2024年3月30日 (土)

こども子育て支援金を医療保険でまかなうのは筋が違う

どう考えてもおかしい、子ども家庭庁です。

こども家庭庁 令和6年3月29日 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について

NHKのニュースはここにあります。

病気になったときのために、被用者保険である協会けんぽ、健保組合、共済組合の健康保険や国民健康保険そして後期高齢者医療保険に全員が加入しています。 自分や、扶養している家族が病気になった場合に医療費がこれらの医療保険でカバーできるからであり、この制度を信頼・支持しているからです。

医療保険料を支払って、それが医療費に回らないなんて、私は納得が行かない。 子ども・子育て支援に反対するのではありません。 子ども・子育て支援は重要です。 その財源は、税金から支払うべきです。 上に掲げた子ども家庭庁の試算書の5ページと6ページに医療保険で徴収する金額が記載されており、1兆円徴収しようと言うことです。

1兆円を国民から徴収しても、それが日本の現在や将来に役に立つなら、それで良い。 しかし、国民を騙すことは許されない。 1兆円支出の詳細な内訳を国民に説明することは、先ずは重要である。

そして、1兆円と言わずに、一人平均450円なんて、月額で示す。 雇用主から徴収する金額も除外している。

財源は所得税増税で賄うべきです。 医療保険料の徴収は、高所得者については、医療費支出とのバランスから上限を設けざるを得ず、しかも収入額に対して一定の料率となる。 所得税のように累進税率が適用されない。 岸田内閣は、増税を推進すべきです。

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2024年2月17日 (土)

ガソリン代の政府補助延長なんてバカの見本と思う

次の様なニュースがあるが、困ったことである。 ポピュリズムは国を滅ぼす元凶になりうる。

kyodo 2月16日 ガソリン代補助延長へ 夏まで視野、家計支援

税金の無駄使いの最たるものである。 この制度、政府は「燃料油価格激変緩和対策事業」と呼んでおり、小売ガソリン価格が1リットル168円を超えると超過額の60%を補助し、185円を超えると185円以上は全額補助するというメチャメチャな補助金である。

補助金が支払われる相手は、石油元売り業者と輸入業者であり、対象となるのはガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料の5種類である。 この補助金の総額は、月に1千億円、年間1兆2千億円程度になるように思う。 計算根拠は、5種類の石油製品の月間販売量を2千万KLと仮定し、補助金を1リットル5円と想定した場合である。

直前のブログ(これ )で、日本経済を一人あたりのGDPで世界の国々と比較すれば、悲惨な状況であると書いた。 こんなバカな補助金は即刻中止すべきである。 当然のことながらガソリン税トリガー価格制も同じである。 原油価格・石油製品価格の上昇は、世界市場の結果である。 原油価格上昇には、エネルギー利用・消費に関する省エネを含め、技術革新等で対処すべきである。 本質を把握し、将来を見据えた対応をしないと、いよいよ沈み行く船になると考える。

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2024年2月 6日 (火)

自民党の税制改正大綱の分析になるほどと思った

国会での税制改正審議が、間もなく始まるが、2023年12月14日に自民党が発表した令和6年度税制改正大綱 (pdfはpdfはこちら )には、なるほどと思う分析の記載がある。

それは、10ページ目の中段辺りから始まる法人税に関する次の文章である。

 しかしながら、わが国においては、長引くデフレの中での「コストカット型「経済」の下で、 賃金や国内投資は低迷してきた。 賃金水準は実質的に見て30年間横ばいと他の先進国と比して低迷し、 国内設備投資も海外設備投資と比して大きく伸び悩んできた。 その結果、 労働の価値、 モノの価値、 企業の価値で見ても、いわゆる 「安いニッポン」 が指摘されるような事態に陥っている。 その一方で、 大企業を中心に企業収益が高水準にあったことや、 中小企業においても守りの経営が定着していたことなどを背景に、 足下、 企業の内部留保は555兆円と名目GDPに匹敵する水準まで増加しており、 企業が抱える現預金等も300兆円を超える水準に達している。こうした状況に鑑みれば、 令和4年度税制改正大綱において指摘した通り、近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない。

企業の内部留保は555 兆円や企業が抱える現預金300兆円は、ほとんどが大企業に属するのであろうが、法人税は赤字企業に負担はない。 法人税は企業の利益から算出する課税標準を元にするのであり、合理的と考える。 税制が全てではないが、重要なファンクションであり、良い税制を追及することを緩めてはならない。

