国家であり、日本でもロットごとの分析を求めることは可能である。 そんな法律をつくれば良いだけである。 主権者たる国民が求めれば簡単に制定できる。 そう考えると、結局は我々自身のことである。 自分が自分の健康に責任をもつ。 勿論、自然界にも毒キノコはあるのであるが、サプリメントに依存せず、食事で生活するのが本来の姿であり、健康に過ごす方法だと思う。

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2023年9月23日 (土)

ジャニーズ問題を考える

ジャニーズ問題って、頭の中がかき乱され、混乱の窮地に陥って、正常な神経では対応できなくなる感覚である。 しかし、記録にとどめ、.問題の本質を知り、問題発生を防ぐ努力をする必要性を感じる。

1) ジャニー喜多川の性加害とは(1950年代から始まっていた)

性加害というが、そこには被害者が存在する。 見て見ぬふり、知っていて知らぬふりをしていた関係者もいるはずと確信する。

本問題については、ジャニーズ事務所が調査報告書をWebで公開しており、このページから報告書と概要版がダウンロード出来ます。 報告書は、事件に関して、かなり突っ込んで調査・報告しています。(事件との表現はマスコミ等で、ほとんど使われていないが、加害者と被害者が存在するからには、刑法・その他の法で犯罪とならなくても事件と言えると考える。)

ジャニー喜多川は、1931年10月アメリカで生まれ、1933年に日本に帰国した。 1962年ジャニーズ事務所を個人開業。 1975年1月に株式会社として法人化したのであるが、性加害が1950年代から始まっていたとなると、ジャニーズ事務所を始める前からである。 報告書19ページは次の様に記載がある。

特別チームは、上記のとおり、特別チームへの調査協力を承諾した被害者のヒアリングを実施し、各被害者からジャニー氏による性被害について以下のような話を聴取することができた。
・1950年代、ジャニー氏が小学校低学年男児であった被害者の自宅に泊まった際に、あるいは遊びに来た同級生の男を自宅に送る車の中で、口腔性交などの性加害が繰り返された(ジャニー氏20歳頃)

21ページには、次の様にある。

ジャニー氏は、古くは1950年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、上記のような性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる。 

ジャニーズJrとは、デビューを目指してレッスンを行いながら芸能活動を行っているジャニーズ事務所所属タレントで、アイドルを目指す少年達である。1980年代当時は10~20人程度であったが、2000年頃には200名程度になり、2017年から2019年当時は全体で300人くらいのジャニーズJr.がいたとのこと。ジャニー喜多川が、自宅や合宿所や公演先の宿泊ホテル等において、ジャニーズJr.のメンバーを含む多数の未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾した上、キスをしたり、身体を愛撫したり、性器を弄び、口腔性交を行ったり、肛門性交を強要したりする、などの性加害を行っていた。(報告書21ページ)

被害者は、当然「自分の中で蓋をして終わらせていた過去で、ニュースなどを見るたびに当時のことを思い出して、フラッシュバックし、嫌な思いをする。」という当然のことが生じる。 報告書の24ページから26ページに書けて被害状況に関する調査報告があるが、未成年の時に受けた性被害の深刻さを感じる。例えば、次の様な記述もある。

度重なる幻聴やフラッシュバックで、自殺願望も抱くようになった。
女性と性交をしている時もジャニー氏の性加害を思い出して恐怖感を抱いたり、食事中にもそのような場面を思い出して吐きそうになったりしたこともあった 。
社会に出て仕事を始めるようになってからも、同性不信があり、権力がある人やジャニー氏と同年代の人を見ると恐怖を覚えました。
人に話せば、自分のことも「変態」「お前やられたんだろ」とからかわれるのがオチだろうと思って、家族にも誰にも話しませんでした。
私は、性欲はあり、マスターベーションはできますが、この年になるまで女性と関係を持ったことはありませんし、性風俗に行ってもできません。

