2024年9月11日 (水)

県の補助金なんて、知事の一声で、増額できるのかな?

次のニュースを目にしました。

YahooニュースAera 9月10日 【独自】兵庫・斎藤知事らの補助金キックバック疑惑で金融機関幹部が重要証言「補助金と寄付はセットだった」

Aeradot 4/13 兵庫・斎藤知事を揺るがす「告発文書」 阪神・オリックスパレードにも疑惑が

昨年の阪神タイガースとオリックスバファローズの大阪と兵庫での優勝パレードに、兵庫県内の信用金庫が寄附をしたとのこと。 パンフレットを見ると確かに兵庫県内の信用金庫、信用組合の名前が「ご協力いただいたみなさま」の中に掲載されています。

上のニュースによれば、11月14日の時点では、県の金融機関向けの「中小企業経営改善・成長力強化支援事業」による補助金は、補正予算で総額1億円だったが、16日には総額3億7500万円に増額され、最終的に斎藤知事の判断で総額4億円の補助金になったという。

これだと、知事の一声で、都道府県の補助金なんて、補正予算を積みまして、簡単に増額できるんですね。 一般的に言えば、補助金を増額して、キックバックも可能だろうな。 でも、刑法犯罪になるので、知事は辞任・退職しても検察庁から追及を受け、刑事罰となるのかな? そうだとすれば、バカな知事だなと思う。 実はもっと悪い共犯者がいる?

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2024年9月 3日 (火)

現役世代の保険料負担軽減をめざすとの興味ある発言

日経で次の記事があったのです。

日経 9月2日 河野太郎氏、現役世代の保険料負担軽減めざす Xで提唱

誰も言わない。 言えないことだなと思ったからです。 社会保険料とは、年金保険料と医療・健康保険料を意味する。 現状、年金保険料は厚生年金保険料が18.3%で、協会けんぽの場合の健康保険料は都道府県で差があるが約10%であり、雇用主と労働者が50:50の負担なので、個人だと約14%である。 企業からすると、実質賃金は名目賃金の1.14倍となる。

所得税や住民税の場合は、名目上の金額から給与所得控除や基礎控除等があり、更には所得税の場合は累進税率なので、所得がそれほど多くない場合の社会保険料の負担は大きい。 現役世代の社会保険料負担の軽減は、働く世代にとっては、大歓迎と思う。

但し、逆に負担が増加する人達が出現しないと辻褄が合わないはず。 さあ、どうするかと考える。 いや、トレンドを考えれば、第2次団塊世代までが高齢化し、年金は受給者増と納付者減が予想され、医療費も増加が見込まれる。 日本の将来は暗い。 せめて、現役世代の保険料負担軽減で明るい日本を目差さねばと思う。

一番先に頭に浮かぶのは、3号被保険者の廃止である。 3号被保険者とは、2号被保険者に扶養されている配偶者であり、フリーランスを含め自営業者の配偶者は2号被保険者に該当しないので、自ら国民年金保険料を納付する必要がある。 特権階級の特典を廃止してでも実現すべきことはあるはず。

次は、税金による補填であり、高額所得者に対する増税が考えられると思う。 他には、支出の削減であり、健康保険が適用となる医療費に関する制限である。 例えば、高額医療費制度も一定額を超過すると全額保険負担の現行制度を一定額超過の場合に3-1割負担から徐々に負担率を下げていくように変更する。 あるいは、入院時の差額ベッド料のように一定の高額医療については高額医療費制度の対象外とし、民間医療保険を拡大する。 高額医薬品は、やはり相当増加すると予想するし、現役世代の負担軽減という観点のみならず医療制度・医療体制の維持という観点からも高額になっていく医療への対応は必至であると考える。

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2024年8月12日 (月)

私も賛成です「ふるさと納税」の制度改定

日経が8月2日に次の社説を出していた。

ふるさと納税の膨張を改めるときだ

寄附をして返礼品がもらえるなんて、論理的におかしいのである。 所得税法78条が寄付金控除に関する定めであり、地方公共団体に対する寄付金は特定寄付金とされている。 しかし、「その寄附をした者がその寄附によつて特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。」とされており、返礼品が約束されている寄附は、そもそも寄附ではないと考える。

