参議院
財政金融委員会
平成21年6月4日の議事録から大門実紀史委員(共産)の部分のみ抽出

○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は四十五分もいただきました。ただ、質問は時間より中身でございますので、前向きないい答弁をいただければ若干早く終わってもいいのかなと思っておりますんで、お含みおきのほどお願いしたいと思いますが。
 今日は、金融商品取引法のお客さん保護といいますか、利用者保護の趣旨を全く分かっていない銀行について取り上げたいというふうに思いますが、大体全部の銀行がそうなんですけれども、話を具体的にするためにあおぞら銀行と住友信託銀行の具体例で質問していきたいというふうに思います。
 中身、本題に入る前に、まず、あおぞら銀行というのはどういう銀行なのか、簡潔にまず説明をしてくれますか。
○政府参考人(三國谷勝範君) あおぞら銀行の前身は、日本債券信用銀行でございます。平成十年十二月から十二年九月の間、金融再生法に基づく特別公的管理により一時国有化され、その後、あおぞら銀行へと行名変更されたものでございます。
○大門実紀史君 そうですね。
 それで、そのあおぞら銀行は、現在、新生銀行と合併、統合しようという交渉中だというふうに報じられております。両行とも、まだ公的資金の、受け取っていますけれども、いまだ完済の見込みが立っていないということだと思いますけれども。
 新生銀行は、この委員会でも何度も取り上げられましたけど、私も取り上げましたが、外資のリップルウッドが大もうけをするとか、あおぞらでいえばサーベラスがやはり株の上場のときに大もうけをするということで、大変批判の多い、何といいますか、ぬれ手でアワの大もうけをした、外資がですね、そういう銀行でございます。
 そういうところが公的資金を返さないというのは非常に誠にけしからぬ話でございますけれども、あおぞら銀行が返済していない公的資金というのは幾ら残っているのか、ついでに新生銀行も幾ら公的資金返済していないのか、ちょっと教えてもらえますか。
○政府参考人(三國谷勝範君) まず、あおぞら銀行でございますが、資本注入した額は平成十年三月の旧安定化法に基づく六百億円、平成十二年の早期健全化法に基づく二千六百億円でございます。現在残っております残高、注入額ベースで申し上げますと、安定化法分の六百億円、早期健全化法千五百五十二億円、合わせて二千百五十二億円でございます。
 新生銀行につきましては、注入した金額が旧安定化法と早期健全化法でそれぞれ千七百六十六億円と二千四百億円、現在、残高は、安定化法分が千三百億円、早期健全化法分千二百億円の計二千五百億円でございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 あおぞらでいえば三千二百億円の公的資金注入されて十年近くなるのに、まだ二千百億円も残っているということでございます。
 ちなみに、ついでに教えてほしいんですけど、あおぞら銀行の役員報酬、新生銀行の役員報酬、平均で結構ですから、幾らになっていますか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 両行から公表されております経営健全化計画によりますと、両行の常勤役員に対する役員報酬の一名当たり平均額は、二十一年三月期の計画値を見ますと、あおぞら銀行においては四千八百万円、新生銀行においては一億四千百万円となっているところでございます。
○大門実紀史君 大変、超高額報酬受けているわけですね。
 このあおぞら銀行と新生銀行が合併をしたら、金融機能強化法に基づいて公的資金の再注入を要請するかもしれないというふうなことも報道等、関係者の話でも私も聞いておりますけれども、大体、金融機能強化法による公的資金注入というのは、あのときさんざん議論になりましたけど、仮にも地域経済への貢献とか中小企業資金繰り対策とか、そういう大義名分があって鳴り物入りであの法案が通ったわけでございますけれども、少なくとも、このあおぞら、新生もそもそも中小企業取引というのは少ない銀行でございます。
 先ほど藤末さんの資料で、公的資金注入行で資料が出ておりましたけれども、この資料は中小企業等になっておりますが、この等には個人に対する住宅ローンも含まれておりますからこんなに多くはございません。中小企業そのものでやると大変少ない銀行で、二行とも少ないわけでございます。