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企業・団体の政治献金の禁止は成立するだろうか

自民党の派閥パーティー券ノルマ超過分の販売議員への戻し・裏金化に関連して、企業・団体の政治献金の禁止が話題になっている。

次の表は、東京新聞の2月1日の記事「企業献金禁止を求める声に「論理の飛躍がある」 岸田首相が国会で野党の代表質問に従来の答弁繰り返し 」に掲載されていたこの表 によれば、6党の中では「企業団体の献金禁止」は賛成が、立民、維新、共産、国民の4党であり、反対又は消極的が公明と自民の2党になる。 (首相という部分は自民党の意見を首相が述べているとの理解で)

意見を持つのは個人であり、選挙権も被選挙権も個人のみである。 同じような意思や意見を持つ人が集まって団体を作ることがあるが、寄附や献金を団体がするのは変である。 営利企業が政治献金をするとすれば、やはり直接・間接を問わず何らかの利益を期待するからである。 株式会社だとすれば、利益を期待しない支出は、株主にとっては不正支出である。

もし、政治家や政党に対する寄付金・献金の支出者が外国人・外国企業だったら、どう考えるか。 上の表では、公明党は「企業団体の献金禁止」反対となっているが、企業・団体献金の禁止 公明党の佐藤氏が野党に理解との2月4日日経記事もあり、もしかしたら企業・団体の政治献金の禁止は成立するだろうかと思ってしまう。

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2024年2月 1日 (木)

これが本当なら、総務省って、やはりろくでもない役所だと思う

次のニュースを読んで、やはり、ろくでもないと思いました。

日経XTECH 2024.01.26 住民税決定通知書の電子化はまさかの暗号化ZIPファイル配布、「紙より不便」の声

 政府が採用したのは、通知書本体のPDFファイルをZIP形式で圧縮・暗号化したうえで、復号用パスワードの取得方法を記した別のPDFファイルとともに従業員に社内システムを使って配布するという方法だった

とあるのです。 これだと、PPAPです。 例えば、これをご覧頂いても良いし、このようなウイルス付きファイルの警告にもZIPファイルの恐ろしさが書かれています。 ZIPファイルは、クリックして何が出てくるか不明なのです。 名前と中身が異なることは、世の中、しばしばあるのでしょうが、ZIPファイルの嫌なことは、クリックしないと中身が分からないことです。

それでも、信頼できる相手から受領したファイルなら大丈夫ではないかと考えられるが、メールにおいて送信者の偽装もありえますから。

総務省とは、旧総務庁、旧自治省、旧郵政省が統合されて発足したのであるか、私なんか統合理由なんて全く理解できない。 役所とは、管理が重要な組織である。 管理がおぼつかなくなるような組織は、役所の場合、絶対に作ってはならない。 民間だったら、倒産して終わるが、役所は倒産できず、負の遺産を引きずってしまう。 ふるさと納税なんかも、早く中止すべきであるが、廃止できずにいる。

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2023年12月17日 (日)

年金減額を正しいと判断した裁判所に賛同する

12月15日に最高裁は年金減額を違憲として争っていた裁判に対して、上告を棄却した。

日経新聞の記事「国の年金減額「合憲」確定 最高裁判決、受給者ら敗訴」はここにあります。 また、最高裁の判決はここにあります。

次の図は、日本における年金保険料納付世代の20歳から64歳の世代と年金を受給する65歳以上の世代の人口をグラフにしたものです。

Pension202312a

19歳以下の人口は含んでいませんが、50年で40%減少して、60%になると予想されています。 データは、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)推計からです。 

現在の基礎年金の制度である20歳からの納付義務世代と65歳以上の受給権世代の人口対比をグラフ化したのですが、今現在の制度では確実に破綻すると予想されます。 2070年には納付世代と受給世代の人数が同数になるのです。 無理のない納付金額にしないと納付できません。 受給者は制度維持に協力すべきです。 破綻したなら、受給者は年金を受給できなくなるわけで、責任論では解決にはならない。

年金の制度に100年安心なんてあり得ないのである。 納付額は今よりあがるのでしょうね。 受給開始は遅くなり、金額も減少する。 そんなことが予想されるが、一度シミュレーションをして報告します。 最高裁は、政治家とは異なり、信頼できる人達であると思いました。 正しいか、間違っているか、それは表面のことのみではなく、深い部分も考慮して判断すべきであります。

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2023年12月 9日 (土)

