2024年12月 9日 (月)

韓国非常戒厳の宣言、解除、大統領弾劾・訴追案の不成立、廃案

韓国では、12月3日夜に尹大統領が非常戒厳を宣言し、翌日午前4時半に会見して非常戒厳の解除を発表した。 この非常戒厳宣言が憲法違反だとして、野党6党が共同提出したのが大統領の弾劾訴追案であり、訴追案は195票の賛成で、必要な3分の2以上の200票に至らなかった。 終わったわけではないが、めまぐるしい動きであった。

1) 大統領と国会

韓国は大統領制の国であり、大統領は国家元首であり行政府の長である。 大統領は、憲法第77条により戒厳を宣言することができるとされている。 立法権は国会に属する。 本年4月10日に国会議員選挙があり、尹大統領の「国民の力・国民の未来」が獲得した議席は全300議席のうち108議席にとどまり、「共に民主党・共に民主連合」が全300議席の過半数を超える175議席を獲得した。

2) 今後の韓国政治

行政府と立法府で与野党逆転現象が4月から続いているわけだが、今後どう推移していくか、見ていきたいと思う。 日本に最も地理的に近い距離にある国であり、共に発展していくのが、望ましいことと考えるのである。

外国からの投資額がどれくらいあるかを示す指標として対内直接投資残高がある。 次の図は、アジア主要国の対内直接投資残高である。

Fdiasia202412a

アジアでは、中国への外国からの投資残高が3,569十億ドルで最も大きいのであるが、上図では中国は省略した。 上図で金額が大きいインドとシンガポールを除いた5カ国における外国からの投資残高を図にしたのが次である。
Fdiasia202412b

外国から日本への投資残高は、それほど変化していないが、韓国は順調に増加しており、2021年には日本より大きくなった。 2023年の数値はIMF統計になかったが、UNCTAD(国連貿易開発会議)の報告書によれば、2023年の日本への投資残高は2,468億米ドルであり上図の2022年とほとんど変化はない。 一方、韓国への投資残高は2,841億米ドルであり、日本の1.15倍である。

外国から投資がなされると言うことは、国が投資価値を持っており、政治的・経済的に信頼度もあると言うことにつながっている。 韓国が今回の一時的非常戒厳の事態が外国投資家からの信頼を失うことになるのか、克服して更に高い信頼を得るのか、今後を注目していきたいと思う。

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2024年11月19日 (火)

103万円の壁を考える

所得税の103万円の壁をなくすという変な議論がある。

1) 103万円の壁とは

1-1) 基礎控除48万円

所得税には、基礎控除という概念がある。 基礎控除の金額は、48万円であり、経費を差し引いた後の所得金額が年間48万円以下であるならば、申告納税する必要はない。 従い、所得金額が50万円の場合はとなると、(50万円-48万円=)2万円X5%=1千円が所得税の額となる。 復興税を無視しています。

1-2) 103万円とは

他者(他人であれ会社や法人、役所であれ)から給与の支払いを受けて、働いている場合には、給与所得の扱いとなり、給与所得控除が適用される。 給与所得控除は年間給与額が162.5万円以下なら、55万円である。 年間給与額55万円なら給与所得額ゼロとなる。 100万円なら45万円となるが、50万円の基礎控除があるので、所得金額としてはゼロである。 103万円なら給与所得控除55万円を差し引いて48万円となるが、これから基礎控除が差し引かれるとゼロになる。

1-3) 給与所得110万円の場合

55万円と48万円が差し引かれるので、所得金額7万円となる。 これに所得税率5%で計算して3500円が所得税となる。 すなわち、計算は180万円までは、(給与所得総額-103万円)X税率5%であり、壁のように立ちはだかるわけではない。 103万円を超えた分について5%の税率で所得税がかかるのである。

給与所得総額358万円までは税率5%であり、103万円の位置に大きな壁があるわけではなく、給与所得控除も給与が増加するにつれ大きくなり、358万円の場合は給与所得控除額は115.4万円である。 これに、基礎控除48万円が加わると控除額は合計163.4万円となり、給与総額358万円から163.4万円を差し引いた194.6万円に所得税率5%を掛けた94,500円が所得税額である。

2) 過去の基礎控除と給与所得控除

1975年以後の基礎控除と給与所得控除の額の推移を描いてみた。 図1がそれである。

202411

50年前と比べてどうか? 1975年の消費者物価指数は53.1であり2023年は105.6であり、1.99倍になっている。 しかし、10年前、20年前の2013年や2008年と比べると、消費者物価指数はそれぞれ8.3%と10.6%増加している。 しかし、図1を見て私が思うのは、デフレの日本経済という判断である。1995年からの10年間でマイナス0.4%、2005年からの10年間でマイナス0.6%、2013年からの10年間でプラス11.2%である。 しかし、この10年間で11.2%とは、年率にすると1%である。