 そういうところが、ですから、あおぞらは海外投資のマネーゲーム主体にやってきましたし、新生銀行は何をやっているかというと、今、サラ金、ノンバンクと変わらないようなことをやっているところでございまして、この金融機能強化法の趣旨とこの二行のビジネスモデルというのはそもそも合わない、私はどう見ても合わないというふうに思っておりますので、この二行に金融機能強化法での公的資金再注入というのはどう考えても私は理屈が通らないと思いますけれども、しかも、いろんな経過があって、ハゲタカが入り込んだ銀行だとかいろんな批判があったところでございますので、到底この二つが合併したからといって公的資金再注入なんていうのは国民の納得が得られないと思うんですけれども、大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(与謝野馨君) まず、原則だけ申し上げますと、金融機能強化法においては、既に公的資金を注入している銀行であることをもって対象外とする制度とはなっていません。
 ただ、金融機能強化法の審査基準、銀行合併の場合は、一つは収益性、効率性等の向上が見込まれること、地域における中小企業に対する金融の円滑化等が見込まれること、申請額が経営強化計画実施のために必要な範囲内であること等々法律に書いてございまして、実際そういう事態が起きたときには自動的に資本注入ということはあり得ない。やはり提出された経営計画等を金融庁で審査をした後に物事が決まると、こういう手順であると思います。
○大門実紀史君 とんでもない話だというふうに思いますのでそのように判断してもらいたいと思いますが、そもそも、この二つの銀行の今までのいろんな歴史がありますが、与謝野さん、大臣、十分御存じだと思いますけど、こういうところが公的資金まだこれだけ返さないで、役員報酬をがばっともらって、この間ちょっと報酬カットしましたけど、業績悪いので。この二つの銀行をいかが思っていらっしゃいますか、与謝野さんとしては。
○国務大臣(与謝野馨君) 先ほど局長からお話し申し上げましたように、あおぞら銀行の前身は債券信用銀行、債券信用銀行の前身は不動産銀行、その前身は多分朝鮮銀行の資産を引き継いだものじゃないかと思います。
 日本長期信用銀行は日本勧業銀行が中心になって設立された、いわゆる旧長期信用銀行法による興銀、長銀、それから不動産銀行とあったんですが、ここのもうビジネスモデルは成立しなくなったということで、長銀、日債銀が破綻して、興銀は合併によって生き残ったと。
 しかし、あおぞら銀行、新生銀行も大きな銀行ですから、やはりビジネスモデルとして成立するような経営というものをお考えいただかないと私はいけないと。大門先生御指摘のように、新生銀行がサラ金まがいとおっしゃったんですけど、まあそれじゃやっぱり長銀、新生銀行の歴史が泣くと、私はそう思います。
 そういう意味では、新生銀行、あおぞら銀行ともなかなか経営陣も苦労されていますけど、やっぱりきちんとしたビジネスモデルを日本の金融界の中で確立していくということが一番肝心なことじゃないかと、そういうふうに思っております。
○大門実紀史君 おっしゃるとおりだというふうに思いますが、それを自力でやらせるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。
 では、本題に入りますけれども、このあおぞら銀行では、資料をお配りいたしましたけど、利用者保護ともう懸け離れたことが行われております。まず、金融庁の三國谷さん、確認したいんですけれども、この資料、一枚目にありますが、主要行向けの総合的な監督指針ですね。これには抜粋で、今日問題にする部分を抜粋で書いておきましたけれども、営業部員や役職員の給与・賞与体系が短期的な収益獲得に過度に連動し、成果主義に偏重していないか、また、手数料収益の獲得に傾注した云々、そういう取引、そしてもう一つ傍線引きましたが、乗換取引、回転売買、これは大変厳しく問題にされたことなんですけれども、そういうものをやっちゃいけないということが書かれております。
 この趣旨はどういう趣旨でこの監督指針に入ったのか、あるいはいつごろからこの監督項目に入ったのか、ちょっと教えてもらえますか。
○政府参考人(三國谷勝範君) この監督指針の規定につきましては、利用者保護の観点から平成十七年十月に主要行等向け監督指針、これを策定いたしました際に設けたものでございます。