総務省が8月2日に発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」がここにある。 令和5年度のふるさと納税は5895万件で1兆1175億円であったと記載されている。 平均では1件あたり1万9千円となる。 

ふるさと納税において、限度額はあるが、所得税と住民税の双方合計で2千円を超える額は戻ってくる。 その上、返礼品までもらえるなんて、道徳性ゼロ・倫理観ゼロの制度である。

寄附(ふるさと納税)を行った人が居住する市町村・都道府県は、住民税を低くすることから税収は減少する。 一方、寄附を受けた市町村・都道府県は寄付金収入を得るとともに返礼品関係の費用が発生する。

更に、地方交付金制度が関係するのであるが、地方自治体のほとんどは国から普通地方交付金を受領している。 各地方自治体の地方交付金の額を算定するにあたり、寄付金の受領は計算には関係しない。 一方、税収減は75%が普通地方交付金で補填されるのである。 市町村毎のふるさと納税に係わる収支が日経電子版の実質収支全国マップ ふるさと納税のリアルというマップ(地図を見るというボタンクリックが必要かも知れません)に掲載されていた。 

総務省8月2日発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」を使って、以下に、順位表等を作ってみました。

1) ふるさと納税受入額

令和5年度のふるさと納税の受入額を表にしたのが、次の表1であり、大きい順から30位までを記載し、最下欄は合計です。 寄附を受けた金額が受入額であり、1位は193.8億円の宮崎県都城市でした。 100億円以上受領したのが10市町あり、30位の佐賀県唐津市は54億円でした。 

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返礼品の金額(調達額)は寄附受入額の30%以内とされているが、返礼品に係わる経費が平均で受入額の21.5%(返礼品金額に対しては79.3%)なので、結構高い経費率と思います。 表2は、全自治体のふるさと納税に関する返礼品に係わる費用の合計金額です。 返礼品に関する経費は相当な金額になっており、返礼割合は30%以下として運用されてはいるが、経費とあわせると50%近く、受入自治体に残る寄付金は平均51.4%以下というのは釈然としない。

なお、30%を越えるとこの兵庫県洲本市の発表のように、ふるさと納税対象団体の指定が取り消され、令和5年度洲本市ゼロです。

送付・決済・広報・事務費用・その他経費が全平均で受入額の21.5%であるが、その内訳は表2の通りです。

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2) ふるさと納税に関する地方税の仕組み

ふるさと納税に関する地方税は複雑怪奇です。 ふるさと納税をすると寄付金控除による所得税の減額に加え、住民税が安くなり、実質2千円の負担でふるさと納税を行うことができると言われています。 ふるさと納税をするには、住民税の所得割課税の対象となっていることが前提ですが、所得割の住民税額の20%を上限として、所得税の税負担軽減に加えて、道府県民税と市町村民税により40:60の比率で税減額を行い、ふるさと納税を行っても実質負担は2千円となるようにする。 すなわち、住民税所得割額の20%までのふるさと納税は2千円の負担というマジックです。 よくもこんな地方税制度を考えたと思います。

道府県民税と市町村民税が40:60の比率で税減額を実施するのは、住所地の都道府県と市町村であり、寄付者の実質税負担を2千円とするのでそれなりの税減収となる。 そこで、国が補填する制度が働くのです。 地方交付税法で普通交付金が定められており、規準財政収入額が基準財政需要額に満たない場合は、国が地方自治体に普通交付税を交付するのです。 ふるさと納税の受入額は、基準財政収入額にカウントされません。 一方、ふるさと納税をした納税者の住所地の地方自治体では実質2千円負担とするために税収が減少する。しかし、税収減は、その75%相当額額が規準財政収入額の減少として扱われ、結果、税収減の75%は普通交付金で補填されるのです。