年率1%の是正のために基礎控除や給与所得控除の見直しが必要とは思えないのである。 そんなことをするなら、通常の所得税を2.1%多く徴収する復興特別所得税を廃止すべきである。 2014年の改正で導入された税制であるが、法人については2年間で終了した。 個人については2037年までなので、まだ14年間継続する。 金額が細かく源泉徴収事務等をされている方の事務作業も大変である。 税制は合理的であるべき。

3) 103万円に壁がある人

給与収入が103万円を越えると負担が増加する人も存在する。 それは、19歳、20歳、21歳または22歳の子どもを持ち、その子どもを扶養している場合である。 特定扶養親族となり、所得控除としての扶養控除が一人につき63万円受けられ、税率10%なら6.3万円低くなる。 

なお、18才以下の子どもの扶養に関しては、2020年から扶養控除は見直し・廃止された。 理由は、子ども・児童手当毎月一人1万円・・や高校授業料無償化の拡大であり。 所得税や住民税の調整ではなく、必要な人に妥当・合理的な金額を政府・自治体が支給するという方法は間違っていないと考える。

特定扶養親族に対する扶養控除も廃止をし、大学・専門学校・職業学校・各種学校を含め高校卒業後に専門分野・技能・能力開発等を目差す若者を支援する制度をつくるべきと考える。

4) 130万円の壁は3号被保険者制度廃止での対応を求める

3号被保険者であり続けたいと思っておられる女性は、どれほどおられるのだろうか。 働けるなら、働きたいと思っておられる方が大部分であると思うのである。 女性の年金問題としてこのBlogを書いたので、今回は余り触れないが、3号被保険者制度廃止により女性は何も損をしないのである。

制度は複雑になれば、制度の網を破って抜け駆けをしようとする人が出てくる。 というか、複雑な制度になってしまうと、トリックのように抜け穴ができたり、作られたりする。 悪い奴らに騙されてはいけない。

5) バカな税である法人事業税の都道府県民税の外形標準課税は早急に廃止を求める

実にバカで不合理な税である法人事業税の外形標準課税である。 日本は、共産主義・全体主義でないはず。 法人には、利益に見合った税を課すべきである。 こんなバカげた税が日本をダメにしている。

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2024年11月13日 (水)

これって超悪徳業者なのか犯罪に近いのか

ゴルフ場運営会社が令和3年4月23日に町からゴルフ場用地を9500万円で取得し、同日4億円で売却したそうな。
土地を売却したのは宮城県加美町で、そのゴルフ場用地はカナディアン・ソーラーという中国系の太陽光発電会社が発電事業を予定しているようです。

ここに加美町が所有権確認等を求める訴訟を提起したときのお知らせがあります。

目に付いた、報道等を列強すると、

読売新聞 2024/7/10

朝日新聞 2024/11/12

ALBANET 2024/9/26

ここに2022年5月付の環境影響評価審査書があり、事業者が選定した環境影響評価項目の妥当性について審査した結果は、概ね妥当であるとの結論になっている。

開発とはその地元の方の意向が優先されるべきと考えます。 ゴルフ場の場所は次である。

 

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2024年11月 8日 (金)

IMF10月発表の世界経済見通しから見る日本の現状

IMF(International Monetary Fund)が2024年10月号としての世界経済見通し(World Economic Outlook)を発表した。 このページからDownloadすることができます。 私が図表を作成して分析を行った結果を以下に述べます。

1) 日本の2024年GDP世界第4位

日本のGDPは1970年頃に英国と同水準となり、世界第2位となった。 以後約40年間は、米国に次いで世界第2位のGDPであったが、2010年には中国が第2位となった。

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昨年の2024年では、第1位と第2位の米国と中国の順位は変わらないが、第3位がドイツとなり、さらに2026年にはインドが第4位となり、日本は第5位。2026年以後は、インドが第4位になり、日本は第5位となる見通しである。 更に、IMF経済見通しは2028年には米国、中国、インド、ドイツ、日本の順になると予想している。

2) 一人あたりGDPでの日本の順位

重要なのは、一人あたりのGDP、すなわち一人あたりの付加価値額です。 その国で生み出した付加価値の総和を人口で割り算した付加価値額です。 2000年において、日本は39,172ドルであり、第1位のルクセンブルグ48,984に次いで2位であったのです。 2000年の米国の一人あたりGDPは第5位で36,312ドルであったのです。

2023年と2029年の一人あたりGDPの予想額と順位は表1の通りです。

Weo202410b

農業、漁業を含めあらゆる産業で付加価値を増加する取り組みを怠った結果が出ているのではと思います。 働き手が高齢化した農業において、改革はしていない。 外国人労働者を技能実習生と称して受け入れるが、それ以上の改革はしない。 コストカットと言う下請けいじめで生き残りをかける企業が存在する。 貨物トラックドライバーの時間外労働規制の物流2024問題だって、10年以上前から取り組まれているべきであった。 色々な点について、関係者は解決の尽力をしていたと思うが、努力だけで実質的には実を結ばなかった。