企業版ふるさと納税の恐ろしい話

一つ前のブログで東京都によるふるさと納税見直し要請を書きましたが、同じようなふるさと納税の企業版があり、寄付額の90%相当額の税が安くなる制度。

 企業版ふるさと納税で4.3億円を人口8000人の福島県国見町に寄附をして、国見町は4.3億円で救急車12台を購入したという話、そして寄附をしたのも救急車を販売したのも、実は同じ企業(同じグループの会社)という話が東洋経済ONLINEにあり、このページで読むことができます。

東洋経済の記事には「官民連携という大義を隠れみのにした「過疎ビジネス」」とありますが、これが事実であるなら、集団的犯罪に近いようなもので、モラルも何もない暗黒やくざ商売だと思う。 やはり、あらゆるふるさと納税を即刻廃止すべきで、人と企業の良心に根ざした見返りを求めない純粋な寄附文化を構築していくべきと考えます。

悪人は、消えるべき。

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2023年12月 8日 (金)

東京都は、ふるさと納税見直しを要請

東京都、その特別区および市町村は連名で、総務大臣に対して、ふるさと納税制度の見直し要請を12月4日提出しました。

「ふるさと納税」制度の抜本的な見直しに関する共同要請

問題ありすぎの制度ですから、本来はずっと前に反対論が出て当然であったと考える。 反対論が少なく、賛成論が多かったのは、ふるさと納税の利用で潤っていた国民が多かったと言うのは、言いすぎであると思うが、いずれにせよよほど賢い国民でないと全体像が理解できない制度である。 この制度を導入したのは、相当腹黒のど悪人だと思う。

地方自治体に寄附をすると、30%相当の返礼品を受領できる。 一方、寄附支出は2,000円が支出者負担で、それ以上の額は所得税と地方税で戻ってくる。10,000円の寄附で3,000円の返礼品を受領でき、更に税金(所得税と住民税)が8,000円安くなる。 上限はあるものの、多額のふるさと納税をすると儲けになる。

どう考えても、経済原則に反するわけで、ふるさと納税なんて、美しい言葉で飾っているが、実態は悪徳・モラルハザード・ビジネスである。 収支は、どうなっているかと言うと、寄付者の住所地の市町村は寄付者に住民税で補填するのであるが、その75%分は地方交付税で国から補填される(参考この総務省の資料 )。 但し、地方交付税不交付団体には補填されない。 東京都には、不交付団体が多いのである。 従い、東京都は見直しを要請となるのであるが、所詮ゆがんだ制度であり廃止すべきと考える。 税金は必要な政策に対し、支出されるべきで、寄附をした人に(住民税還付の形で)支出されるなんて、税金を払いたくなくなる。

政府に払った税金が、国民が知らないうちに、地方交付税の制度により、都道府県・市町村に流れていきます。 地方交付税の制度を否定するのではありませんが、国民の目にとまりやすく公表すべきです。 例を言うと、消費税10%だと多くの人は思っている。 実は、日本政府が使えるのは5.5%であり、4.5%は都道府県・市町村の財源です。

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2023年12月 7日 (木)

難民について

11月5日のNHKスペシャルで「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」という番組を放映していた。 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の難民統計ページがここにあり、2023年6月頃の世界における難民・避難民の数は1億1千万人と述べている(うち、国内での強制移住者62.5百万人、難民36.4百万人、難民申請者6.1百万人、その他国際的保護必要者5.3百万人)。 以下は、NHKの番組では余り触れられていないと感じたことである。

1) 難民とは

日本政府は、難民条約(Convention Relating to the Status of Refugees - Refugee Convention)の説明として、次の人達を難民として説明している。

  • (a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
  • (b)国籍国の外にいる者であること
  • (c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

2) 過去約50年の難民の発生数

NHKは難民が近年増加していると述べていた。 UNHCRの統計によれば毎年の難民発生人数は、次図の通りである。 (クリックで拡大・別ページ表示)

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2022年の難民発生数は、過去最大であり、うちウクライナからの難民が570万人とのことである。 なお、この数字には、ウクライナからロシアに避難している人々も含んでいる。 

3) 2022年の難民発生数

UNHCR統計によれば、2022年の難民発生数は10,166,908人である。 4カテゴリーに区分されており、難民(Refugee)4,177千人、難民同等者(People in refugee-like situation)2,457千人、難民申請者2,572千人、その他国際的保護必要者959千人となっている。

2022年における最大の難民流出国は、ウクライナで、その避難先国は次表の通りです。

ウクライナからの流出難民数(2022年 5,734,884人)
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ロシア 0 1,209,915 100,833 0 1,310,748
ドイツ 820,143 180,332 705 0 1,001,180
ポーランド 956,760 0 1,542 0 958,302
チェコ 433,071 0 203 0 433,274
その他の国々 1,549,806 432,849 48,725 0 433,274
合計 3,759,780 1,823,096 152,008 0 5,734,884

