政府財政の立て直しに向かっていって欲しい
衆議院選挙の後に期待したいこと。 それは、政府財政の立て直しである。
1) 令和6年度歳出予算(省別)
令和6年の歳出予算を省毎の金額にすると次表の通りである。
総額は、112兆5717億円であり、GDPを615兆円と想定すると対GDP18.3%である。 112兆円のなかで、金額が大きいのは厚生労働省33.8兆円、財務省30.2兆円と総務省の18.2兆円がいずれも10兆円を越える歳出予算である。 ちなみに、この3省に続くのは、防衛省7.9兆円、国土交通省6.1兆円となる。
2) 3省合計73%(82兆3千億円)の歳出は何であるか
3つの巨額の歳出がある省の予算の中で金額が大きい歳出を抜き出してみる。 厚生労働省については、次の表である。
医療保険の関係が8.7兆円、介護関係が2.5兆円、生活保護が2.7兆円、障害者関係が1.6兆円、基礎年金が12.7兆円である。 医業・介護での11.2兆円も基礎年金の12.7兆円の国庫負担も双方とも重要である。
総務省の18兆3814億円のうち16兆6543億円は地方交付税交付金の歳出予算である。 地方交付税は、規準財政収入額が基準財政需要額に満たない地方自治体(と言ってもほとんどであり、例外は東京都他の金持ち自治体)に対する地方交付税の予算である。 これも現在の地方自治制度に関係し、現状を変更することは容易ではない。
財務省の30兆2777億円のうち27兆90億円は、国債費であり、17兆2957億円が債務償還費、9兆6910億円が利子・割引料で、その他は224億円である。 なお、財務省の30兆2777億円には、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費として1兆円、そして予備費1兆円の合計2兆円が入っている。
3) 国債残高
令和5年度末(2024年3月末)の普通国債残高は1068兆円の見込みである。 そして令和6年度末(2025年3月末)の見込みは1105.4兆円と財務省は発表している。 37.4兆円残高が増加する訳だが、国債残高を維持するためには、総額112兆5717億の歳出を37.4兆円減額し、75.2兆円にする必要がある。 3省合計で82兆3千億円なので、75.2兆円にはできない。 但し、歳入を増やせば可能であり7兆円の増税をすればとなるが、現状の政府歳出を維持するなら37.4兆円の増税が必要となる。
なお、令和5年度末(2024年3月末)および令和6年度末(2025年3月末)の国債残高のGDP比は178.8%と179.6%である。
4) 医療費と年金
令和4年度(2022年度)の医療費は46兆6967億円(保険対象外医療や差額ベッド料等は除く)であった。 そして、支給された公的年金(厚生年金、国民年金、公務員共済等)の合計は53兆3986億円である。
次の図は、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測(出生中位・死亡中位)から作成した人口分布予測図である。 高齢化は、ますます進むのである。
75歳まで働いて、75歳から年金生活というのが、間もなくやってくるような気がする。 いずれにせよ、そのような時代に幸せに生きることができる体制をつくらねばならない。 現状では望めず。 財政基盤がしっかりした政府をつくらねばならない。 選挙が終わったので、増税と国債残高の減少を目差し、あかるい未来を切り開いて行って欲しい。
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