上位14国に日本を追加した2000年以後の一人あたりGDPの図を掲げておきます。 日本のみ増加が認められないという様子です。

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比較対象注目国として、米国、ドイツ、英国、フランス、韓国、台湾、中国とインドとし、これらの国の一人あたりGDPの推移を図3として比べてみました。

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図3を眺めると、日本は2012年以後悲惨な状態に思えます。 詳しい分析が必要ですが、2012年以後は日本経済は暗いトンネルの中状態であったように思います。

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2024年11月 6日 (水)

ボーイングのスト終結

10月25日のブログ で書いたボーイングのストが遂に終結しました。 Bloombergの日本語でのニュースはここにあります。

CNNのニュース(”Boeing workers vote to accept deal, end strike”)はここにあります。 賛成率59%。 9月13日からの2月近く続いたストライキは了した。

1) 勝ち得た昇給額

当初1年目13%、2年目9%、3年目9%、4年目7%、5年目7%なので、私の複利計算では、4年目7%の昇給により今回の昇給前の給与の43.6%増となり、最終の5年目に入ると53.7%増になると考えます。

2) 年金合意

賃金アップに加えてボーイングは従業員に対し一人12,000ドル(180万円)の解決一時金を支払うことに合意した。 この12,000ドルは各従業員に支払われるが401(k)年金基金への拠出であり、 確定給付型年金の適用は消滅することが条件となっている。

以上が、私が把握したボーイング労働争議に関する概要ですが、ストライキにより労働者側が受給できない賃金は6億ドル(一人平均18千ドル:270万円)である。一方、ボーイング側の損失は65億ドル(1兆円)程になるのでしょうか?

このボーイング労働争議が、労働市場、航空産業、米国産業、世界情勢等今後の経済に与える影響はあるものと確信します。 日本の労働市場や企業経営については、どうでしょうか? もし何の影響もないとすれば、世界から取り残された日本であり、その責任は産業側、経営側、労働者側にあるものと考えます。 労働争議がないことは、良いことだなんて思わないことです。

かつて、ソビエト社会主義連邦共和国という国がありました。 その国のある人が述べたことです。 

「我が国には、労働争議と言うものは存在しない。 労働者が作り上げた労働者の国が我が国である。」

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2024年11月 4日 (月)

女性の年金問題

NHKが「私の年金足りますか? 女性の“老後リスク”にどう備える」というのをクローズアップ現代で放映していました(この番組 )。

NHKは、受け取る年金の月額平均が男性14万1,000円、女性9万8,000円と述べているが、この機会に考えてみます。

厚生年金保険とは、厚生年金保険法により政府が管掌する年金保険制度であり、法人の事業所又は事務所で働く人あるいは国、地方公共団体で働く人はすべて厚生年金保険の被保険者であります。 NHKの番組で述べている年金とは、厚生年金保険の老齢年金のことであります。 なお、個人事業主は厚生年金保険の被保険者に該当しないことから、国民年金法の国民年金被保険者となります。

厚生年金の保険料は、給与収入に対して一定の保険料率(現在は18.3%であり、事業主と折半なので被保険者負担は9.15%)を掛けた金額です。 このことから、厚生年金に関する統計により、加入者の給与水準を推定することができます。 図1は、男性加入者の給与水準毎の加入者数です。

Pension202410a_20241031235501

グラフの右が跳ね上がっているのは、上限額が650千円であり、上限額を越えた場合は一括して650千円となっているからです。 650千円以上は人数ベースでは9.1%です。 なお、2019年以前は620千円が最高額でありました。 一般男子としているのは、船員のカテゴリー(全体の0.1%)を含んでいないことからです。 

次の図2が女子の場合です。

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男と女とでは、カーブが随分違っているのです。 なお、2008年頃と比較すると、女性の働く人の人数は増加しています。 2008年では、女性の厚生年金被保険者合計数は12百万人であったが、2022年では16.5百万人へと40%近く増加している。 2022年についての男と女の月額報酬毎の被保険者数を比較したのが次の図3です。

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厚生年金保険・国民年金事業統計からすると、女性の場合は月給22万円で働く人が一番多い。 男の場合は、月給30万円が一番多い。 厚生年金保険・国民年金事業統計を使っての計算であることから、月給65万円以上の人は65万円での計算になるが、男の2022年の平均月給は365千円であり、女は255千円となる。