 趣旨は、今先生御指摘になりましたようなことがありました場合には、商品販売に際し適切な説明がなされないなど利用者保護に欠けるような問題が出てくるおそれがありますことから、監督上の着眼点として設けたものでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 つまり、リスクのある金融商品をこういうノルマで与えてばんばん売るとそれだけ被害が広がると、だからこういうことはやらせないということに、まあそういうことだと思います。私自身もこの委員会で、明治安田の保険不払とか三井住友のスワップ商品とか、あるいは地銀の投資信託販売の問題を取り上げてきましたけれども、すべてこの根底にノルマ主義があったわけで、いまだそれが是正されておりません。
 そういう監督指針、しっかりと書かれているわけですから、これにきちっと従ってやってもらわなきゃいけないんですけれども、ところが、二枚目に資料を付けましたけど、あおぞら銀行ではこの監督指針を公然と無視するようなことが行われております。
 これはぱっと見て何のことかというのでちょっと説明をいたしますけれども、これはあおぞら銀行のある支店の契約社員で働いておられる、まあAさんとしておきますが、男性の方でございまして、家族はまだ小学校のお子さんと奥さんがいて、働き盛りでございますけれども、このAさんという方は渉外、外務員など幾つもの資格を持っておられるベテランでございます。投資信託とか保険商品などリスク商品の販売スタッフとしてあおぞら銀行では、その前にも経験ありますが、あおぞら銀行では三年間働いてきた方です。
 このAさんの給与体系はどうなっているかといいますと、毎月わずか二十万円が基本賃金です。手取りにするといろいろ引かれて二十万円を切ることもあるそうですけれども、あとは、金融商品の販売に伴う手数料収入に応じて半年に一度賞与といいますかそういう、半年に一度歩合で手当が入るという仕組みでございます。
 ちなみに、あおぞら銀行の社員の平均給与というと九百七十万ぐらいですけど、このAさんの年収はその半分ぐらいでございまして、正社員以上の知識をお持ちですけれども、販売もこなしてきましたけれども、そういう状況で、待遇で働かされてきたわけですが、そのあおぞら銀行がこの六月末でAさんを解雇する、契約を打ち切ると通告してきました。それに対してAさんが、その理由を明らかにしてほしいというふうに要請をされました。それに対して答えたのがこの文書でございます。なぜAさんの首を切るのか、二つの理由が書かれております。
 一つ目は、要するに経営状態が厳しいからと、リストラしたいということで、ここまでならよくある話といえばよくある話でございますけれども、驚いたのは(2)のところでございまして、これもちょっと前の話をしなきゃ分かりにくいですけれども、そもそもこのAさんとあおぞら銀行の雇用契約というのはどうなっているかというと、それぞれの契約社員、有期契約の方々の手数料収入の目標をまず決めるわけですね。それで契約を交わすわけですが、それが達成できないときは解雇するという形になっております。
 例えばAさんの場合ですと、一年目の目標が一千八十万円、二年目が一千百万円だったんですけれども、三年目がここに数字が出ておりますとおり一千四百万と急に引き上げられたわけですが、この三年目というのは去年の四月一日から今年の三月三十一日、ちょうど金融危機が襲来したときでございますけれども、ですから金融商品なんか売れるわけがない時期なんですが、それでも目標が達成できなかったと、だから首だというふうなことになっておるわけでございます。
 私は労働組合出身で、国会へ来てからも非正規雇用問題、雇い止め問題をやってきましたけれども、こういう契約書というのは初めて見ました。しかもこれはあおぞらだけではありませんで、ちなみにほかでも広がっているという意味で、二枚目には住友信託銀行のケースを資料で付けておきましたけれども、この住友信託銀行のケースは先ほどのあおぞらみたいに露骨な書き方はしていませんが、中身は全く同じでございます。
 この住友信託の場合は、手数料収入を上げるとそれでポイントが付く、販売員の方にポイントが付くと。ポイントがたまるとその所属しているグループのクラスが上がったり下がったりするわけでございます。そのクラスが上がらないと辞めてもらうという契約書になっているわけで、基本的には先ほどのあおぞらと同じな仕組みになっているわけですね。