男が男にする性被害は、妊娠とか相続とかの問題を生じさせないと簡単に扱うことができない、心の中に傷跡を残す甚大な犯罪だと思う。

(2) 報道等はどうだったか

ジャニーズ問題は、BBCが本年3月27日に報道した後、急展開を見せ、6月も立たないうちに、今のようになった。 BBCが報道したのは動画であったが、この2023年3月7日のBBC NEWS JAPAN の内容とほぼ同一であったと思う。

では、それ以前はと言うと、この弁護士ドットコムニュースによれば、やはり様々に報道や証言はあったのである。

  • 1965年の『週刊サンケイ』(3月29日号)
  • 1967年『女性自身』(9月25日号)
  • 1981年『週刊現代』(4月30日号)

1988年にはジャニーズグループ「フォーリーブス」のメンバーだった北公次氏が『元フォーリーブス北公次の禁断の半生記』(データハウス)を出版し、この本の中で、ジャニー喜多川から自身が受けた性被害を赤裸々に綴り、これを受けて、1年ほどの間に『アサヒ芸能』、『週刊文春』、『FOCUS』、『週刊大衆』、『微笑』などで、北氏や匿名の元タレントらの証言の掲載があった。

(3) 1999年週刊文春キャンペーン

週刊文春は1999年10月から14週にわたってジャニーズ事務所とジャニー喜多川に関する報道キャンペーン記事を掲載した。 この中で、ジャニー喜多川の破廉恥犯罪行為についても触れられていることから、ジャニーズ事務所とジャニー喜多川は計8本の記事について、文藝春秋を名誉毀損で提訴した。どのような記事であったかは、文春オンライン期間限定無料公開としてここにあり、読むことができる。

2002年3月27日、東京地裁は「少年らの供述は、ジャニー喜多川のセクハラ行為を真実であると証明するのは、なお足りるものではない」とし、文春側が敗訴。文春に事務所と個人に合計880万円の支払を命じた。

二審東京高裁では改めて証人調べをしたわけではない。 一審の記録を全て読み判断し、一審で『真実相当性は認められない』としたが、二審では『セクハラに関する記事の重要な部分について真実であることの証明があった』とした。

地裁と高裁が全く逆の判断となったわけであるが、証言者はすでにジャニーズ事務所からも芸能界からも離れている少年2人で、証言は別の裁判所で非公開の形で行われた。 証言者とジャニー喜多川との間には衝立が立てられ、お互いの姿は見えない。しかし、声は聞こえるので、ジャニー喜多川には証言者の特定は可能であったはず。判決は「セクハラ被害」の真実相当性が認められ、ジャニーズ側から文春に対し計120万円の支払い命令となった(2003年5月15日)。

ジャニーズ側は上告するが、最高裁は2004年、棄却。高裁判決が確定した。

(4) 2000年4月13日衆議院 青少年問題に関する特別委員会

ここにその会議録があるが、ジャニー喜多川の性加害問題は衆議院の特別委員会でも取り上げられていた。

議事録の038から077まで、阪上善秀委員の質問とその答弁を読むと、国会で23年前にここまで取り上げられていたんだと感心してしまう。 社会の状況もあるが、2000年4月国会、2003年5月高裁判決より、BBC報道が世の中への影響が大きいのかと思ってしまう。なお、阪上善秀委員の最初の質問は、次であった。

038 次に、最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。
 報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。
 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます。
  うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。
 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります。
 ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。

 5月15日の報道藤島ジュリー景子社長の謝罪が、私が気づいたこの事件の最初の報道で、何が何だかよく分からなかった。 ジャニーズ事務所やそこに属するタレントに関する知識は少しだけあったが。 陰で多くの人権侵害があり、それを社会は救うことができなかった。 野放し犯罪があった。 そんな教訓なのかなと思う。

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2020年12月20日 (日)

これも変な法律か?