女性の賃金は男性より低いと、厚生年金保険・国民年金事業統計から言えるのであるが、過去と比べて格差の解消に向かっているのかを見たのが次の図4です。

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縮小傾向ではあるが、2008年の0.647から2022年の0.700まで14年で5.3%の縮小であり、年間では0.3%-0.4%の縮小でしかない。 女性が活躍しておらず発展の阻害となっていると考えるより、女性の活躍を阻害していることから、日本が低迷状態にあると考えるべきであろうと私は思う。労働市場における低賃金の有能な労働者の存在は、労働市場全体の価格水準を下げることにつながり、正常な労働市場(マーケット)の形成は資本主義、市場経済主義における発展において重要と考える。

図3の元データから男の平均月給が365千円で、女の平均月給は255千円と計算でき、これに年間ボーナスを3.5月とすると、年間給与額15.5月となります。 この結果を、次の式で65歳まで働き、65歳以後に受給する年金額(年額)を計算しました。 計算した結果は、年間年金受給額が男210万円、女170万円でした。

なお、計算は次の式で行いました。 式の第1項は老齢基礎年金このページ(老齢基礎年金)であり、第2項は報酬比例部分このページ(報酬比例部分)です。

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22歳から働き始め、65歳まで働き、給与水準は43年間一定と仮定しています。 20歳、21歳の時は、働いていなくても国民年金の加入義務があるが、これについては無視しています。 計算式で分かるように、年金に男女差はないのです。 給与水準に差があり、その結果が報酬比例部分の年金受取額に差が出ているのです。

なお、NHKが述べている、受け取る年金の月額平均額男性14万1,000円((年額万169円)、女性9万8,000円(年額118万円)は、私の計算結果の80%(男)と70%(女)の年金額になっています。 理由は、NHKの年金額は「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)このページ」の年金額の将来見通し (令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計)からの数字です。

所得代替率と称して年金受取額が給与額の何パーセントになっているかを見る指標があります。 年間年金受給額が男210万円、女170万円について計算するとボーナスまで含めた場合は男37%、女43%であり、月給のみでの場合は男48%、女55%です。 将来の公的年金の財政見通し(財政検証)を見ると、2024年度61.2%と書いてあります。 厚生労働省の大粉飾決算は、どのようにして実施したかを見ると、専業主婦世帯で専業主婦は無収入で年金保険料は支払わないが、式の第1項の老齢基礎年金は受給するとしている。 分子は大きくし、分母は小さくし、所得代替率の計算ではこれがモデルケースと宣伝する。

3号被保険者に該当する専業主婦モデルの人が、どれだけ存在するかを見たのが次の図5です。 

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フリーランスは国民年金の被保険者であり、毎月16,980円を支払う必要があります。 配偶者に3号の適用はなく、同様に16,980円を支払わねばならない。 3号被保険者になれば、保険料を納付せずして、老齢基礎年金を受給できる。 何故なら、他の人が負担するからです。

私は、3号被保険者制度は、女性の働き方を制限し、足を引っ張り、賃金を安く抑える働きをしていると考えています。 どのような職業、どのような職種、どのような働き方を選択しようと個人の自由であり、且つどのような選択をしようとも同じベネフィットを享受でき、義務も公平であるべきです。 図3のグラフに関連して、男女の賃金格差について述べました。 男女格差の一因が3号被保険者制度にあると私は思うのであり、3号被保険者制度の撤廃を求めます。 サラリーマン世帯の主婦も国民年金に加入すれば良いのです。 フリーランスとして働いても良い。 自分の得意とする分野や芸術・研究分野等も含め、様々な働き方を求めていけば良いと考えます。 女性の年金問題を解消することにつながると思います。

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2024年10月27日 (日)

政府財政の立て直しに向かっていって欲しい

衆議院選挙の後に期待したいこと。 それは、政府財政の立て直しである。

1) 令和6年度歳出予算(省別)

令和6年の歳出予算を省毎の金額にすると次表の通りである。

Budgetr6a

総額は、112兆5717億円であり、GDPを615兆円と想定すると対GDP18.3%である。 112兆円のなかで、金額が大きいのは厚生労働省33.8兆円、財務省30.2兆円と総務省の18.2兆円がいずれも10兆円を越える歳出予算である。 ちなみに、この3省に続くのは、防衛省7.9兆円、国土交通省6.1兆円となる。

2) 3省合計73%(82兆3千億円)の歳出は何であるか

3つの巨額の歳出がある省の予算の中で金額が大きい歳出を抜き出してみる。 厚生労働省については、次の表である。

Budgetr6b

医療保険の関係が8.7兆円、介護関係が2.5兆円、生活保護が2.7兆円、障害者関係が1.6兆円、基礎年金が12.7兆円である。 医業・介護での11.2兆円も基礎年金の12.7兆円の国庫負担も双方とも重要である。