なお、規準財政収入額が基準財政需要額より大きい自治体には、普通地方交付金は交付されず、このような不交付団体は令和6年度86団体あります。 都道府県では東京都のみ。 市町村85団体のうち、東京都には12。 愛知県には19あります。 不交付団体には、普通交付税の趣旨からして、普通交付税は交付されず、その自治体では住民がふるさと納税をすると税収減となります。

3) 地方自治体の損得勘定

本来から言えば、損得勘定などないのですが、ふるさと納税を受入れた自治体はその額の財政収入が増加するが、返礼品に伴う支出が発生する。 ふるさと納税を行った人が住んでいる市町村と都道府県は住民税を減額する分の税減収が発生する。 但し、地方交付税不交付団体でなければ減収分の75%相当は普通地方交付税の受取額が増加する。 各市町村毎に計算し、地図で表示したのが日経電子版の実質収支全国マップ ふるさと納税のリアルというマップである。 実質収支で大きい順から30自治体とマイナスが大きい30自治体を表にしたのが次の表3である。 日経電子版のマップでは、都道府県は表示されないが、表3では都道府県も含めた。

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実質収入が上位となる自治体は、表1のふるさと納税受入額の順位とほぼ同一である。 一方、表3において下方にランク付けされている実質収支のマイナス幅が大きい財政悪化となる自治体には大都市の都道府県が多く含まれている。 都道府県の場合、ふるさと納税の受入は、市町村より少なく、一方で、ふるさと納税の寄附を行う住民に対する住民税減税は市町村と都道府県の双方から行われる。 市町村と都道府県に区分して収支を合計すると表4のようになった。

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地方交付税補填額は、都道府県において補填率が低いのであるが、特別区を含む東京都のみで1651億円がふるさと納税の実質負担となっている。 

<提言>

ふるさと納税という制度については、書いていても嫌気がさすし、全く楽しくない。 税金の無駄使いの最たるものと思う。 地方産業の育成なら、育成としてどの産業分野を育成するか、どのような方法で育成するか、まじめに研究をして実施すれば良いのである。

表4で記載のように、返礼品とその関連費用で5429億円が発生していた。 ふるさと納税を行った人に対して2000円の税負担で止めるために地方交付税が地方自治体に交付される。 補填額3958億円とは、その為に国から地方に支払われた金額である。 

一方、国と地方自治体を一体としての連結ベースで考えると、地方交付税は資金の内部移動である。 従い、ふるさと納税の収支計算は収入が受入額の11175億円で、支出は7682億円の住民税の減収であり、その差引は3493億円のプラスである。 そこに、返礼品関係の支出5429億円が加わると、1936億円のマイナスとなる。

返礼品をなくすれば、地方交付税で調整する額は減少し、本来の姿に近づくと考える。 3958億円の地方交付税をふるさと納税の関係で交付しているが、これも、返礼品制度を中止すれば3958億円は小さくなり、相当の財源が国に生まれるのである。 既に、稼働している制度をいきなり中止するのが難しければ、返礼品とそれに係わる経費率の割合を何年間かをかけてゼロにするようにすれば良いのである。 一方、自治体は、地域の特産品のネット販売を支援する等して、地域の活性化に取り組めば良い。 2千円の実質負担適用の所得上限についても、段階的に引き下げて、適正な所得制限の金額にすべきと考える。

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2024年7月24日 (水)

日本の現状打開策

これで解決するという妙案や特効薬は簡単にはないが、せめて思うことを書きつらねます。

まず、日本の現状認識としては、次に書いた私のブログで取り上げた日本経済の伸び悩みです。

7月19日のブログ 実質賃金が伸びていない

5月14日のブログ IMF統計での一人あたり日本GDP第34位に思うこと

バブル崩壊以後、あるいは21世紀になり2000年頃から、ドル建てのGDPや実質賃金は、年によるバラツキはあるものの、ほとんど伸びていない。

1) 衆議院小選挙区・比例代表選挙が関係しているのではないか

1996年10月20日の衆議院選挙で小選挙区比例代表並立制選挙が始まった。 日本のGDPや実質賃金の伸び悩みが始まった時期と似かよっており、関係があるのではとの疑問を持つのである。