2022年で次に難民流出が多いのが、ベネズエラであり、その避難先国は次表の通りです。

ベネズエラからの流出難民数(2022年) 1,223,672人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
コロンビア 0 0 5,184 611,472 616,656
ペルー 0 0 894 178,375 179,269
ブラジル 0 0 34,073 135,046 169,119
米国 0 0 138,597 0 138,597
その他の国々 25 0 85,253 34,753 120,031
合計 25 0 264,001 959,646 1,223,672

2022年に3番目に難民流出が多かったのが、アフガニスタンであり、その避難先は次であります。

アフガニスタンからの流出難民数(2022年) 791,628人
避難先国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
イラン 0 403,293 0 0 403,293
パキスタン 0 178,107 28,450 0 206,557
ドイツ 963 0 36,358 0 37,321
オーストラリア 0 0 24,446 0 24,446
その他の国々 343 392 119,276 0 120,011
合計 1,306 581,792 208,530 0 791,628

UNHCRの統計による日本に関する2022年難民受入避難者の数を見てみると次の通りでした。

日本の難民受入数(2022年) 16,082人
非難元の国 難民 難民同等者 難民申請者 その他 合計
ミャンマー 0 9,527 298 0 9,825
ウクライナ 0 2,238 0 0 2,238
カンボジア 0 0 578 0 578
アフガニスタン 0 329 182 0 511
スリランカ 0 0 502 0 502
トルコ 0 0 445 0 445
シリア 0 216 30 0 246
パキスタン 0 0 238 0 238
その他の国々 0 0 1,499 0 1,499
合計 0 12,310 3,772 0 16,082

日本の数字について、出入国在留管理庁が2023年3月24日に発表した「令和4年における難民認定者数等について」というこの発表では、令和3年の難民認定者数は74(表8)で、人道的配慮で在留を認めた者の数が525となっています。 UNHCRの日本についての2021年の数字は難民、難民同等者、その他国際的保護必要者はゼロであり、難民申請者が2,413となっています。 UNHCRの数字と日本政府の数字に随分差があるが、難民申請があっても、他の在留許可が認められた場合、UNHCRは難民同等として扱い、出入国管理庁は滞在許可の種類でカウントしているからと思います。

4) 難民となっている人の数(難民人口)

難民となっている人口をUNDPの統計(Refugee Data Finder)より作成したのが次図である。

Refugeepopulationa

2023年で難民総数(総人口)は、ほぼ1億人である。 2022年の難民増加は1,574万人と20%増加した。 この増加の中でウクライナの難民数が30%以上である。 2023年の難民人口9,893万人の出身国は次図の通りである。

Refugeepopulationb

なお、UNHCRは世界の難民人口を2022年で1億840万人と発表している場合もある(例えば、Global Trendsという報告書)。 947万人の差がる。 この差は、国内避難難民をUNHCR統計の5,732万人とするか、IDMC統計の6,250万人とするかの差から生じている。 IDMC(Internal Displacement Monitoring Center)とはノルウェイの非政府・人権活動団体(NPO)である。

国内における避難民には災害による避難民も存在するが、災害要因避難民は除外し、戦争・内乱等が原因で実質的難民となっているが、国外脱出ができていない人々の数を、国内避難難民としており、UNHCRも支援対象としている。 

5) 難民の出身国と受入国

難民の多くは、隣国へ逃れている。 戦争・内乱により国境を越えて隣国に避難する。 或いは、居住地から強制的に移動することを余儀なくされ、国境を越えることもできず国内に止まっている実質的難民も多い。 難民の発生が多い国の難民の移住先は次表の通りである。(表のクリックで拡大)

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東南アジアで難民が一番多いのはミャンマーであり、世界では12番目。 そのミャンマーからの難民の移動先・滞在先は次表の通りである。 ミャンマーにしてもそうですが、シリア、ウクライナ、コロンビア、コンゴ民主共和国の難民の滞在国は外国ではなく、国内に避難している実質的難民が一番多い状態です。最も、アフガニスタンにしても33%は国外脱出できず国内に止まっている状態です。

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難民受け入れ先国の難民人口が多い4国について表にしたのが次表です。 申請者や国内避難民を除き難民となっている人口は3,051万人なので、4国合計の難民数1,083万人は全体の3分の1を越える35%になります。 最も多く受け入れている国はイランであり、その難民の99.7%は隣国アフガニスタンから。 次に多いのは、トルコであり、90%以上は隣国シリアから。 4国については、次表を参照ください。