阿部知子氏が12月19日の朝日新聞の私の視点に、生殖補助医療に関する民法特例法(生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律)について書いておられた。

法律の優生思想懸念 過ちを繰り返さない国会に 阿部知子 (会員記事だが、登録すれば読める)

11月20日参議院可決、12月 4日衆議院可決、12月11日に公布された。 公布を行った官報はここ にある。

次の第3条4項は、よく考えると差別を前提とした条文に思えてしまう。

4 生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする。

日弁連も11月12日にこの会長声明 を出し、 生まれた子の出自を知る権利などを含めた、子どもの人権の保障やその他の懸念を表明し、拙速の感も否めないとしていた。

阿部知子氏は法案に賛成した立憲民主党であるが、朝日新聞の私の視点の中で、 反対票を投じたとある。議員立法を主導した 秋野公造氏は公明党の医師。反対した政党は共産党。このブログ で書いた種苗法の改正もそうであるが、何故わけのわからない法律ばかり作るのだろう。国会議員は、是正・修正をする為の研究・検討を行い、修正すべく立法をすべきである。

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2020年7月28日 (火)

ALS患者の嘱託殺人 安楽死

林優里さんというALS患者は、自ら死を選択し、2人の医師に自身のあの世への旅達を依頼した。そこまで意思が明確なら、死後のことについて書いた遺言書を残していた。

日経 7月28日 女性、父親宛てに「遺言書」 京都ALS患者嘱託殺人

この女性が書いていたツイッターが次であり、どのような心境でおられたのか、既に削除してあるツイートもあるのかも知れないが、2018年4月26日以降のツイートがあり、生々しい多くのつぶやきが残っています。

tangoleoさんのツイッター

ブログも書いておられ、次の所にあります。ブログの自己紹介には次の様に書いておられる。
1968年生まれ 2011年にALSを発症 発症後、仕事を辞めて東京から関西に帰郷した。 現在、独居で24時間のヘルパー支援による生活を送っている。
身体は動かない。食べること、話すこともできないが、視線入力のパソコンを使っている。人工呼吸器は装着していない
ツイッターはtangoleo。
海外で安楽死を受けることを望んでいる

ALS患者 タンゴレオの挑戦 ー安楽死を認めて!-

ALSと言ってもその症状や進行状態も様々なのだろうと思う。人生観、哲学、価値観、宗教観は幅広いものである。個人の心の奥底に他の人が入っていくことはできない。人間としての尊厳は貴重である。

これを機会に安楽死の議論が深まることを望みます。許されるのか?許されるとしたら、どのような条件であるべきか?大東亜戦争時には、撤退に際して、傷病兵を殺していくような不幸なことがあったと聞く。安心して、生きていける世界を目指さなくてはなくてはならない。

参考に、安楽死についてスイス・オランダ・ベルギー・ルクセンブルク・カナダの5カ国とアメリカの5州を取り上げて比較しているWebを紹介しておきます。

安楽死をめぐる世界の動き (エピロギ)

 

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2019年2月20日 (水)

柳原病院事件は東京地裁で医師無罪判決

当然と思うのですが、東京地裁で医師を無罪とする判決が出ました。

日経 2月20日 手術後わいせつ、男性医師に無罪判決 東京地裁

追って、判決文が入手できれば、報告します。なお、本事件について、このブログで取り上げた関連の記事は次でした。

2016年8月27日 わいせつ容疑で医師を逮捕とは驚き

2016年12月 1日 柳原病院の医師のわいせつ行為に関する変な裁判

2018年9月10日 柳原病院の医師準強制わいせつ事件9月10日から公判再開

2019年1月 9日 柳原病院事件は2月20日に判決言い渡し予定

無罪で当然と思うのですが、わいせつな行為をしたと言う乳がん手術は2016年5月10日のことでした。わいせつ行為は、満床在室の4人部屋で行われたとして逮捕されたのですから、メチャメチャな事件だと注目していました。

検察は、社会の常識を考えれば、控訴しないと思うのですが。これで控訴したら、医師の方々に対する冒涜であり、医療において重要な役割を果たす医師の方々の真摯な医療に対する取り組み意欲をそぎ、我々の最重要インフラである日本の医療に悪影響を与えることを懸念します。