総務省の18兆3814億円のうち16兆6543億円は地方交付税交付金の歳出予算である。 地方交付税は、規準財政収入額が基準財政需要額に満たない地方自治体(と言ってもほとんどであり、例外は東京都他の金持ち自治体)に対する地方交付税の予算である。 これも現在の地方自治制度に関係し、現状を変更することは容易ではない。

財務省の30兆2777億円のうち27兆90億円は、国債費であり、17兆2957億円が債務償還費、9兆6910億円が利子・割引料で、その他は224億円である。 なお、財務省の30兆2777億円には、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費として1兆円、そして予備費1兆円の合計2兆円が入っている。

3) 国債残高

令和5年度末(2024年3月末)の普通国債残高は1068兆円の見込みである。 そして令和6年度末(2025年3月末)の見込みは1105.4兆円と財務省は発表している。 37.4兆円残高が増加する訳だが、国債残高を維持するためには、総額112兆5717億の歳出を37.4兆円減額し、75.2兆円にする必要がある。 3省合計で82兆3千億円なので、75.2兆円にはできない。 但し、歳入を増やせば可能であり7兆円の増税をすればとなるが、現状の政府歳出を維持するなら37.4兆円の増税が必要となる。

なお、令和5年度末(2024年3月末)および令和6年度末(2025年3月末)の国債残高のGDP比は178.8%と179.6%である。

4) 医療費と年金

令和4年度(2022年度)の医療費は46兆6967億円(保険対象外医療や差額ベッド料等は除く)であった。 そして、支給された公的年金(厚生年金、国民年金、公務員共済等)の合計は53兆3986億円である。 

次の図は、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測(出生中位・死亡中位)から作成した人口分布予測図である。 高齢化は、ますます進むのである。

Budgetr6c

75歳まで働いて、75歳から年金生活というのが、間もなくやってくるような気がする。 いずれにせよ、そのような時代に幸せに生きることができる体制をつくらねばならない。 現状では望めず。 財政基盤がしっかりした政府をつくらねばならない。 選挙が終わったので、増税と国債残高の減少を目差し、あかるい未来を切り開いて行って欲しい。

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2024年10月26日 (土)

あやしい医療は避けるべし

次のニュースです。

読売 10月25日 再生医療を受けた2人が重い感染症で入院…厚労省が医療一時停止求める緊急命令、細胞加工物からは微生物

厚生労働省の発表は、次の所(pdfファイル)にあります。

再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について

この医療法人輝鳳会のホームページはここにあり、「医療法人輝鳳会では、患者様の状況に合せた治療を実施しております」と書いてあります。 このページには、1クール(6回)264万円とか、色々書いてあります。 この輝鳳会は、NK療法(免疫細胞療法)を行っていると言っており、私なんか、そもそもNK細胞なんてよく分かりませんが、エクソーム治療であろうと思っています。

エクソーム治療に関しては、次の京都大学iPS細胞研究所の10月25日のニュースを紹介しておきます。

エクソソーム治療に関する規制整備の必要性を指摘した論文が発表されました

次の様な記述もあります。

・ 日本では特に、未だ確立された科学的エビデンスがないにもかかわらず、エクソソーム等は治療として既に提供されており、有害事象が生じても、適切な追跡ができない状況にあります。
・ 日本では科学的エビデンスが確立されていない治療であっても医師の判断で提供することができます。
・ 科学的エビデンスの確立されていない治療が患者さんに高額で提供されている問題について研究を深め、一般の方々にもこの問題を正しく理解していただけるよう、研究活動と情報発信に努めたいと考えています。

 

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2024年10月25日 (金)

ボーイングのストに思う

昨日24日の日経は「ボーイング労組、35%賃上げ案を否決 スト継続へ」と伝えています。

ボーイング労組、35%賃上げ案を否決 スト継続へ

米国の労働関係に関する知識については、それほど持っていないのですが、思うところを少し書いてみます。

1) 労働組合

報道では「ボーイング労組」との名前になっているが、正式には「International Association of Machinists and Aerospace Workers(IAM))」(ホームページはここ )です。 組合員数は退職者会員を含め60万人。 ボーイング以外にロッキード・マーチンやハーレー・ダビッドソンで働いている会員労働者も存在する。 なお、ボーイングで働く組合員は33,000人。

2) 賃上げ35%拒否の理由

まずは、35%賃上げとは、日経の記事本文にあるが、4年間で35%の賃上です。 組合の要求は40%であるので、差は5%。 年率に換算すると、それぞれ7.8%と8.8%です。