小選挙区制が導入された最大の理由は、政権交代が起こりやすくすると言う制度整備であったと理解する。 少数党では選挙で不利となることから政党は2大政党化する。 また、政権交代のためには相手政党批判もさることならがら、国民の利益に適合した政策を考え、立案し、政策をアピールすることが選挙で重要となり、政治の健全化が期待されたと思う。 そのような結果として、政治や日本の産業そして国民の生活が良くなると期待されたはずである。

しかし、世界のなかで比較をすると、日本の成長・発展 が取り残されていることは、残念ながら否めないと思う。 議会や議員にその責任の一端があるとしても、制度面について考えることも重要と思うのである。

日経ビジネスに「チガサキから世間を眺めて」という連載を書いておられる松浦晋也氏が、6月28日の選挙をおもちゃにする人々が教えてくれることで、日本には中選挙区制が合っていたのではと疑問を投げかけておられた。  朝日新聞7月11日のインタビュー記事(全文は読めませんが) 小選挙区制が招いた政治の劣化 田中秀征さん語る「中選挙区連記制」において、同氏は中選挙区制を提唱しておられた。

私が思う小選挙区制の欠点は、小選挙区制では、個人の力だけでは当選可能な得票数の獲得はハードルが高すぎ、政党からの支持・応援を必要とすることである。 中選挙区制でも、政党なり支持団体なり相当程度の人々の支援を受けていなければ当選はできないのであるが、小選挙区制の場合は、選挙民・国民と対話をするよりは、政党からの公認取り付けに時間と労力を割く必要が生じる。

議員活動は、企業勤務とは異なる。 企業勤務なら、その企業の為に働くが、議員は所属政党のためではなく、第一の目的は国民のためであり、政党は手段である。 小選挙区制では、大政党の力は大きい。 その結果、ボス・実力者の力が大きくなりすぎ、歪みが生じることがあると思う。 例えば、政党の党首・総裁がワンマン主義であった場合、党内対立派には選挙で公認を与えず、刺客候補を立てるなんて変なことも生じる。

2) 政党交付金も廃止して議員個人宛に支給

政党交付金の交付は1995年に始まった。 令和4年分政治資金報告の概要がこの総務省のWebにあるが、政党交付金の総額は、315億3千7百万円です。 交付金受領額が一番多いのは自民党で160億円、第2位は立憲民主党67.9億円、第3位は維新の会31.7億円となる。 特記すべきは、政治家女子48党というNHK党が名称を変更した党(今は更に別の名称)で、1億98百万円の政党助成金が交付されている。 都議選で24人の候補者を擁立し、ポスターで物議を醸し出した政党である。

政党に交付金が交付されると、政党の中で権力を持つ者程、配分の際にその決定に関与できることになるはず。 本来、団体や政党は意思も感情も持たない存在であり、意思や感情は人間である個人が持っている。 個人一人では、力の弱い場合もあり、同じような考えの人が集まって行動することは多い。 政党の分散・離合や仲違い、再集合等は政治活動の自由を尊重せねばならず、禁止することは不適切である。 本来の姿は、個人による思想、主義、主張が出発点である。

従い、政党交付金は、政治活動支援金として議員個人に交付することにすれば良いと考える。 議員一人あたり年間3千万円以上となる。 基本的には、政策研究に使われるべきと思うが、政党本部への寄附に使っても良いし、政策研究のために研究秘書を雇用したり、コンサルタントやシンクタンク等外部へ政策研究を委託しても良い。 研究結果の報告書を発表し、自分が実現したい政策を研究結果を発展、展開して行ってもらえばと思う。

なお、議員個人に対する政治活動支援金は、税の対象とすれば良い。 そして、委託費を含め研究活動やその他議員活動の為として認められる支出は経費として認めれば良いのである。 課題解決や問題点の鋭い指摘を行った報告書を公表した議員は高い評価を受け、その結果、次の選挙では高い得票率が得られ当選する可能性が高くなるはずである。 好循環が生み出せるのではと期待する。