 あおぞらは生の数字をこう出しているので、あからさまといいますか非常にアングロサクソン的でございますけれども、住友信託は非常に日本人らしいというか巧妙な契約書になってなかなか一見分かりにくいんですが、あおぞらの方が分かりやすいので、あおぞら中心に申し上げますけれども、こういう契約形式というのは、この労働問題、ちょっと分からないという方もいらっしゃるので言っておきますが、例えば業者間の契約、委託販売とか業者同士の契約なら何個売らないと次は契約しないよというのはこれはあることかも分かりません。ただ、このAさんにしろ信託銀行のBさんにしろ、これはもう労働者でございます。社会保険に入っている労働者でございますので、労働者に対してこういう、ノルマが達成できなかったら首を切りますよという契約というのは今まで余りなかったケースでございます。今、国会でも非正規雇用とか雇い止めがこれだけ問題になっているときに、派遣法の見直しも国会で議論になっているときに、それにまさに逆行するようなことが雇い止めの形として金融のところで進んでいるということで、極めて悪質な例だというふうに思います。
 これは想像してもらいたいんですけれども、こういう契約で働く人はどうなってしまうかですよね。仕事がありませんから、もうこういう契約でもとにかく仕事に就かなきゃと、家族食べさせなきゃということで契約をのまされるわけですね。働き出したらどうなるかというと、とにかくノルマ達成しないと首を切られますから、家族は路頭に迷いますから、もう達成のために一生懸命やるわけですね。健康を害してまでやってしまう、そういうふうになるわけです。目標に達しなかったら、もう契約にそう書いてありますからばっさりと首を切ると。大変、何といいますか、人を人とは思わないような契約の形式でございます。
 もう一つ言いますと、こういうノルマを、こういうものを入れないで、雇われてから、それは会社は企業ですから業績目標を立ててそれぞれ頑張ってくれよと目標を立てると、これは十分あり得ることですし、今も行われております。それは普通、歩合に反映したり昇進に反映したり昇給に反映したりするということでみんなに頑張ってもらう仕組みなんですけれども、こういう達成しなければ首を切るというのは、こんなのは人間のやることではございません。こんなことが行われておりまして、労働の在り方としても大問題だというふうに思います。
 ここは財政金融委員会ですので、金融の先ほどの監督指針に戻って、いかにこれがひどいかと、監督指針に違反しているかということでもう少し指摘したいと思うんですけれども。
 要するに、営業部員、役職員の給与・賞与体系が、短期的な収益獲得に過度に連動して成果主義に偏重していないかと、これが監督指針に問われるわけですけれども、まさにこの有期契約の人たちは営業部員でございます。もう今各行ともこういうセールススタッフがほとんど主力で契約を取る形になっております。この有期雇用労働者でございますね。
 この監督指針ではまだ給与・賞与体系が連動しちゃいけないというふうなことを書いていますが、これはもう給与、賞与どころか首が懸かっているという、首を懸けさせるというようなこと、しかも短期的な収益獲得ですから、まさに指針にあるような過度の連動ですね、成果主義の極みになるというふうに思います。現場ではこういうことが行われていますから、管理職の人も、リスクの説明は程々にして一通りやればいいよと、早く売れということが今やられております。
 二つ目には、この監督指針の後半の方に書いていますけれども、手数料収入でノルマを与えているという点でございます。まさに指針が指摘している、手数料収入をノルマにしてそこにまさに傾注しているということがもう明らかでございます。
 手数料収入が高い商品というのはリスクが高い商品なんですよね。変額の年金保険とか投資信託でも債券型じゃなくて株式型とか、リスクが高いほど手数料収入も高くなるんです。したがって、手数料収入をノルマにして稼ごうとすると、リスクの高いものを売る、売ろうというインセンティブになるわけでございます。それでもせざるを得ないと。そうしないと職を失う、家族を路頭に迷わすということで、そうやって追い込んでやらせようということでございます。