Refugeepopulatione

難民の多くは、隣国・周辺国に避難する・せざるを得ないということが現れている。

6) パレスチナ難民

パレスチナ難民と言った場合、通常はUNHCRが支援している難民ではなく、UNRWAが支援している難民を指すことになり、難民条約(1951Convention Relating to the Status of Refugees)にもUNRWAが支援対象が条約適用の対象外とある。 UNRWA (United Nations Relief and Works Agency for Palestiine Refugees in the Near East : 国連パレスチナ難民救済事業機関)も国連機関であり、UNRWAが実施する難民支援対象は、1946年6月から1948年5月15日の間にパレスチナでの居住及び生活をしていたパレスチナ人(アラブ人)とその子孫である。

6-1) パレスチナ

パレスチナとは、中東のパレスチナ地域のことであるが、現在では狭義の意味として西岸地区(West Bank)とガザ地区(Gaza)のこととして使われていることが多くある。 第一次世界大戦終了まで、中東地域一帯ははオスマン帝国が支配していた。 大戦終了後の1920年サンレモ会議により、英国はパレスチナ・ヨルダンとイラクの、フランスはレバノンを含むシリアの国際連盟による委任統治をすることとなった。 その後、イラクは1932年に独立を成し遂げ、トランスヨルダンは1946年に、レバノンは1943年にフランスから、シリアは1946年に独立をした。

パレスチナに関しては、英国外務大臣バルフォアがユダヤ人のロスチャイルド卿に対して1917年11月2日に書いたバルフォア宣言(Wikipediaの写真はここ にある。)があり、"His Majesty's Government view with favour the establishment in Palestine of a national home for the Jewish people." と述べて、大英帝国の国王陛下はパレスチナにユダヤ人の地をつくることを支持・賛同していると宣言した。 ユダヤ民族が聖地パレスチナに国家を建設すると言う民族運動は英国の支持を得たのであり、その地パレスチナは英国が委任統治を行っている地域に含まれている。

ユダヤ人のパレスチナへの移住はバルフォア宣言以後増加していった。 次図はカナダのCJPME(Canadians for Justice and Peace in the Middle East)という民間団体の資料から作成したパレスチナにおける人口の推移である。

Palestinea

ユダヤ人はパレスチナの地主であるアラブ人から土地を購入し、購入した土地に移住したのであり、初期の頃はアラブ人もユダヤ人も仲良く隣人として生活をしていた。しかし、ユダヤ人口が増加していくと軋轢も増加していったし、場合によってはユダヤ人が購入した土地のアラブ地主の住まいはエジプトであり、パレスチナに住むアラブの小作人は突然ユダヤ人から追い出しを受けたケースも存在した。 遊牧民にとっての土地や国境に対する考え方とユダヤ人に違いはあるし、宗教・習慣の差は大きかった。

1947年11月29日国連は総会決議181号で、1948年10月1日より早い時期に、パレスチナにおいてアラブとユダヤの2つの国を作り、エルサレムを特別市とすること。 そして1948年8月1日より早い時期での英国委託統治の終了を決議した。 33国が賛成、反対は13国で棄権が10国であった。 反対を投じたのは、アフガニスタン、キューバ、エジプト、ギリシャ、インド、イラン、イラク、レバノン、パキスタン、サウジアラビア、シリア、トルコ、イエメンであった。 周辺国とモスレム国は反対した。 インドネシア、マレーシアは当時国連未加入であった。英国は棄権であった。 英国は委任統治の終了し、1948年5月14日迄に撤退することを決定した。

6-2) イスラエルの建国・第一次中東戦争

国連決議181号の前から、ユダヤ人シオニストの民間自衛組織やそれに対抗するアラブ側の民兵組織も生まれていた。 国連決議の後、衝突は更に激化し、内乱状態も発生した。

1948年5月14日英国撤退の同日、イスラエルは建国宣言を発表し、その翌日エジプト、トランスヨルダン、レバノン、シリアの軍隊・義勇軍はパレスチナに攻め込んだ。 戦争は当初の段階ではアラブ側有利であったが、イスラエルの反撃によりイスラエルの事実上の勝利となった。 停戦協定は国毎の締結となり、エジプトと1949年2月、レバノンと3月、トランスヨルダンと4月、そしてシリアとは7月になり協定が締結された。 停戦協定による停戦ラインにより、イスラエルは国連決議181号で示されていた地域より広い面積を得、エジプトはガザ地区を、トランスヨルダンはヨルダン川西岸地域を停戦ラインの内側に得た。 その後、1967年の第三次中東戦争(6日間戦争)で、イスラエルはガザ地区、ヨルダン川西岸地域、ゴラン高原を占領した。 1948年以後パレスチナに住んでいたアラブ人の中で難民となった人々は多く存在する。