現在の米国消費者物価指数の1年前から上昇率は2.3%であり、3年前からの上昇率では年率4.4%、5年前からだと年率4.1%となります。

35%賃上げでも良いではないかと思えるのですが、話は簡単ではないはず。 ボーイングの業績は2019年以後5年間連続の赤字続きであり、2023年は22.2億ドルの純損失でした。 世界的な航空機メーカーであり国防・宇宙関係も手がけているボーイングであり、存続することに疑問の余地はない。 しかし、不採算部門の売却・切り離し、あるいは米国だったら実施可能である人員整理は十分に考えられると思う。 なお、ボーイング・ワシントン州工場での雇用人数は2020年以降減少していない。 しかし、労使双方の予想・見解・もくろみからすれば、大変なしのぎあいがあると思う。

3) 確定拠出年金401K

これは、ボーイングの401(k)に関するチラシであり、ボーイングは確定拠出年金に年間4160ドル(60万円強)を拠出するとしている。 組合の主張は、401(k)から約10年前まで存続していた年金制度も選択適用可能にすることも含まれているようです。 401(k)は万能ではなく、労働者に不利になる場合も、当然存在すると考えます。

4) 雑感

日本では、ストライキという言葉をTV、新聞、その他マスコミで最近はほとんどお目にかかっていない。 ボーイング・ワシントン州工場を一つの企業だとするなら労働者33,000人の企業ですから、大企業のストライキ。 赤字続きで様々な問題あり。 労働者が賃上げを求め、権利を守ろうとストを実行し、既に1月と10日余り経過している。 

日本でも、このようなストライキがあっても良いと思う。 ストライキ(同盟罷業)を遠慮してしまう日本の風土を感じてしまうのである。 力と力がぶつかって、しのぎあって、発展していく。 それが正常であり、発展の原動力であると、その重要性を感じる。

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2024年10月 9日 (水)

金銭面からの分析で見る日本の原子力発電

2011年3月の福島事故から13年以上を経過したが、日本の原子力発電の現状について、冷静に分析しておくことが重要と考えました。 分析と言っても、巨大な対象であり、金銭面を主体として分析を試みます。

1) 日本の原子力発電所

日本において原子力発電所を保有している会社は次の表1に記載の10社です。 そのうち、稼働状態にあり、現在発電を行っているの3社で6カ所の発電所です。(本ブログの表はクリックで別ページ拡大表示)

Nuclear20249a

原子力による発電が、日本において占める割合を現したのが表2です。

Nuclear20249b

表2の発電量は、発電機が発電した電力の量ではなく、発電所が送電した電力量としています。 揚水発電は水力に含めています。 また、自家発電による発電については、発電して自家消費した電力量と外部送電・供給した電力量の双方を含んでいます。 表2の電源構成割合を2015年以後について示す日本の電源構成の割合の推移グラフを作成しました。

Nuclear20249c

再生可能エネルギーは、風力、太陽光、地熱、バイオマス、廃棄物による発電としました。 2023年度の再生可能エネルギーによる発電量は200,562,466MWhであり、原子力発電80,283,706MWhの2.5倍でした。

2) 保有会社の原発に関するコスト

表3が、表1に掲げた原発保有会社の原子力発電の発電費(発電原価)です。 上側の表3Aが直近の2023年4月から2024年3月までの1年間で、下側の表3Bは、その1年前の2022年4月から2023年3月までの1年間です。 これら発電費は、各社の有価証券報告書(日本原子力発電は会社概況書)からです。

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様々なことが言えるが、幾つかについて以下に記述します。

2-1) 運転(発電)していなくても、高い維持費・固定費

上の表1の通り、日本全体で稼働している原発は3分の1。 運転・稼働している3社の原子力発電費合計は2023年度8195億円で、2022年度は6590億円である。 これを表1の発電量で割り算して発電コスト単価を計算すると、2023年度関西電力10.04円/kWh、四国電力13.39円/kWh、九州電力9.79円/kWhとなり、2022年度はそれぞれ12.65円/kWh円、10.15/kWh、12.61円/kWhとなる。

発電していなかった7社の原子力発電費の合計は2023年度1兆1270億円、2022年度8204億円である。 10社を合計して、日本全体で1社の原子力発電会社であると仮定して、その費用合計を発電電力合計で割り算して発電コストを計算すると2023年度24.2円/kWh、2022年度27.6円/kWhとなる。

なお、10社合計で2023年度の発電コストが2022年より高いのは、東京電力の原賠・廃炉等支援機構特別負担金2300億円(福島原発の賠償費関係)の影響が大きい。 このことについては、「3) 原賠・廃炉等支援機構負担金(福島事故の賠償支援) 」で更に記述する。