3) 選挙における投票は個人の重要な政治参加

NHKが7月14日午後9時からNHKスペシャル「永田町”政治とカネ”の攻防 ~改革のゆくえは~」という番組を放送していた。

この番組の中で、二階俊博氏がインタビューに答えて、次の様に述べていた。

『今度選挙に出るそうだけど、どういう政策に力点を置こうとしてんのか』って、そんなこと聞く人誰もいないんだよ。 みんな『金があるか』

地縁・血縁何でもありが、現実の選挙とすれば、収賄・贈賄は刑事罰になるが、政治活動を支援する純粋の寄附は支援者の夢や希望の実現手段である。 政治資金規正法では、政治活動に関する寄附について、企業や団体からの寄附は、政党等以外には禁止されている。 一方、個人による寄付は禁止されておらず、自由である。 但し、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く)に関する寄附は禁止されている。 公職の候補者とは選挙で候補者として届出があった者である。

日本の政党政治の現状は、現与党の自民・公明と共産以外は離合集散を繰り返している。 言ってみれば、人と政党はなじめないことがしばしばあると言うことだろう。 政治家を志し、自分の夢を人々のために実現したいと思ったなら、その時々協力できる人達と政党や仲間を結成し、目標の実現に向けて努力を続けるという生き方が賛同を得ても良いはず。 選挙では、政党ではなく、この人ならと信じる人に投票する人物主義の選択でも良いと思う。 このような場合、中選挙区制が、なじむと思う。

4) ポピュリズムから脱出

冒頭に書いたバブル崩壊以後、あるいは21世紀になった頃からの日本経済の低迷には、ポピュリズムに陥った日本の政治が関係していると思う。 本当に必要な政策を実施するのではなく、与党は次に控えている選挙で勝つための政策を主導してしまう。 政権交代が生じると与党議員達は、冷や飯を食わざるを得なくなる事態を避けねばと、必至になって政権与党であることを死守する。 その方法は、ポピュリズム・バラマキであり、八方美人政策である。 本質的問題解決からは遠ざかり、解決はおざなりとなる。 やはり、中選挙区制の採用だろうと思うのである。

日本の国の成り立ちを考えると、国の行政機関・執行機関である内閣を頂点とした組織である行政府とその執行についての定めをつくる立法機関である国会が大きな骨格である。 税の支出を定める予算は、国会の議決に基づかねばならない。(憲法83条、85条)

ところで、内閣総理大臣について考えると、その権限も大きいのである。 国会への議案提出権権(憲法72条 )と予算提出権(憲法73条5項)を保有する。 衆議院で多数を占めると、内閣総理大臣の指名(憲法54条)と予算の議決(憲法60条)においては、参議院に優越するので、衆議院で過半数を制すれば、相当なことは実行できると考える。 (注: 議員立法は可能であるが、国会法で賛成者の人数の定めがある。)

衆議院で多数を占めると、相当なことは実行可能である。 政権喪失の懸念、恐れから良い政策を追及することにつながれば良いのだが、現実は政権喪失を恐れて、ポピュリズムに陥っている。 長期的視点からの立て直しや改革は重点施策にはならず、世界の中で発展から取り残されているのが現状ではないかと危惧するのである。

5) オープンガバメント、デジタルガバメント

米国で2009年1月にオバマ大統領が就任し、1月21日にTransparency and Open Governmentと題したMemorandum(ここ にあり、日本語では覚書と呼ばれている)を発表した。 このMemorandumでは、下記のようなことを述べている。

”Government should be transparent. Transparency promotes accountability and provides information for citizens about what their Government is doing. Information maintained by the Federal Government is a national asset. ”(政府は、高い透明性を持つべきである。 透明性は説明責任を促進し、政府が何をしているかについての情報を国民に提供する。 政府が保有する情報は国の資産である。)

”Government should be participatory. Public engagement enhances the Government's effectiveness and improves the quality of its decisions.”(政府は参加型であるべきだ。 国民の関与は政府の効率性を高め、決定の質を改善する。)

”Government should be collaborative. Collaboration actively engages Americans in the work of their Government.(政府は協働型であるべきだ。 政府の業務に国民の積極的な関与を得る。)