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2017年1月18日 (水)

健康食品について

健康食品についての「ためになる記事」がありました。

何故ためになるかと言うと、これを読むと健康食品を積極的に摂ろうという気がおこらなくなり、お金を有効に使う事ができる。わざわざ健康食品を選ぶよりも、おいしい食事をすることに頭が行き、楽しくなると思うからです。

健康食品「4つの誤解」 副作用の有無から効き目まで 2016/12/16 日経Gooday

次の事が書いてあります。

1 健康食品の副作用
2 健康食品と医薬品の効能や機能
3 健康食品と医薬品の併用
4 健康食品は副作用被害救済制度と無関係

トクホ、機能性表示 意外に知らない健康食品の注意点 2017/1/10 日経Gooday

こちらは、次のことでした。

1 トクホの摂取目安量
2 機能性表示食品とは
3 GMPマーク

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2015年4月 7日 (火)

誰もが持つ人の権利

誰もが持つ人の権利を考えました。次の記事が朝日新聞4月6日夕刊1面にあったのです。

朝日 4月6日 声なき詩、命の証し 脳性まひの20歳、1200編

記事は20歳の東京都に住む脳性まひの女性が心を動かす詩を書いていることを伝えています。

この記事を読んで、思ったことが出生前診断です。日経の2014年6月27日の記事「新出生前診断 染色体異常、確定者の97%が中絶 」によれば、診断結果で異常がある可能性を知ると人工妊娠中絶をしている人は多いと報道している。

法律上は、どうなっているかと言うと、次の母体保護法2条2項と14条1項です。

第2条2項 この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。

第14条1項 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

胎児が母体外において、生命を保持できない時期とは、指定医師(産科医)が個々の事例について判断され、通常は妊娠22週未満です。妊娠の週数は起算が最終月経開始日なので、受精からカウントするとほぼ20週です。胎児発育曲線から想定すると、22週頃には体重は500グラム近くに育っているのが標準です。こんな比較は、叱られそうですが、猫の誕生時の体重は平均100gだそうで、妊娠22週でも既にある程度の大きさです。

もう一つ大事なのは、母体保護法14条による人工妊娠中絶が許される場合は、限られており、生まれてくる子供に障害の可能性が予想される場合は、想定されていないのです。

法なんて改正すれば、どうにでもなるのであり、法に従えと言ってどうかなる事柄ではない。私の言いたいのは、倫理観や宗教観です。倫理や宗教は人により異なり、他人から強制されることではない。障害のある子をもっておられる人も、出生前診断の結果人工妊娠中絶を選ばれた人も悩んでおられるのが実情と思います。

少し前だと、母体外において生命を保持できない時期ももっと後だった。出生前診断もなかった。そのような頃の倫理観・宗教観を今でも変えずに持ち続けて良いのかということもあります。そして、出生前診断も更に発達します。例えば、超音波エコー診断だって機器が進歩すれば、使って得られる結果もより多くなります。発展することは良いことだと単純に考えられない面があります。実は倫理観・宗教観というのは非常に大事だと思います。医療以外についても、同じように思います。

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2013年1月23日 (水)

やはり事実ではなかったネアンデルタール人の母の募集

SFの様なニュースがあると聞いたのです。

1月22日 秒刊SUNDAY ハーバード大学で『ネアンデルタール人』の代理母となる女性を募集中

秒刊SUNDAYは、面白ニュースサイトとあるが、よく知りません。この元となっているのは、英国のMail Online(Wikiはここ参照)の次のニュースでした。

Mail Online 20 January 2013 Wanted: 'Adventurous woman' to give birth to Neanderthal man - Harvard professor seeks mother for cloned cave baby

これを事実ではないと報道しているのは、次のBoston Herald.comであり、George M. Church教授からの話としてドイツの雑誌の言葉の問題による誤解と伝えている。

Boston Herald.com January 22, 2013 Harvard professore balasts Web rumor - Neanderthal clone story blmaed on poor translation

Church教授は「将来技術的に可能となるのであり、議論は始めねばならない。自分は、ネアンデルタール人の遺伝子研究には携わっていない。」と述べたとBoston Herald.comは伝えている。

私は、1月10日に急増なのか他人の卵子による妊娠・出産を書いたのであるが、紙一重に近い気がする。精子の冷凍保存は可能です。人工授精も可能です。他人の卵子による出産は可能なので、代理母は可能です。精子は液体窒素の中等で冷凍保存すれば、死んだ後も生き続ける。SFが現実には可能となっている。親子関係と血縁関係は別モノで、何でもありでしょうか?