2-2) 原発の安い燃料費

原発とは、ウラン235やプルトニウム239が核分裂する際に発生するエネルギー(熱)を利用し、蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動させ、発電する。 燃料棒と呼ばれている燃料集合体は、原子炉の運転開始後約1年で、その4分の1~5分の1取り替える。 この取り替え分を、燃料費(核燃料減損)として計上しており、火力発電の燃料費に相当する。 取り替え分(減耗分)を金額で示したのが、核燃料減損費であり、火力の燃料費に相当する。 発電した電力量で除して燃料費相当額の単価を計算すると、2023年度関西電力0.79円/kWh、四国電力0.78円/kWh、九州電力0.86円/kWhとなり、2022年度はそれぞれ0.75円/kWh円、0.86/kWh、0.86円/kWhとなる。

参考として、火力発電の場合の、燃料消費量を算出してみる。

資源エネルギー庁の電力統計によれば、発電に使用した石炭は、2024年度湿炭で101,131,690トンであり、LNGの発電消費量は37,814,308トンであった。 石炭火力とLNG火力の発電量は、表2に記載の通り282,223,316MWhと295,206,203MWhであった。 この数字を使って、kWhあたりの平均燃料消費量を計算すると、石炭火力は321g/kWhであり、LNG火力は128g/kWhとなる。

価格については、石炭もLNGも全量輸入であり、通関統計から推定が可能である。 結果、本年(1月-8月)の燃料価格は石炭25,000円/トンであり、LNGは95,200円と得られる。 そうすると、石炭火力の321g/kWhとLNG火力の128g/kWhは、金額で表示すると石炭8.96円/kWhとLNG12.19円/kWhとなる。 燃料費のみで考えた場合、原子力は非常に安いのである。

なお、表3A、3Bで燃料費のすぐ下の行に「使用済燃料再処理等拠出金費」が、更にその2行下に「特定放射性廃棄物処分費」と表示されている。 これについて、2-3)及び2-4)で記述する。

2-3) 使用済燃料再処理等拠出金費

この費用は、電力会社が「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」に基づき「使用済燃料再処理・廃炉推進機構 (NURO)」に対して支払った「使用済燃料再処理等拠出金費」です。 金額はこのように、拠出金単価の発表があり、毎年度決定されている。 NUROは、受け取った拠出金を日本原燃株式会社に全額支払っている。 日本原燃における核燃料再処理代金は、MOX燃料への再処理加工設備が、未だ完成しておらず、全額前受金として計上されている。 2024年3月末の前受金残高は1兆5382億円である。

日本原燃は株式会社である。 株主は表1の原発保有電力会社10社が約90%、その他74社が約10%である。 資本金と資本剰余金合計が5771億円であり、負債は合計2兆8536億円で、そのうち1兆5382億円が前受金である。 一方、年間再処理能力800トンUのMOX燃料加工設備は、2024年度上半期に完成予定であったが、2024年8月発表の結果、2028年3月末竣工・2028年夏頃からの操業開始と延期された。 株式会社ではあるが、核燃料サイクル用のMOX燃料製造を担う国策会社であり、日本の核燃料サイクルの方針の下での会社経営であり、通常の株式会社のようには運営できないことがほとんどと思う。

使用済燃料再処理等拠出金を拠出し、それを電力会社が原子力発電費用として処理することについて、その拠出資金単価の妥当性、あるいは核燃料サイクルへの疑問もあるが、情報公開を正しく継続して欲しい。

2-4) 特定放射性廃棄物処分費

この費用は、電力会社が「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づき「原子力発電環境整備機構(NUMO)」に対して支払った拠出金である。 NUMOは、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分の実施等を行う法人であり、この法律により設立されている。

NUMOが受領した拠出金は最終処分業務の費用支出に充てるため指定法人となっている「公益財団法人原子力環境整備促進・管理センター」が資金管理を行っている。 その残高は2024年3月で1兆1241億円となっている。

特定放射性廃棄物とは、使用済燃料の再処理の際に有用物質を分離した後に残存する放射性廃棄物であり、高濃度の第一種とそれ以外の第二種に分類されている。 「最終処分」とは、地下300メートル以上の政令で定める深さの地層において、特定放射性廃棄物及びこれによって汚染された物が飛散し、流出し、又は地下に浸透することがないように必要な措置を講じて安全かつ確実に埋設し、処分することである。

一体、どれくらいの期間で安全と言えるレベルになるかですが、次の図は電気事業連合会の高レベル放射性廃棄物の地層処分というWebページにある図です。 天然のウラン鉱石が放出する放射線のレベルにまで達するには、数万年を要するのです。 

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特定放射性廃棄物処分費は、核燃料再処理の結果発生する廃棄物の処理費であり、再処理の対象でない原子炉や様々な機器・建物・構築物等の廃棄処分費はこれに含まれません。

特定放射性廃棄物処分費に該当しない費用は、表3の4行目の廃棄物処理費または、原子力発電施設解体費になると理解します。 次の工程図は、この東海発電所廃止措置状況の4ページ目にあった工程表ですが、2001年に廃止措置に着手してから20年以上経過するが、未だ原子炉本体の解体には至っていない状態である。 安全が第一であり、原発廃止は時間を要するが、同時に費用もかさむと言えます。