 もう一つは、今、これは現場でお聞きしたんですけれども、どんなことが進んでいるかというと、この監督指針のさらに最後の方に書いていますけれども、乗換取引、回転売買、これが横行しております。なぜならば、今もうこの金融危機で投資信託そのものを新たに買おうという人が警戒して少なくなっているわけですね。そうすると、今まで投資信託を持っている人に損切りをしてもらって別の投資信託を買ってもらうと、これで手数料を稼ぐと、これが今、それを中心にやっているわけです。したがって、監督指針がやっちゃいけないと、過去に厳しく問題になって指摘されてきたこの乗換取引、回転売買による手数料を稼ぐというのが実は現場で横行しているわけでございます。
 今申し上げたとおり、どこからどう見ても、これはこの監督指針に大きく逸脱するやり方をこの雇用契約という形を通じて、あおぞらとか住友信託、ほかの銀行もそうですけれども、やっていると。
 これについて、ちょっと説明長くなりましたけれども、ずばりお聞きしたいんですけれども、これは監督指針逸脱違反じゃないかというふうに思いますが、いかが金融庁はお考えですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘の監督指針、一点目、営業部員等の給与等の体系が成果主義に偏重した場合、二点目、手数料収益獲得に傾注した有価証券等の乗換取引、回転売買等に不適正に注力した営業体制や商品構成となっている場合には、商品販売に際し適切な説明がなされないおそれがあると考えられます。また、金融商品を提供する金融機関におきましては、顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的やリスク判断能力等に応じた適切な販売勧誘体制が構築される必要があると考えております。
 個別金融機関の個別の対応につきまして直接お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、検査監督を通じまして実態把握に努め、このような監督指針で示されている着眼点に照らし問題と認められる事案があった場合には、当局として必要な指導監督を行うことになると考えております。
○大門実紀史君 すっぱり答えていただきました。
 もう具体的には、あおぞらを含めて指導に入っていただいていますので、是正させるということで頑張ってもらいたいと思います。
 与謝野大臣も初めてお聞きになるケースだと思いますけれども、いかが思われたか、一言御感想をいただければと思います。
○国務大臣(与謝野馨君) 一般論でございますけれども、やはりここ十数年間で日本の企業の雇用形態というのは大きく変化した。これは必ずしも日本の長年培ってきた文化や伝統とは無縁のものでして、やはり外国の制度をうのみにして輸入して日本の土壌に定着させようとしたと、そういう弊害があちこちに出てきたと、やっぱりこれは直さなきゃいけないというのが私の正直な気持ちでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 せっかくの機会ですから、金融庁にもう一つ情報としてお知らせしておきたいと思います。
 先ほど申し上げた手数料稼ぎのために乗換え、回転売買が横行しているという話なんですけれども、これは本当にかつて大問題になって、金融庁も厳しく指導されて、金融機関なんかも、ある銀行なんかは投資信託を売ったら半年間は乗換えといいますか、はしないというようなことを内規で決めたりいろいろやったんですけれども、それがどんどんどんどん崩れてきまして、今やもう金融商品、新しく投資信託売れませんので、その乗換えで、回転売買で手数料を稼ぐということでやれということになっちゃっているわけですね。
 その中で、これびっくりしたんですけれども、金融庁が検査に来たら多分指摘されるんじゃないかということを銀行はちょっと察知しておりまして、販売した人に、乗換えした場合、なぜその人が乗換えしたのかと、それを記録で書きなさいというふうに管理職が販売員に、これがそうですけれども、出させるわけですよ。これは何かというと、金融庁が検査に来たときに、余りにも乗換えが多かったときに、ちゃんとこれは理由があってやっているのかと言われたときに、ありますと、理由はありますと言うために、金融庁に見せるために作らせているんですよね。こんなことがやられております。
 しかし、実際、その販売している方々に聞くと、書けと言われたって書きようがないと、本人のニーズじゃないと、こちらが手数料欲しいから乗換えさせているんだと。そんなの書けないですよね。だから書きようがないものなんですけれども、何らかのことを書けということで指導していると。これは金融庁対策としてやっているわけなんですよね。