ネアンデルタール人の母の募集は誤報であったが、似たような話が将来ある可能性は、何時の日か不確かであるが、高いと思える。一方、現実には、他人の卵子で妊娠・出産したいとする人はいる。聖マリアンナ医大は、精子冷凍保存をしているが、非配偶者間人工授精は実施しないとしている。

宗教観や倫理観の重要性を感じます。

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2013年1月10日 (木)

急増なのか他人の卵子による妊娠・出産

よく分かりませんが、NHKは、女性が海外で他人の卵子で妊娠することが急増していると伝えている。

NHK News 1月10日 海外で卵子提供を受ける女性急増

旧来の常識を覆す部分があるが、人工授精が行われるようになった時点で、あったとしても当然の話でした。体外受精で受精した卵子を戻すのは、他人の卵子や夫以外の精子で受精した卵子でも可能であり、出産できることに何の違いもないはず。NHKニュースは、「確認できただけでおととしは63人と、その4年前の3倍に急増していることが分かりました。」とあり、増加していると判断してもよいのでしょう。

日本の民法には、父による認知はあるが、母による認知はない。何故なら、母は出産時に確定しているからである。

この概念をどうするかだけでも夜眠れなくなったりするかも知れない。親子の愛情とは、何であるのか、母親(父親)は、遺伝的につながりのない子どもに、どう接することができるのか、・・・難しい問題を含んでいる。むしろ養子の方が、スッキリするように思う。養子であれば、それを打ち明けて、解決できることもあるように思う。

自然界では、絶対に起こらないことを人為的に起こすことの恐ろしさがあると思う。神の領域に人が手を出すことになるのかとも思う。しかし、医療を含め人間の活動とは、そのようなことを含むとも言える気がする。

言えることは、中途半端な気持ちでやってはならないと思うことである。血液検査や超音波検査で妊娠初期の中絶可能な時期に、生まれてくる子の障害の有無をある程度の高い確率で判明できるようになっている。最初の段階で検査を受けるかどうかがあるが、障害が予想される、あるいは生まれてきても短時間の内に亡くなることが予想される場合に、自分はこの子の生涯を左右できるような力を持っていない。私は、母親として、例え障害が重くても、命が短くても、可能な限り育てたいとする人もおられると聞く。

法律の問題ではなく、個人の愛の問題、愛の試練という側面が強いように感じます。

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2011年6月 4日 (土)

訳が分からない-お茶の放射性物質出荷制限

現在の内閣とはバカばかりと思っていますが、本当に理解不可能なことばかりです。そんな中、お茶の出荷制限とは、浜岡原発停止と同じ構造なのだろうと思います。

毎日 6月2日 福島第1原発:茨城などの茶、出荷停止に

政府は2日、食品衛生法の暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたとして、茨城県全域と神奈川、千葉、栃木県の一部地域で生産する茶の出荷停止を各県に指示した。」とあり、この政府の指示とは、6月2日午後 官房長官記者発表である。「生葉のみならず、荒茶及び製茶についても適用する」と言っている。しかし、その根拠は発表されていない。

見事な独裁政権です。

1) 根拠のない規制はすべきでない

人体の安全性と言えども、根拠のない規制は、独裁政権、ファシズム政権がすることである。現内閣が、そうなので仕方ないと言えるが、もし日本が民主主義の国であるなら、一刻も早く政権を倒さねばならない。