6-3) パレスチナの現状(人口と面積)

1967年の第三次中東戦争によりイスラエルと狭義のパレスチナの現在の境界となったのであるが、この境界に住む現在の人口(データは2021年現在)を次表に示す。 (表クリックで拡大します。)

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イスラエルの地域は、西岸地域、ガザを合計した全面積の78%であり、人口割合では64%である。 なお、単純な比較では誤る可能性がある。 降水量の少ない砂漠地帯が多く、植林も関係するので、単純ではない。 しかし、人種割合ではイスラエル地域にアラブ人が200万人住んでいる。 3地域合計では、ユダヤ人とアラブ人の比率はは48%と49%であり、アラブ人がわずかに多い。 地域の外に出て難民となっている人を加えるとパレスチナのアラブ人人口は相当多いと言える。

イスラエル、西岸地域、ガザにおける1995年以降の人口推移を図にすると次の様になった。

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1995年を1として描くと次の様になった。

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ガザ地区の人口増加率が一番高いのである。

6-4) パレスチナ難民 (UNRWA登録難民)

UNRWAに難民の登録をしている人数はUNRWAが公表しており、その滞在地別の2022年における難民数は次表の通りである。

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シリア危機・内戦により、シリアでUNRWAに登録されているパレスチナ難民のうち約12万人は、レバノンとヨルダンに脱出していると考えられ、シリア国内に居住する難民も60%は、国内移動を余儀なくされた。

40%のパレスチナ難民は、ヨルダンに居住している。 但し、在ヨルダンのパレスチナ難民のうちヨルダン国籍を取得している人達も多い。 いつの日か先祖が居住したパレスチナの地に帰還することの希望は捨てておらず、UNRWAの難民支援は受けていなくても、難民登録は維持し、パレスチナ人として生きている人も多いのが、在ヨルダンのUNRWA難民である。 また、ヨルダン川西岸については、第三次中東戦争前の停戦ラインではヨルダン支配地域であったのである。 西岸地区に住んでいたパレスチナ難民はヨルダン国籍の取得がそれほど困難ではないと推測する。 なお、ヨルダンのみならず、この地域はアラビア語であり、アラビア地方というのがふさわしいように思う。

ヨルダン川西岸地域とガザの人口は、6-3に記載した表で1,476千人と871千人であった。 この人口を使用して上表の難民数における割合を計算すると西岸地域で17%、ガザでは70%となる。 

6-5) UNHCR対象のパレスチナ難民

UNHCRが支援しているパレスチナ難民は次表の通りです。

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パレスチナ難民の場合は、UNRWAの難民が5,713千人なので、UNRWAが関与している難民がほとんどであります。 ガザに居住するUNRWA難民の人口がUNHCRが関与するパレスチナ難民の10倍以上です。

7) 難民支援について

NHKスペシャルは「過去最多となった難民・避難民 世界はどう向き合うのか」とのタイトルで放送していたが、考えなくてはならないのは、「世界は」ではなく、「私たちはどう向き合うのか」であると考える。

日本語名称は世界人権宣言である”The Universal Declaration of Human Rights”が難民について考える場合の最も参考になると考える。 14条1項の「すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。」や13条2項の「すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。」等の文章のみならず第1条の「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」等すごい文章が多くある。

世界には様々な紛争や戦乱と武力衝突が数多くあり、その結果が難民発生となっている。 日本の難民受入数は極めて少ない。 特定技能ビザでさえ、家族帯同が難しかったりするのだから、人手不足日本とは超保守的な国だと思う。 しかし、難民認定でなくとも同等な家族帯同就労可能なビザで支援しても良いわけで、多分難民に対する受入も拡大していくと期待する。

一方で、日本政府はUNHCRにもUNRWAにも応分の資金援助を行っており、難民受入が多い国に対しても必要な支援を実施していると理解する。 難民支援は、人道的見地のみならず、紛争や戦乱の防止、平和の樹立に効果的と考える。 武器に金を使うより、国際的な支援・協力が日本の国の安全や世界の平和に有効であることは多いと考える。

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2023年10月11日 (水)

