幻の博物館が存在したことを、伊藤乾氏が書いておられるNikkei BP4月6日のなぜ日本はテポドンで右往左往するのか? 技術に定見を欠く人材育成がもたらしたものを読んで知りました。
博物館は、実現していなので、「博物館構想」と書くべきかも知れません。しかし、収蔵品として、金属加工機械類が約650点、鋳造関係が文書資料約2万点と機器類が約400点、繊維工業機械類31点、火力発電機器類27点、工作機械類8点、理化学関係が文書約1000点と機器類約100点、製茶機器類8点、その他約40点も存在したのです。(1997年の数字ですが、多分増減はないと思います。)
次の共同47ニュースにある、「頓挫」が言葉として、適切かも知れませんが、1980年代から蓄積されてきたのですから、今更頓挫でもないように思います。
共同通信 3月13日 万博公園の保管資料2万点廃棄へ 産業博物館頓挫で
この産経ニュース 1月21日 40年前の興奮再現 万博公園の「鉄鋼館」を改修の記事が述べている鉄鋼館に収蔵品が置いてあったことから、撤去を求められ、幻の博物館は空中分解してしまったと言うことです。
産業技術史博物館については、凡才中村教授の憂鬱のこのブログや桃山学院大学総合研究所発行の『大阪の産業記念物』2005年3月号の3~8ページにその経緯等が書かれています。1980年代から収蔵物が蓄積され、大部分は、関西の多くの個人や企業の善意で寄贈された物ということです。
文化・産業・生活といったものは、切り離すことのできないものです。海外で博物館に行くことがありますが、どこも歴史を保存しようとしていると感じます。日本の博物館では、模型があったり。でも、模型ではない実際に使われ、働いていた本物が展示されているから、価値がある。
博物館は、国立との構想であったので、文科省に設立を働きかけていたのでしょうが、現実に収蔵品が存在するのであり、それを管理していた法人が存在するはずです。それが、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、日本産業技術史学会で作る「国立産業技術史博物館」誘致促進協議会であり、3月6日に会合を開いて資料の「廃棄処分」を決定したようです。大阪府の予算を見ると、この書類の施策ID053に平成19年度の予算額人件費として198万円の記載があります。但し、負担額はゼロとなっています。鉄鋼館の改修にしても、1月21日に急に決定したのではないはずです。大阪府の担当府庁幹部・職員(知事もしかるべき時期からは)は、知っていたと思います。
税金は何のために使うべきであるか?
一方で、このエントリー「幻の産業技術史博物館」を書くにあたり、調べていて、嬉しくなることもあります。
エル・ライブラリー 大阪産業労働資料館がこの緊急のお願い。図書運搬ボランティア募集! 本を救え!大作戦のように図書の搬出ボランティア呼びかけ、図書については、エル・ライブラリー 大阪産業労働資料館がとりあえずは、救出したようです。
それ以外にも、救えた収蔵品はあったようですが、やはり、時事通信 3月23日 産業資料2万点余を廃棄へ=博物館建設構想の頓挫で-大阪に、スクラップとして搬出される収蔵品の写真もありますが、大半は救えなかったのでしょうね。
貴重な財産の処分を3月6日に決定して、3月23日に実行する。文化がないというより、一方的な価値観を押しつけるFascismと感じてしまうのです。
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