オバマさんの提唱したオープンガバメントの3原則に私も賛成する。 開かれた政府、誰もが参加できる政府が未来の目差すべき政府であり、その構築に向けて努力をしたい。

日本でも、インターネットを活用して政府を開かれた国民参加型を目差して改革してきていると考える。 オープンガバメントの動きは世界の多くの国や国際機関でも取り組まれている。 オープンガバメントは、デジタルツールの発展と共に、現在の制度や姿を補完し、よりよい未来社会の発展に向け寄与していくと期待する。

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2024年7月19日 (金)

実質賃金が伸びていない

実質賃金が26か月連続マイナスとの報道がなされている。 長期間の比較や他国との比較も行って考えてみます。

日経 7月14日 実質賃金とは 過去最長の26カ月連続マイナス

1) 長期間の実質賃金の推移

26か月とは2年2か月であり、もっと長期で実質賃金がどうなっているかを考えるべく、1970年以降の毎年の実質賃金の推移を2020年を100とした実質賃金指数と前年比上昇率を表示したチャートを作成すると図1の通りとなった。

データ元は、毎月勤労統計調査の季節調整済実質賃金指数の製造業30人以上であり、その1月~12月の合計を12で割って年ごとの実質賃金指数として年ごとの指数とした。

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結果、2006年が107.2で最も高かった。 1997年頃より、停滞していると言えると考える。 なお、2023年は99.3としたが、この数字は1月~4月の4月単純平均である。

2) 購買力平価 (国際比較)

賃金を国際比較するに際しては、単純に為替レートを使って比較をするより、購買力平価(PPP : Purchasing Power Parity)による換算で比較する方が、適切と言える。 購買力平価(PPP)とは、同一物を日本と外国で購入した際の価格により換算したレートであり、同じビックマックが日本で750円で、米国で5ドル70セントなら、ドル・円のPPPレートは131.6円/ドルというような具合です。

OECDの統計データに年平均賃金(Average annual wages)というデータがあり、このうちの2022年米ドルベース購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)を使いました。

購買力平価(PPP)なので、物価変動や為替変動からの影響が基本的には除外されていると考えられる。そこで、図1の日本の賃金指数を米ドルベース購買力平価(PPP)を同じチャート上で表現したのが次の図2です。 

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日本の賃金を2つの単位を使って、1つのチャート上に記載したのであるが、相当似通っている。 結果、OECD統計の購買力平価(PPP)による米ドル換算を使って各国の賃金国際評価を実施して大きな問題はないと考える。

3) OECD加盟国の中の17国について比較

OECD加盟国の中の17国の1990年以降の賃金について、2022年米ドルベース購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)による1990年から2023年までの推移をチャートにしたのが図3です。 (クリックで拡大します。)

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図3からすると、日本は17国の中でギリシャを別にすれば、唯一賃金上昇がほとんどない国です。 各国の購買力平価(US dollars, PPP converted, 2022)による賃金を大きい方から並び替え、賃金の数字も記載したのが表1です。 1990年、2000年、2010年と2022年のみを記載しています。

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韓国の賃金を見ると、1990年24,740、2000年33,114、2010年40,804、そして2022年48,056と順調に賃金が上昇している。 それぞれ、年率換算すると1990年から2000年は平均3.0%、2000年からは2.1%、2010年からは1.4%です。 1990年から2022年までの賃金上昇率を比較すると韓国の32年間の平均上昇率は年率2.10%で日本は0.13%です。

バブル崩壊後1990年代中頃以降、日本は賃金が上昇しない国になっていると言わざるを得ない感覚になります。 賃金が上昇しない国は、魅力のない国であり、解決策を考えていかねばと思います。

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2024年7月 3日 (水)

積水ハウスって、何なの?って思った

積水ハウスは、完成した国立の10階建ての全18戸のマンション解体を発表し、驚かせた。

時事ドットコムニュース 6月10日 積水ハウス、マンション解体 引き渡し直前、「富士山見えない」

国立のマンションも、地元住民の意見を無視して強行突破に失敗と私は思っているだが。 即ち、2022年5月27日に近隣住民から国立市議会議長に対してこの陳情書が提出されている。 陳情書の内容も、また近隣住民の意見も積水ハウスは十分に、陳情書の前から知っていたのである。 しかし、対応は、マンションの階数を11階建て10階建てに変更したことぐらい。 最後にゃ大失敗。