頭が混乱の年収の壁

次は、9月25日の岸田首相による「経済対策についての会見(このWeb )」の中での発言ですが、これが理解ができた人は、知識・造詣が相当深い人だと思います。

130万円の壁」については、被用者保険の適用拡大を推進するとともに、次期年金制度改革を社会保障審議会で検討中ですが、まずは「106万円の壁」を乗り越えるための支援策を強力に講じてまいります。具体的には、事業主が労働者に「106万円の壁」を超えることに伴い、手取り収入が減少しないよう支給する社会保険適用促進手当、これを創設いたします。こうした手当の創設や、賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金の新メニュー、これを創設いたします。こうした支援によって、社会保険料を国が実質的に軽減し、「壁」を越えても、給与収入の増加に応じて手取り収入が増加するようにしてまいります。政府としては「106万円の壁」を乗り越える方、全てを支援してまいります。このため、現在の賃金水準や就業時間から推計して、既に目の前に「就労の壁」を感じておられると想定される方々はもとより、今後、「壁」に近づく可能性がある全ての方が「壁」を乗り越えられるよう機動的に支援できる仕組みを整え、そのための予算上の措置を講じてまいります。

1) 106万円の壁

パート労働者が年収106万円を超えると社会保険(厚生年金と健康保険)の適用となり、社会保険料の負担により収入ダウンになるという話であります。 何故収入が減少するかというと、社会保険料の負担からです。 事業所所在地が東京である場合には、保険料率は厚生年金保険料(18.3%)と健康保険料(協会けんぽの場合10%(40歳以上は11.82%))です。 この保険料の負担は、雇用者と労働者が50/50の折半です。 もし、年間給与額が106万円を超えると費用負担が発生する。 仮に、110万円だと、雇用者も労働者も155,650円の負担増であり、106万円で費用負担なしの時と比較すると、収入総額は4万円増加しても、手取りは944,350円であり、115,650円減少する。時給1,000円だとすると116時間分も損をする計算になる。 一方、雇用者にとっても155,650円の負担増となり人件費は1,255,650円となる。

もし時間給単価が同じだとするなら106万円の手取り給与を得るためには、1.165倍働く必要が出てくる。今まで8時間働いていたなら9時間20分働かないと同一賃金額が得られない。

2) 106万円の壁の根拠

労働者は全員が社会保険(厚生年金、健康保険、労災保険、雇用保険)のカバーを受け、雇用主は社会保険の付保義務がある。本来なら、パート労働者も社会保険の対象であるが、週20時間未満で賃金月額8.8万円未満であれば、厚生年金と健康保険の適用対象外となり、保険料納付の必要がないとなる。8.8万円を年間分とするため12倍にすると、105万6千円で、106万円という訳である。

3) 130万円の壁

現在は106万円の壁が適用されるのは、500人超の事業所であり、2024年10月に50人超の事業所となる。現在500人以下の事業所では、1週間の労働時間および1月の労働時間が正社員の4分の3未満のパートやアルバイトの短時間労働者は厚生年金・健康保険の適用対象にならない。 短時間労働者の場合であっても、正社員の4分の3未満の短時間労働でないなら、社会保険の対象となる。

では、130万円の壁とは、何かであるが、3号被保険者(国民年金法第7条1項3号)の対象者が恒常的な収入が130万円未満となっていることである。130万円以上の収入があっても、厚生年金で対象外となれば国民年金に加入し年金保険料を納付する必要が生じる。 毎月16,520円の保険料である。 130万円の年収の場合、厚生年金保険料は19,825円であるが、労働者分だけなら半額の9,912円で済む。 国民健康保険料は、市区町村により異なるが、月々10,000円以上になるのではと思う。年130万円の給与なら、協会けんぽで年153,660円だから、労使折半なら76,830円であり、本人負担は年12万円より安い。

この計算では、130万円の壁は、おそろしく大きく、国民年金と国民健康保険の保険料の年間負担は318,240円であり、24.5%になり、結構大きな壁である。 厚生年金と協会けんぽの場合の、労働者負担額は130万円の場合、183,950円(40歳以上で介護保険料も加算される場合195,780円)である。 

4) フリーランスの場合

フリーランスの場合は、どのようになるか考えてみたいと思います。 20歳以上は国民年金1号被保険者であり、国民年金の加入義務があり、3)で書いたように毎月16,520円の保険料を支払う必要がある。 但し、前年の所得に応じて、保険料免除を受けることは可能である。 例えば、前年所得が32万円以下は全額免除、168万円以下は25%免除。 免除を受けた場合、免除額に相当する将来受給を受ける年金額は減少するが、それでも50%以下にはならない。 何故なら、国民年金は50%が税金を財源として支払われることになっているからである。