ここに、食品安全委員会の「東北地方太平洋沖地震の原子力発電所への影響と食品の安全性について(第50報)-6月2日更新-」があり、「食品衛生法に基づく飲食物に関する暫定規制値」の記載もある。お茶はないので、野菜としてあてはめると、放射性ヨウ素2000Bq/kgあるいは放射性セシウム500Bq/kgです。しかし、乾燥野菜をこの数字で運用するのは、根拠なしのバカのはず。

食品安全委員会の第50報の中に放射性セシウムの被爆量についての参考計算がある。

500Bqの放射性セシウム137が検出された飲食物を1kg食べた場合の人体への影響は、500×1.3×10^-5(※)=0.0065mSvとなります。

”1.3×10^-5”は、内部被ばくに関する実効線量係数であり、セシウムについての、ICRP Publ.72に勧告された成人の一般公衆が経口または吸入摂取した場合の実効線量係数は、次の表の通りです。数字が10^3小さくなっているのは、mSVとSVの違いです。

核種半減期経口摂取(Sv/Bq)吸入摂取(Sv/Bq)
Cs-134 2.06年 1.9×10-8 2.0×10-8
Cs-136 13.1日 3.0×10-9 2.8×10-9
Cs-137 30.0年 1.3×10-8 3.9×10-8

年間1mSV以内に押さえようとすると、年間150kg以内の摂取にしておけばよいのです。

即ち、500Bq/kg自体、相当な安全性を見込んでおり、しかも大量に食べる野菜を念頭にしているのであり、お茶を同じ基準であてはめてよいのか、まず疑問がある。

ここに、本年3月に食品の暫定基準を決めた食品安全委員会の「放射性物質に関する緊急とりまとめ」がある。そこに、飲食物摂取制限措置を実施する際の回避線量の基準として対策が常に必要とされる線量レベルが50mSV/年となっており、これ以下では対策が正当化されない線量レベルが5mSV/年となっている。

5mSV/年から野菜類に対する放射性セシウム500Bq/kgが導き出されている。となると、年間770kgとなり、体重の10倍以上の野菜を食べるので、別の障害が出そうである。

2) 荒茶と飲用茶

乾燥すれば、水分が飛び、重量当たりの数字は大きくなる。一方、お茶として飲む場合には、お茶がらは捨てて、お湯に溶けた物を摂取する。冒頭に掲げた毎日の記事には、「生葉で1キロあたり500ベクレルの場合、乾燥させた荒茶は重量が約5分の1になり、相対的に1キロあたりの濃度は5倍の2500ベクレルに上がるが、湯で抽出した飲用茶では数十ベクレルにまで減る。」となっている。

いよいよバカさ加減が板についている。毎日の記事に、「一部の荒茶が抹茶アイスなどの加工食品に使用されている」とあり、これを理由に荒茶で規制すると言うが、大臣とは抹茶アイスを食べたこともない浮き世の人であるようだ。1日、何個抹茶アイスを食べて、その中に荒茶が幾ら含まれるか、アホは計算すらできない。

3) 悪影響

政治が悪いと国民は不幸になる。日経メディカルオンラインに次の記事があった。

2011. 5. 17 チェルノブイリの健康被害、最も深刻なのは精神面への影響 エビデンスありは小児の甲状腺癌のみ Lancet Oncology誌から

2011. 4. 6 「放射性セシウム汚染で疾患は増えない」 チェルノブイリ事故調査結果を基に長崎大の山下俊一教授が明言

どうでしょうか?根拠なく政府が不安をかき立てることは、許されざるべきことです。国民を鬱に陥れ、経済を破壊し、国民の生活を苦しめることになりかねない。根拠を示し、国民と考えならがら対策を立てるのが政府です。従い、私は、独裁政権と現政権を呼ぶ。

放射性セシウムについては、分からないことが多いが、チェルノブイリ事故でも、放射性セシウムによる疾患増のエビデンスが掴めていない。調査研究をしている研究者や専門家の人の言うことにも、耳を傾ける必要があると思います。

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