 こんなことまで今やっているわけですから、この資料、後でお渡ししますけれども、検査の方にこれも伝えていただいて、もうとにかくやっちゃいけない乗換取引、回転売買というのは大問題になったわけですから、こういうことも含めて検査できちっと是正させるように検査の方に伝えてほしいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) いずれにいたしましても、適切に検査監督、対応してまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 それでは、労働問題として幾つかお聞きして終わりたいと思いますけれども、厚生労働省来ていただきました。
 今や、金融だけではなくて、こういう有期雇用の現場では、これだけ雇い止めが問題になっているにもかかわらず、こんなことをはめ込むやり方がむしろ広がっております。NTTでも問題になり始めていますけれども、広告代理店でもそうですけれども、これが蔓延したら、せっかく今、国会で非正規雇用問題、雇い止め問題を何とかしようとみんなが考えているときにこんなものがまた蔓延したら、まさに非正規労働者というのは過酷な仕事をやらされて使い捨てにされるという、一番非人間的な形で使い捨てにされるということが広がってしまうと思うんですよね。
 是非、厚生労働省としても、まだこういう実態を余りつかんでいらっしゃらないでしょうから、至急実態調査を少なくともやってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡延忠君) お答えいたします。
 厚生労働省といたしましては、有期労働契約一般について、本年二月に学識経験者による研究会を立ち上げまして、調査研究に着手したところでございます。今後、この研究会において有期契約労働者に関する実態調査や関係者からのヒアリングなども行いつつ、有期契約労働者の実態の把握に努めてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 もう一つは、あおぞら銀行、新生銀行で、こういう非正規の方々だけじゃなくて正社員の方々のリストラが行われておりまして、退職強要、違法ですね、これは、裁判例からいっても、これが平気で、外資系というのは特に平気でやるんですけれども、行われております。
 あおぞら銀行では今年の三月三十日から四月十五日まで希望退職百人の募集がされまして、いろんなケースが、後で厚労省に資料をお渡しいたしますけど、ある方は二十日間で五回も呼び出されて、辞めろ辞めろと執拗な強要をされました。これ判例違反ですね、違法な強要でございますし、新生銀行でも三百人の希望退職募っておりますけど、その中で退職強要が行われております。あんた残っても席はないよと、残っても給料一〇%カットするとかボーナスはないという脅しですね、やっちゃいけないんですけれども、やっちゃいけないことですが、これが堂々と行われておりますので、こういう正社員の退職強要についても、後で資料をお渡しいたしますので、きちっとした指導をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡延忠君) お答えいたします。
 ただいま先生から御提起がありました個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきますが、一般論としましては、裁判例において、労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨が違法な権利侵害に当たるとされた例があることは承知しておるところでございます。
 私ども厚生労働省といたしましては、こうした労働契約にかかわる民事面での紛争に関しましては、各都道府県労働局等におきまして、総合労働相談コーナーにおける相談、情報の提供、さらには紛争調整委員会におけるあっせん制度等を設けておりまして、こうした取組の利用をお勧めし、対応を図っておるところでございます。
○大門実紀史君 今日は局長も大臣も前向きな積極的な御答弁をいただきましたので、これから現場の方々、大変助かるんじゃないかなというふうに思います。
 もう申し上げることございませんので、今日はこれで質問を終わります。
○委員長(円より子君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十七分散会