国民健康保険料について、3)で月々10,000円以上と記載したが、住民税の課税所得の10%程度と思う。 最高保険料は年100万円程度である。 保険料率は、協会けんぽと比較すると、雇用者・労働者の合計額では安いが、労働者負担額で比べると国民健康保険の方が高いと、言える。

フリーランスや個人自営業者は、雇用主が存在しないわけで、全額自己負担になる。法人化しても、雇用主のオーナーが自分であれば、合算すればかえって費用は高くなると言える。

5) 厚生年金の受給額予想

健康保険の場合、その医療費カバー率は同一と考えれば、差は保険料である。 一方、年金は国民年金の場合、65歳から年間795,000円の年金を受給できる。 厚生年金の場合は、年間795,000円に加えて、次の計算式で計算した金額との合計額が年金額となる。(クリックで拡大)

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10万円、20万円、30万円、40万円、50万円を報酬の月額とし、ボーナスは年間3月相当額が支払われ、加入月数を480月とすると次の様になった。(クリックで拡大)

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年金受給期間を85歳までとしたのは、25歳の時の平均余命男55.2年、女61.8年からすれば、男80.2歳、女86.8歳となるが、これを男女の区別なく85歳までの受給とした。

6) 国民年金の受給額予想と厚生年金との比較

国民年金の保険料支払い義務は20歳から60歳までであり、毎月16,520円を12月・40年間払うと総額7,929,600円となる。受取年金額は厚生年金の基礎年金額と同じ795,000円。 65歳受給開始で85歳まで21年間受け取ると合計は16,695,000円になり、払込総額の2.1倍に相当する。

国民年金は保険料が高いが、給付される年金額は高くなく不十分との感覚を持ってしまうが、実際に計算をすると、極めて高利回りの投資と言える。 何故、そんな高利回りになるのかと言えば、保険料と同額が税金で補助されるからです。 NISAよりも、はるかに高利回りで、リスクも低い投資と言える。

それでは、厚生年金は月額報酬が高くなるほど、受給額へのリターンが悪くなるが、これは何故か? 一つは、定額支給となる基礎年金と報酬比例年金の2つの合計であり、基礎年金は報酬がゼロに近くても満額支給となるからである。 (なお、実際には年1500時間程度の労働になると思うので、時間1200円として年180万円(月15万円程度かと思うが)

もう一つの理由が、3号被保険者である。 3号被保険者は、保険料の負担がなく、基礎年金を満額受領できる訳で、投資ゼロで毎年795,000円が受け取れる。 (厳密には2号被保険者の配偶者なので、配偶者でなかったときは、国民年金保険料か厚生年金保険料を納付していることが必要である。)

保険料を払わずとも、年金を支払えるようにするには、誰かの分を減額するしかない。 厚生年金の中の高額所得者の受給額を減額して、それを保険料を支払わない3号被保険者の年金支払いに回しているのである。 専業主婦の場合の配偶者が高所得者であれば、丁度辻褄が合うようにも思える。 しかし、男女平等社会において、3号被保険者制度は配偶者の一方(多くの場合は女)の働き方に制限を加えることとなっている。 これこそが、大問題と言える。 また、配偶者を持っている場合は、配偶者が3号被保険者制度の恩恵を受けるが、配偶者がなければ恩恵は得られない。 独身者は106万円、130万円の壁に無縁であるだけでなく、壁のために調整している3号被保険者の年金資金まで負担しているのである。

なお、自営業者(やフリーランス)は国民年金であるから、その配偶者は3号被保険者とはなれず、夫婦でそれぞれ年金保険料を納付する。

7) 3号被保険者という悪制度が生まれた理由

1980年(昭和60年)改正で3号被保険者制度が創設された。 それ以前、専業主婦は国民年金任意加入であり、加入しない人もいた。 離婚をすると、無年金の恐れあり。 この解消とも言われているが、基本的には当時の社会は、国民全員が支える国の年金制度として歓迎したと思う。 夫はモーレツ社員で妻は専業主婦のスタイルが支持を集めていた時代には、そのようなスタイルを支援する制度が共感を得、支持される。 それが、3号被保険者制度が生まれた理由であると私は考える。

多様化した現代に3号被保険者制度は合わない。 多様化する社会、グローバル化で国境を越えて分業・競争が行われ、下手をすると簡単に取り残される。 1980年から半世紀近くになる現在、社会の仕組みをどしどし変えていかなくては、我々の生活を維持できなくなると考える。 どう改革すべきか、議論が必要である。

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