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3) 原賠・廃炉等支援機構負担金(福島事故の賠償支援)

この負担金は、福島事故後の2011年8月に公布された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」により設立された「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」への支払である。 法の第1条に目的が書いてあるが、(1) 1200億円を超える賠償が発生した場合に賠償のための資金交付等を行うこと、及び(2) 地震、火災その他の災害により原発の廃炉を実施をする際の支援が法の目的であり、機構が担う業務となっている。

法は、表1の原子力事業者10社と再処理会社日本原燃が、機構に一般負担金を納付することを義務づけられている。 表3Aで10社合計1923億円(2023年度)の原賠・廃炉等支援機構一般負担金がこの負担金であり、2011以後納付された金額は合計2兆1008億円である。 負担金等の収入の残余は国庫に納付することになっており、2011年以後に国庫へ納付された納付金合計は2兆8055億円となっている。 一方、国から4340億円の交付金も受けている。

原賠・廃炉等支援機構特別負担金は、東京電力のみ納付しているが、福島事故の賠償等の為に、機構から資金援助を受けたことによる。 2011年以後に東京電力が機構より受けた資金交付額は11兆945億円である。 一方で、負担した特別負担金は7800億円である。 東京電力は、機構に支払う負担金は費用としているが、機構からの交付金の受取は特別利益に計上し、それに見合う費用(特別損失)として原子力損害賠償費として計上したりで非常に分かり辛い。 なお、11兆945億円は巨額であり、東京電力より損害賠償費と除染費用として支払われたのであるが、毎年度の支払額を表4として掲げる。

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11兆円を東京電力は、どのように使途したかであるが、機構の第四次総合特別事業計画(抄)(令和6年4月26日改定。令和6年9月10日軽微な変更) にある項目別賠償額を見ると、次の表がある。

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賠償の支払いは、個人に対する賠償等で2.2兆円、法人や事業関係の賠償で3.3兆円、その他の賠償で2.0兆円であり、賠償額合計は7.6兆円。 これに、除染等で3.6兆円を支出し、2024年2月現在で合計11.2兆円となる。 2024年9月現在で、見込額合計は13兆4千億円となっている。

機構は機構法で設立された法人であり、設立に際して、政府と政府以外の者で出資するとされ、政府70億円と民間出資社12社(表1の10社に加え日本原燃と電源開発)で合計して140億円の資本金である。 機構は、株式会社でなく、株主総会は存在せず、運営委員会の議決により重要事項を決定する。 運営委員は主務大臣の認可を受けて任命される。 機構は、福島原発事故に関連する賠償金支払い支援と廃炉支援をしている。 東京電力ホールディングスに1兆円の出資・資本注入による資金の供与も行っている。 なお、この出資により機構の議決権割合は50.09%となっている。

4) 廃炉費用

「原賠・廃炉等支援機構負担金」は賠償と除染関係であり、廃炉費用は該当しない。 東京電力は原子力損害賠償・廃炉等支援機構に廃炉等積立金として、法55条の3~55条の10により、2018年より毎年積立を行い、同時に廃炉に必要な額を取戻している(参考令和6年9月27日の機構による発表 )。 2018年4月から2024年3月までの6年間に積立てた金額は合計1兆8234億円で、取戻した金額は合計1兆1861億円であり、6731億円が2024年3月末現在の積立金残高となっている。

1兆1861億円は、2018年4月から2024年3月までの6年間に東京電力と機構が適切と認めた金額であるが、2018年3月以前にも廃炉費用は発生している。 機構からの資本注入は、汚染水対策を含め廃炉関係に充当されたと思う。 廃炉、賠償、除染の総額で33兆円(2020年までの期間で11兆円、それ以後に22兆円)必要であるとする次図の概算予想もあった。 (文書のタイトルは第四次総合特別事業計画(抄)で2021年8月4日認定、2023年4月26日変更認定とあり、作成者は機構と東京電力)

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総額33兆円の費用であり、日経 2023年12月15日東京新聞 2024年3月4日の報道のような23.4兆円より10兆円多い33兆円と考えるのが妥当なのだと思います。 

5) 感想

原子力発電について金額面から考えることも重要である。 イメージや感覚での議論で方向性が出されることは、良くない。 原発は、建設地を選定・決定することも容易でない。 しかし、2-4)で書いた特定放射性廃棄物処分のための最終処分地の選定は、それ以上に困難なのだろうと思う。 もしかしたら、処分地が決まらず、地下処分ではなく暫定保管地での保管となることもあり得るのかもと思う。 そうなると、万一事故があれば、福島第一の放射性物質飛散よりはるかに酷い事故がありうるのか、リスクも考えて適切な判断をすることが重要である。

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