この中日新聞 6月28日 「20階以上は建たない」セールストークだったはず…名古屋タワマン訴訟の93歳原告憤りというニュースも積水ハウス、長谷工コーポレーションのマンションである。 「グランドメゾン池下ザ・タワー」という地上42階のタワマンは2013年12月に完成。 すぐ隣に「グランドメゾン池下ザ・タワーII」というタワマンが2025年9月完成を目指して建設中である。 2013年当時には、12年後に隣に同名のIIと称するタワマンを作ることについて、セールスマンは知らなかったのかも知れない。 だから、セールストーク「20階以上は建たない」でセールスマンも無罪の可能性あり。 しかし、企業としては、どうなの? 国立ほど酷くはないのかな? 判断は、読者にお任せします。

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2024年5月 1日 (水)

SNS型投資詐欺で7億円

持っている人は、持っているのだと思わせるニュースでもあると思った。

日経 4月24日 著名人なりすまし投資詐欺、7億円被害 茨城の70歳女性

茨城県の女性会社役員(70)が、昨年11月から今年4月までの間に、合計約7億円を貯蓄から引き出して、だまし取られたと、茨城県警が発表したとのニュース。 有名人をかたるLINEのアカウントで勧誘され、女性は貯蓄から引き出して振り込むなどしたとのこと。 計6億9千万円で44回になるようだ。

LINEが利用されたとのことであるが、著名人に成りすましたLINEアカウントを開設した実際の人間(犯人)や、銀行振り込みであれば、振り込んだ先の口座名義人(犯人)等も判明するはずである。 しかし、LINEアカウントや銀行口座の名義人が犯行の首謀者や犯罪利益・収益の実質的享受者とは限らない。 首謀者は裏に隠れ、逃げ通そうとすると思う。

ネット上の情報で発信者の本人確認をするのは、情報開示請求の手続き等を踏まねばならず、簡単ではない。 そのことから犯罪に利用される。 君子危うきに近寄らずであり、賢ければ、信頼しうる情報かどうかも判断がつくはずである。 うまい投資話など、あるわけがないのである。

この70歳の女性は、7億円保有していた、いや7億円以上は保有していた。 あるいは、自由になる金を7億円以上持っていたのである。 会社役員となっているので、会社の金かも知れないし、夫に先立たれて相続した金かも知れない。 いずれにせよ、一般の人が手にできる金額をはるかに越えている。 そんな高額財産保有者のリストは投資詐欺犯罪者の間に広まっている可能性もある。 

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2024年4月 4日 (木)

小林製薬の「紅麹」問題

小林製薬の「紅麹」に関しては、現在のところ、死亡者数5人とのことである。 

しかし、この問題に関して最も驚いたのは、次の日経ビジネスで報じられている「海外向けについては厳しい品質管理が適用されており「ロットごとにシトリニンの分析を実施していた」(記事の最後の文末部分)との記述である。

日経ビジネス 4月4日 小林製薬「紅麹」問題、機能性表示食品制度の怪 海外向けでは厳しい品質管理

日本の消費者を馬鹿にしたような記述であるが、そうなるに至った原因が当然ある。

小林製薬が健康被害を発表したのは、3月22日のこのニュースリリースである。 「機能性表示食品」という事業者の責任で特定の保健の目的が期待できるとする食品である。 だから、この消費者庁の措置命令発表のような景品表示法違反の事態が発生する。 政府・政府機関・第三者による検査・審査がないわけで、ウソのつき放題と思える。 

2013年当時、安倍晋三首相時代に規制改革の一環として「世界で一番企業が活躍しやすい国の実現」と言うことで制度が創設された。 しかし、問題を安倍晋三の責任として片付けても解決にはならない。 現状、日本は安全に対する規格が緩いのである。 口に入れる物について規制を緩くしては本末転倒になると思えるが、日本では特定分野の産業を有利にし、それを規制改革・経済発展への貢献と称されることがある。 関係者のみが利益を得るのであるが、大々的に宣伝されると、そうなのかと思ってしまう。 関係者には政治家や当該事業に直接・間接に関係する人達も含まれるので単純ではないが。

なお、安全についての本質は日本も海外も同じである。 「海外向けの紅麹原料は、ロットごとにシトリニンの分析を実施」は、何故かと言えば、その国の法律がそのような検査を義務づけ、そうしないと流通販売ができなかったからのはずである。 日本も主権国家であり、日本でもロットごとの分析を求めることは可能である。 そんな法律をつくれば良いだけである。 主権者たる国民が求めれば簡単に制定できる。 そう考えると、結局は我々自身のことである。 自分が自分の健康に責任をもつ。 勿論、自然界にも毒キノコはあるのであるが、サプリメントに依存せず、食事で生活するのが本来の姿であり、健康に過ごす方法だと思う。

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2024年3月30日 (土)

こども子育て支援金を医療保険でまかなうのは筋が違う

どう考えてもおかしい、子ども家庭庁です。

こども家庭庁 令和6年3月29日 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について

NHKのニュースはここにあります。

病気になったときのために、被用者保険である協会けんぽ、健保組合、共済組合の健康保険や国民健康保険そして後期高齢者医療保険に全員が加入しています。 自分や、扶養している家族が病気になった場合に医療費がこれらの医療保険でカバーできるからであり、この制度を信頼・支持しているからです。

医療保険料を支払って、それが医療費に回らないなんて、私は納得が行かない。 子ども・子育て支援に反対するのではありません。 子ども・子育て支援は重要です。 その財源は、税金から支払うべきです。 上に掲げた子ども家庭庁の試算書の5ページと6ページに医療保険で徴収する金額が記載されており、1兆円徴収しようと言うことです。

1兆円を国民から徴収しても、それが日本の現在や将来に役に立つなら、それで良い。 しかし、国民を騙すことは許されない。 1兆円支出の詳細な内訳を国民に説明することは、先ずは重要である。

そして、1兆円と言わずに、一人平均450円なんて、月額で示す。 雇用主から徴収する金額も除外している。

財源は所得税増税で賄うべきです。 医療保険料の徴収は、高所得者については、医療費支出とのバランスから上限を設けざるを得ず、しかも収入額に対して一定の料率となる。 所得税のように累進税率が適用されない。 岸田内閣は、増税を推進すべきです。

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2024年3月 3日 (日)

大阪万博2億円トイレについて

引き続き2億円トイレについて、書きます。 この3月1日の朝日新聞の記事には「「高すぎる」との批判が出ている会場内の「2億円トイレ」について、政府が外部有識者に対し積算根拠を説明し、妥当との考えを示した。」とある。

外部有識者とは、誰であるのか、固有名詞が示されていない。 もしかしたらこのリストの人達かなと思うが、建築の専門家はおらず、価格の妥当性を判断する能力はない人達である。 勿論、外部の専門家に独立した意見を表明してもらい、報告書を書いてもらって判断することはできる。 その場合は、その報告書を公開願えれば良いのである。 

と言うことで、探してみると、万博予算執行監視委員会というのがあり、3月1日にこの委員会で経済産業省商務・サービスグループが大阪万博のトイレについて説明した資料がここにありました。 2億円トイレを受注したのは、日本土木建設(株)と(株)東建設です。 もう一つトイレ5というのが予定価格1.9億円となっているが、まだ落札者は決まっていない。

経済産業省商務・サービスグループの説明は、一般的な公衆トイレの単価が約74万円であり、2億円トイレは単価では70万円と58万円であり高くないとしている。 大阪万博は2025年4月中旬から10月中旬までの6月間であり、そんな高価なトイレが必要なのかと思う。 6月間のトイレなら、災害時に被災地へ移動させることができるトイレを開発したら良いと考える。 移動ではなく、移設が容易であるトイレでも良いのである。

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